2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

velma gratch & the way cool butterfly ヴェルマ・グラッチととってもすてきなちょうちょう

絵本好き冥利に尽きる絵本はそうそう出会えるものではないのだけれど、『Velma Gratch and the Way Cool Butterfly』は確かにこのカテゴリーに入る一冊だ。表紙のヴェルマちゃんとミルクウィード・バタフライ(オオカバマダラ)の組み合わせだけで、ただ者な…

Captain Raptor and the Space Pirates キャプテン・ラプターと宇宙海賊団

キャプテン・ラプターシリーズ第2弾。ジェラシカ星が宇宙海賊団に襲われ、大量の宝石が略奪された。極悪非道を許さないキャプテン・ラプターが立ち上がる! 機関長アングルオプテーロス教授、武器スペシャリスト ブリックソーラス曹長、トップ操縦士スリート…

Chaucer's Canterbury Tales カンタベリー物語の絵本

大学時代以来、20年ぶりの再会。と言っても絵本の形式で。当時もっとまじめに読んでいたら、この絵本、もっと楽しめたかもしれないな。 マーシャ・ウィリアムズの『Chaucer's Canterbury Tales』を手にして、彼女の古典絵本シリーズ中、せめても英国ものは全…

Why War is Never a Good Idea 戦争をしてはいけない理由

war

「平和ボケ」とは、戦争はいけないとわかっていても暮らしの中で自分のものとして実感できないことか。だとしたら絵本『Why War Is Never a Good Idea』(邦訳『なぜ戦争はよくないか』)を読むといい。戦争が人と自然をどう踏みにじるのか、子どもにわかり…

Little Red Riding Hood クリスマスにぴったりの赤頭巾ちゃん

中表紙には、色づいた晩秋の森に雪がちらほら舞い始める風景。村はずれの小屋で暮らすお母さんと赤頭巾ちゃんの姿が収穫の秋を終え冬支度に入る時節にこれほどぴたりとくるとは、目にしてみるまで実感できなかった。体調の思わしくないおばあちゃんのために…

Close to the Wind: The Beaufort Scale 七つの海で風を受ける

ウェブ時代に入り更なる文明の進化を享受する喜びはたくさんあるけれど、『Close to the Wind: The Beaufort Scale』のような美しい絵本に出会うと、やはり今の時代に生きていて良かったなとあらためて実感する。本書は、架空の海軍見習い将校ウィリアム・ベ…

Casey Back at Bat ケーシーに2度目のチャンス来る!

2−4で2点差を追うマドヴィル最終回の攻撃、二死から走者2人が出塁し、迎えたのは無敵の強打者ケーシー。大歓声が湧き上がる中、期待を一身に背負い打席に立った。2球ストライクを見送り、追い込まれた後の3球目――。 1888年6月3日付サンフランシスコ・エグザ…

Hiromi's Hands ひろみさんの握るお寿司が食べたい!

お寿司はとても高級品で、うちではそう簡単に食せない。でも今年の夏はちょっと奮発して、何かいいことがあれば「お寿司、食べに行こうか!」を続けてみた。子どもたちは、もちろん大喜び。そんなときに出会った絵本が『Hiromi's Hands』。ニューヨークの寿…

Anne Hutchinson's Way 信念を貫いた一母親の生涯

1634年9月18日、62日間の航海の後、アン・ハッチンソンはマサチューセッツ湾の新天地に足を踏み出した。先に到着していた生地屋の夫と長男エドワードが建てた家でまさに今、未知の地での生活が始まろうとしていた。しかし、11人の子どもの母親であり、この地…

The Giant of Seville: A "Tall" Tale Based on a True Story 世界で一番大きなジャイアントのお話

『The Giant of Seville: A "Tall" Tale Based on a True Story』は、オハイオ州セヴィルに永住の地を求めようとやってきた、世界で一番大きな男、キャプテン・ベイツと彼を温かく迎え入れた町の人々との交流を描く。これが実話というから、何とも興味深い。…

The Story of Charles Atlas 健全な心は健全な体に宿るを実践したチャールズ・アトラスの話

「フィットネス」って、自分とは縁のない眩しい表現で、日本にいるときは自分の範疇でないと100%確信しきっていた。要するに外見を整えること、でしょ。人間は中身が肝心という価値観が染み付いていたから、スポーツ好きだったにもかかわらず、ジムとかエア…

Lion's Share ライオンのわけまえ ソマリアの民話

『The Lion's Share: A Somali Folktale』はアフリカ・ソマリアに伝わる民話を、ソマリア語と英語で併記したユニークな絵本。タイトル「ライオンの分け前」には良い意味と悪い意味の2つがあるそうで、このお話は後者を描く。 理不尽に多い分け前を奪って喜ぶ…

Sugar Cane: A Caribbean Rapunzel 南の国のラプンツェル

『Sugar Cane』は、カリブ海の島を舞台にしたラブ・ストーリー。ラプンツェルのお話をベースにした現代版夢物語である。南の島のさざ波、月の光、ギターの音色、ルンバやサンバのリズム……と、情景豊かにカリブ文化を織り交ぜた、ちょっと大人志向のお話かも…

くるみわり人形

息子が「えっ、こんなのあるの?」と手にした絵本がセンダックの『Nutcracker』(邦訳『くるみわり人形』)。友だちが某劇団のクリスマス・くるみ割り人形公演にねずみの役で出演するとかで、ここにきて俄然興味を示している。当地バレエ団の公演なら息子が…

風車小屋ねこカッチェ

『風車小屋ねこカッチェ』は、絶対11月に読みたいと思っている絵本。ところがいつも見慣れていた表紙が、ここにきて見つからない。1年間待ったのに、時期を逃すとは不覚。あせりながら本棚を整理していると、下の方に平積みで埋まっていることがわかった、や…

ねずみにとどいたクリスマス

「おうさまが うまれたのよ」――。天使たちから聞いた王さま誕生の良い知らせを伝えようと、小さなネズミは森の動物たちに声をかけた。「いっしょに きて! たずねて いかなくちゃ」。天敵のネコ、おすましのイヌ、本能丸出しのキツネ、弱肉強食の森で有頂天…

Off to Kindergarden 新学期にぴったり

季節はずれの絵本レビュー。『Off to Kindergarten』は、幼稚園入学を前に読むのがぴったりの絵本。幼稚園に何を持っていこうかと心弾ませる男の子が描かれる。韻を踏んだ言葉のリズム感が期待に膨らむ気分と重なり、読者を巧みに学校生活へと誘っている。 …

こねこのクリスマス

小猫のギャビがすやすやと眠る傍らで、息子が就寝前の読書。今年はLAの先生が厳しいらしく彼女への反抗心から読書が怠りがちだったのだが、ここにきてやっとその傾向が収まってきた。ほっ。ギャビといっしょの光景が何だか絵になっていたので、気分は『こね…

The Wizard 魔法使い

とんがり帽子に長い白ひげをはやし、魔法の杖を振り蛙を様々な物に変えていく。詩の絵本『The Wizard』に登場する魔法使いのイメージは、わたしにしてみればハリポタ・ワールド。でも元はと言えば、トールキンの作り出した創造世界のイメージ? 地元作家・画…

やまあらしぼうやのクリスマス

『やまあらしぼうやのクリスマス』は、降誕劇に出たいのに動物たちから仲間はずれにされるやまあらしぼうやが主人公。意地悪される様子が痛かった。劇に出たいと告白したやまあらしぼうやを、他の動物たちがどうあしらったかの実況中継は以下のとおり。 「だ…

Bronzeville Boys and Girls アフリカ系米国人の少年・少女に捧げる詩の絵本

自分とのつながりが持てないと、感情移入は難しい。どうつながりを築くかだが、言葉、文化、生活習慣、風土が大きな役割を果たす。 詩集絵本『Bronzeville Boys and Girls』で、ピューリッツァー賞受賞作家がアフリカ系米国人の少年・少女たちに贈った詩の数…

モーリーのすてきなひ

季節はずれの絵本レビュー。9月の新学期が始まった頃、学校関連の絵本が並ぶ書店の一角で『Totally Wonderful Miss Plumberry』(邦訳『モーリーのすてきなひ』)を手にしました。イラストがすてきで、以前から読みたいと思っていた絵本です。淡い水彩の描く…

mariabの読書ブログ The Book Fairy

「継続は力なり」とは言いますが、昨夜、この「力」に魔法がかかり娘に乗り移ったのではないかと思うハッピーなできごとがありました。 ここのところ多忙が続き更新が途絶え気味でしたが、それでも絵本手帖でのレビュー執筆は開設以来ずっと日々の楽しみにな…

Here's a Little Poem かわいい時代を高らかに賛歌

ふとした瞬間に、それぞれの成長期で一番いい顔を見せてくれる子どもたち。息子は今、中学生という少年にちょっと羽の生えた頃、娘は女の子から少女に変わりつつある頃に生きている。ここまで来る間にも、いろいろな素顔を見せてくれたのだっけ。詩集絵本『H…

Good Masters! Sweet Ladies!

こういう意義深い歴史絵本は、ぜひ手元に置いておきたい。『Good Masters! Sweet Ladies!: Voices from a Medieval Village (Where's Waldo?)』は、中世に生きた子どもたちの語りを通して当時の生活ぶりを紹介する絵本なのだが、絵本となるに至った制作過程…

秋の妖精…木の葉の妖精ドレス…

今年のハロウィンは久々にコスチューム作りに夢中になりました。この様子は、id:ie-ha-te-naさんの「10月のサプリ賞」*1で取り上げていただきました。どうもありがとうございました。 今秋から娘が新しい小学校に通い始めたこともあり、何か記念に残ることが…

くまのテディちゃん

『くまのテディちゃん』は、子どもたちが小さな頃に出会っていたら夢中になっていた絵本でしょう。手のひらサイズの表紙に茶色いくまちゃんがスマイルする姿を見て、娘は「待って!」と間を入れて、自分のくまちゃんとナッフル・バニーを抱きしめ戻ってきま…

はてなダイアラー絵本百選

絵本百選はてなダイアラー*1のみなさん、こんにちは。id:nekoprotocolさんがお休み宣言をされた際、絵本百選の今後について確認を取るべきだったのですが、このまま活動なしから自然消滅も残念なので、ここで管理人連絡先について語らせていただこうと思いま…

ブックレポート/ブックフェア雑感

小学3年生のクラスで人気の読み物と言えば、まずハリー・ポッターシリーズ(最終巻『Harry Potter and the Deathly Hallows (Harry Potter 7)(US)』)が挙がる。ブックレポートのタイトルを見ていると、必ず数人の生徒が巻は違えど取り上げている。マジック…

Lightship 灯台船

昨日の「色」をテーマにした絵本に続き、船の絵本『Lightship』も個人的にツボにはまる。色・アートが父からの影響だとすれば、船は祖父。42歳で結核に倒れ船上生活から遠ざかったが、戦前に客船、戦中に病院船で七つの海を渡った船長の話は、決定的に自分の…