2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

りんごの妖精たち

うちの前庭には、りんごとさくらんぼの木が2本ずつ交互に並んでいます。夏は甘酸っぱい果実の恵みを享受する季節――とくにりんごはお菓子やソース作りに大活躍です。でも、考えてみれば収穫期だけではありません。春の白・うす桃の花、そこに群がる蜂(おまけ…

はにかみやさんに贈る絵本

昨日、実家から小包が届いた。中身は、古本絵本とアマゾンで購入した絵本&文庫本で、わたしにしてみればお宝ざっくざく宝箱のような郵便物。さっそくその中の1冊『カクレンボ・ジャクソン』を娘と読む。登校前の朝読書である。 恥しがりやのカクレンボ・ジ…

移行期の相棒ブック『Little Bear』シリーズ

砂糖かえでの香りって、甘くてうっとりしてしまう。特に朝の散歩でこの甘さに包まれると、体がよみがえる感覚さえ抱く。今朝は、息子も娘も遅刻かとあせった。息子のスクールバスは午前7時5分発。朝食の雑炊スープが「熱すぎて食べられない!」――。時計の…

米国暮らしの絵本手帖『本の選び方』

「本の選び方」が小学校の廊下に貼ってあったのでメモを取る。 ジャケットに印刷されている情報を読む。 他の人の感想を聞く。 5本指のルール:1ページに知らない単語が5つ以上あったら違う本を選ぶ。 好きになれそうか、ちょっと読んでみる。 おもしろい…

「3匹のこぶた」レッカー車版

新聞・雑誌で目にしていたタイトルが『The Three Little Rigs』。これは、レッカー車版「3匹のこぶた」である。舞台はコンクリートの建物に囲まれた工業地帯。倉庫や工場が立ち並ぶ中、載貨車、クレーン車など働く車たちが汗を流している。主人公の3台のレ…

今年もやってきた! ハロウィンの絵本#4

100%ハロウィン絵本ではないのだが、毎年ハロウィンの頃に楽しんでいる絵本が『まじょとねこどん ほうきでゆくよ (児童図書館・絵本の部屋)』だ。表紙には、ニマっと笑う三つ編みおさげの魔女とトラ猫どん。風の吹く日のおかしな話に誘っている。 魔女が猫…

『Whale Talk』by Chris Crutcher 読書ノート

YA

『Whale Talk』(邦訳『ホエール・トーク』)には、わたしが渡米以来感じてきたことがすべて描かれていた。舞台がワシントン州だったこともあるだろう。主人の専攻が犯罪心理学で、大学卒業後は少年拘留所カウンセラーの道に進んだ背景や、教職時代の初期に…

数えれば、また楽し……ハロウィンの絵本#3 

どの行事絵本にも必ず揃っているのが、数の絵本。ハロウィンでは『One Witch』(邦訳『魔女ひとり (魔女のえほん)』)が秀逸。ユーモアと怖さがいっしょになった。『A Creepy Countdown』には、大人もゾクゾクできる恐ろしげなペン画が魅力的。小さな子ども…

作家つれづれ絵本手帖 Mini Grey

Mini Grey 作品名印象・特徴初版年 Egg Dropデビュー作、超現実2002 The Very Smart Pea and the Princess-to-Beおとぎ話2003 Biscuit Bearサーカス、降誕節2004 Traction Man is Here!コマーシャル文化、降誕節2005 Mini Grey は、今1番夢中になっている英…

今年もやってきた! ハロウィンの絵本#2

『ヘスターとまじょ (世界の絵本コレクション)』は、隠れた傑作ハロウィン絵本だと思う。原書は品切れ・絶版。去年、娘のクラスで読もうと思ったら原書が手に入らず、とても残念な思いをした。以来、日本語で読めるわたしたち親子は何て幸せ者……とページを開…

四季の絵本手帖『クリスマス人形のねがい』

冬の30ページ クリスマス人形のねがい (大型絵本) クリスマス人形のねがい (大型絵本)作者: ルーマーゴッデン,バーバラクーニー,Rumer Godden,Barbara Cooney,掛川恭子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2001/11/12メディア: 大型本購入: 2人 クリック: 28回…

「木」から受ける生命力と思いやり

ハリケーン・リタに備えた避難が始まっている。カトリーナ*1に追い討ちをかけて、今度のリタ。被災地では新学期が1か月延長されたが、これじゃあ10月に入っても難しいんじゃないか。当地では基地関連の住宅に避難民が入居し始めた。主人の小学校でも受け入…

四季の絵本手帖『大森林の少年』

冬の29ページ 大森林の少年 大森林の少年作者: キャスリンラスキー,ケビンホークス,Kathryn Lasky,Kevin Hawkes,灰島かり出版社/メーカー: あすなろ書房発売日: 1999/11メディア: 大型本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 作者実父の体験を題…

今年もやってきた! ハロウィンの絵本#1

砂糖かえでの甘い香りがひんやりと肌に感じられる頃、子どもたちの心はハロウィンに向けて踊り始める。「今年は、妖精〜」といったかと思えば次の日には「狼〜」と言ったり、何になるかは子ども心と秋の空……で、結構揺れ動く。息子はすでに決めたようだが、…

家族観を問うノンフィクション絵本『and tango makes three』

新聞で取り上げられていたので『And Tango Makes Three』(邦訳『タンタンタンゴはパパふたり』を読む。ペンギン好きの娘は大喜び。これはノンフィクション絵本。実際、ニューヨーク市セントラルパーク動物園で起きたことを絵本にしたものだった。米国の多様…

四季の絵本手帖『雪の写真家ベントレー』

冬の28ページ 雪の写真家ベントレー 雪の写真家ベントレー作者: ブリッグズマーティンジャクリーン,メアリーアゼアリアン,Jacqueline Briggs Martin,Mary Azarian,千葉茂樹出版社/メーカー: BL出版発売日: 2000/01/01メディア: 大型本購入: 3人 クリック: 41…

動物のぐるぐる話『Wait! I want to tell you a story』

新学期が始まって以来、英語の絵本ばかり。日本語は、『おしゃまなリリーとおしゃれなバッグ』*1しか読んでいない。日常でもわたしが日本語で話しかけ彼女が英語で答えるという、たぶん移民家庭ではよくあるパターンに陥っている。まあ、日本語教育に気合い…

四季の絵本手帖『神の道化師』

冬の27ページ 神の道化師 Clown of God作者: Tomie dePaola出版社/メーカー: HMH Books for Young Readers発売日: 1978/08/01メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (4件) を見る フランスに古くから伝わる民話を、作者の人生体験と合わせ語り変えた絵…

ジャズの街、ニューオリンズに寄せて『Hot Jazz Special』

昨日はB.B.キング80歳の誕生日。昨日、今日と週末のリズム&ブルース・ラジオ番組は特集を組んでいた。彼自身やサンタナ、クラプトンなど影響を受けたミュージシャンのインタビューを含め、興味深い逸話がたくさん聞けた。主人とは米国南部文化について話す…

四季の絵本手帖『ゆきとトナカイのうた』

冬の26ページ ゆきとトナカイのうた (名作絵本復刊シリーズ) ゆきとトナカイのうた (名作絵本復刊シリーズ)作者: ボディルハグブリンク,Bodil Hagbrink,山内清子出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2001/11メディア: 大型本この商品を含むブログ (5件) を見る…

ポロリと涙 台湾の絵本『On My Way to Buy Eggs』

『On My Way to Buy Eggs』は、こちらではとても高く評価されている絵本。なので、さっそく図書館から借りてくる。読んでみての感想は率直に、「いい!」の一言。その評判に偽りなし。ポロリと涙のこぼれる、繊細で温かくて心の宝物にしたくなる絵本だった。…

四季の絵本手帖『月夜のみみずく』

冬の25ページ 月夜のみみずく 月夜のみみずく作者: ジェインヨーレン,ジョンショーエンヘール,工藤直子出版社/メーカー: 偕成社発売日: 1989/03/01メディア: 大型本購入: 1人 クリック: 28回この商品を含むブログ (17件) を見る 冬の月夜、森へみみずくを探…

やみつきになる絵本とはコレ『Don't Let the Pigeon Drive the Bus!』

派手さはないのだが、何とはなしに読みたくなってしまう絵本が『Don't Let the Pigeon Drive the Bus!』(邦訳『ハトにうんてんさせないで。 (にいるぶっくす)』)である。英語はシリーズでたくさん出ているけれど、中でも第1作目は娘のつぼにはまったよう…

お気に入りのアート絵本『The Metropolitan Museum of Art』幼児絵本シリーズ

art

お気に入りのアート絵本がある。ニューヨークのメトロポリタン美術館の出版するアート作品を題材にした幼児絵本である。最初に手にしたのが『Museum ABC (Metropolitan Museum of Art)』。娘のアルファベット学習はこの絵本から始まったと明言できるほどのお…

色の名前を確かめよう『Lemons Are Not Red』

仕事の帰りが遅いので、子どもの宿題はすべて主人任せ。娘はどんなことをしているのかなとバックパックをのぞくと、今授業では色名のつづり練習をしている模様。ということで、登校前に時間があったので『Lemons Are Not Red』を読む。 表紙をめくると右側に…

子ども心をくすぐる秋の絵本の決定版『Leaf Man』

秋の深さがたっぷり味わえる絵本に『あかいはっぱきいろいはっぱ (かがくのほん)』*1がある。女の子が育てる砂糖かえでの1年を美しいコラージュで描く仕掛け絵本は、まるで魔法がかっている。ページを開くだけ、表紙を目にするだけで、しんと体に染み入る砂…

哀しさから生まれた愉快な話『Roy Makes a Car』

ハリケーン・カトリーナの惨状は、米国の哀しさを露呈した。評論家たちは「米国は911から何も学んでいない」と連邦政府の非常事態体制を非難していたけれど、今回の被害はそういうことじゃない。階級社会の構造的な不条理が多くの命を奪ったこと――そういう被…

クモくんの日記『Diary of a Spider』

ベストセラーとなった『Diary of a Worm』(邦訳『ミミズくんのにっき』)の姉妹編『Diary of a Spider』が人気を呼んでいる。今度はミミズくんの親友クモくんの3月1日から8月1日までの日記が紹介される。本シリーズの人気の秘密は、等身大の虫たちの生…

ニューヨークを支えた消防艇ハーヴィ

赤みがかったピンクが基調の表紙は、遠くからでも目を引いた。タイトルは、『FIREBOAT: The Heroic Adventures of the John J. Harvey (Boston Globe-Horn Book Awards (Awards))』(邦訳『しょうぼうていハーヴィ ニューヨークをまもる』)。 手にしてみる…

授業日初日の絵本は『Lilly's Purple Plastic Purse』

「家では毎日必ず、その日の学校生活について3つ質問してください。」と先生からのお知らせにあったのでさっそく娘を質問攻めにする。「今日は何したの?」「何の絵を描いたの?」「何の本読んだの?」。でも、娘は「忘れた」の一言。おっとっと、そうだっ…