2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

Clancy: The Courageous Cow どすこい! クランシー

現役大学生が作者というオーストラリアの絵本『Clancy the Courageous Cow』を読んで受けた。牛の種族間で行われるレスリング大会――日本流なら「おすもう大会」――が愉快。 お話は、代々おなかに白帯模様が入るギャロウェイ種の牛夫婦に、帯の入らない赤ちゃ…

Bow-Wow Bugs a Bug ワンワン、ノミとにらめっこ

コミック仕立ての文字なし絵本『Bow-Wow Bugs a Bug』に、はまる。表紙にも文字がないこの絵本は、気のよさそうな茶色の犬と、顔が見えないのでちょっと不気味なノミの関わりをあっけらかんと平和に描く。 ある日、道で出会った「黒い点」が気になり、ノミを…

I'm The Biggest Thing in the Ocean でっかいイカくんものがたり

いつだっただろう。息子が生物の時間にイカの解剖をやったとかで、イカに夢中になっていたときがある。その先生は釣りが大好きで、当日の実験用イカもピュージェット湾で釣ってきたのだそうだ。残ったイカをどうやって調理したかは知らないが生徒たちに振舞…

Papa and the Pioneer Quilt キルトで語るオレゴンへの旅

『Papa and the Pioneer Quilt』は浅春の頃、ペンシルバニアを出発しオハイオ、インディアナ、ミズーリ、カンザス、ネブラスカ、ワイオミングを経てオレゴンに向かった家族の半年間を物語る絵本です。途中、弟たちや妹が生まれ、友だちにも出会う中、主人公…

The Incredible Book Eating Boy 本をたべちゃう男の子

「本」の絵本と知り、『The Incredible Book Eating Boy』にも英国発売以来ずっと注目していた。「本を食べる行為」は「知識の詰め込み」なのだろうという先入観を持って読み始めたけれど、これは本当に本を食べてしまった男の子のお話。食べるたびに賢くな…

REX カメレオンのレックス

うちで「カメレオン絵本」といえば、有無を言わず『A Color of His Own』(邦訳『じぶんだけのいろ―いろいろさがしたカメレオンのはなし』)を指した。あのお目目きょろきょろのカメレオンくんこそ、カメレオンの中のカメレオンだったはずなのだが、『Rex』…

Silly Billy びくびくビリー

ビリーは心配屋さん。帽子、靴、雲、雨、鳥……、日常で見かけるものが、彼の想像力にはまると「心配色」に染まり、ちょっと不気味に動き始めます。自分の心配性をおばあちゃんに打ち明けると、人形に心配事や悩みを伝えてから枕の下に入れて眠ってごらん、と…

Houdini: The Handculff King フディーニ 手錠をすりぬけた男

1908年5月1日午前10時、マサチューセッツ州ボストン・ケンブリッジのハーバード橋は、黒山の人でひしめいていた。世紀の大魔術師ハリー・フディーニ*1(1874-1926)が、手足を施錠された状態で水中に飛び込み錠を破るショーを行おうというのだ。テレビもラジ…

Who Is Driving? うんてんするのは だあれ?

動物といっしょに暮らす生活は、楽しいものです。うちの場合、犬のスクーター、猫のギャビイ、デュークのおかげで、どれだけ愉快な日々が過ごせていることでしょう。彼らのおかげで家族の時間が、何倍も何百倍も彩り豊かになっていることは確かです。いつで…

主人と家内

husband=財産管理人、wife=ベールで隠されたもの。言葉はすでに形骸化され、記号になっています。主人、家内も同じでは。要は、どんな家庭生活を送っているかでしょう。 そのままでいいと思うのです。絵本の中の夫婦のように。

絵本と子ども・音楽・動物の関係

新婚当時*1、相手を選んだ理由を聞かれ「子どもと音楽と動物の好きな男性だから」と何気なく答えた記憶がある。尋ねた年配の奥さんは「まあ!」といたく感心していた。今、自分の挙げた理由を振り返り、これって人生を幸福色に染める核ばかりじゃない!と自…

移民の子どもたちと読書

昨日、記したつづき。移民の子どもたちについて。うちの小学校、移民の割合はどのくらいなんだろう。白系の子どもたちは1-2割。アフリカ系米国人も2割ぐらい。あとはみんな移民で、南米、アフリカ、アジアという順で多い。 確立した宗教観・価値観を文化背景…

子どもの本は、子どもを救えない

児童文学には多感な子どもたちを支援し、成長を見届ける使命がある。ということなのだけど、これだけ読書のさかんな米国にあって(というか、都市問題を抱く社会ではどこでもそうなのだろうが)、その命題がまったく機能しない部分が存在する。これは子ども…

The Father Who Had 10 Children パパと10にんのこども

パパは朝から大忙し。10人の子どもたちのために早起きして朝食を作り、洋服を着せ、学校に連れて行く。(ひゃあ、これは大変!)仕事から戻れば、お風呂、夕食。お話ひとつを聞かせて寝かしつけた後に、パパは自分の夢計画に取り組んだ。それは船を作って、…

How We Are Smart マイノリティの偉人を紹介する絵本

渡米した頃に知り、いたく感動した教育論があった。ハーバード大学ハワード・ガードナー教授*1の7つの知性分類(マルチプル・インテリジェンス)である。 言語的知性:word smart 言語能力、ここでは国語能力 論理的知性:logic smart 数学的思考、数学分野…

Mystery Bottle おじいちゃんからもらったガラスのこびん

ある日、突然送られてきたガラスの小瓶。中には、地図が入っている。差出人は、イランに住むおじいちゃんだ。突然風が吹いてきて、男の子は風に乗って街を過ぎ、海を渡り、山を越え、お父さんの生まれた街、テヘランに到着した。そこではおじいちゃんが待っ…

The Chicken-Chasing Queen of Lamar County 「やめられない、とまらない」の気持ち

『The Chicken-chasing Queen of Lamar County』には、おばあちゃんから「だめ!」って言われているのに、そう〜っと忍び寄り、にわとりを捕まえたくてたまらない女の子が描かれる。まるで、うちの子どもたちのようだ。「かまっちゃ、だめ!」と言っているの…

Ghost Ship 潮風に吹かれ歴史をひもとけば……

『Ghost Ship』は、久々に息子と読んだ絵本。 トーマス・フレミングは夏になると、ケープ・コッドの祖母の家で休暇を過ごす。築後200年以上を経た家は海岸沿いに立ち、その昔土地の名士でもあったアンドリュー・ハレット船長が所有していた。ある日、砂浜で…

Secret in the Garden 母の日にお庭の絵本

母の日の朝は、ライラックの香り――テーブルの上に薄紫色のライラックと黄色いペーパーフラワーが飾られ、娘の詩と手作りカード*1が置かれていた。そのかたわらには、バタースポンジケーキとダークチョコレート。子どもたちがお小遣いをはたいて、わたしの好…

かあさん、わたしのことすき?

『Mama, Do You Love Me?』(邦訳『かあさん、わたしのことすき?』)は、イヌイットの母と子の会話を通して無条件の愛を描く美しい絵本です。女の子がお母さんにたずねます。 「かあさん、わたしのことすき?」 「ええ すきよ、だいすきよ」 「どれくらいす…

ママ だいすき

息子が小さな頃のこと。あれは確か水泳教室に通っていたときだから、2歳半から3歳ぐらいだっただろうか。車に乗り込んでわたしがエンジンをかけようとしたとき、ふとうれしそうに「ママ、だーいすき!」と言った。ちょうどわたしの友人もいっしょにいて、…

The Police Cloud ふわふわくものおまわりさん

ふわふわくもは、おまわりさんにあこがれていました。「あの帽子をかぶって、人々をたすけるおしごとがしたいなあ」。警察の署長さんに会って話をすると、「くものおまわりさんとはきいたことがないけれど、はたらいてもうらうことにしよう」――。ふわふわく…

Every Friday 父さんといっしょの金曜日

『Every Friday』に描かれるのは、お父さんと小学生ぐらいの男の子。父子は毎週金曜日の朝、特別なお出かけをします。お母さんと赤ちゃんに「行ってまいります」を言って、目指すは街の小さな食堂。ここで二人は、お決まりのメニュー、パンケーキの朝食を楽…

What Elephant? えっ、ゾウ?

ある日、巨大なゾウが自分の部屋にやって来たら、あなたならどうする? 親友に話しても信じてくれない。自分もそんなことあるはずがないと、目の前で起きている事象が信じられずにいる。でも、ゾウは現実にここにいて、テレビを見たり、チョコレートチップク…

これ、欲しいのです!

「フューチャリスト宣言」サイン本欲しい! でも発送は国内のみ。まあ、当選したときに考えればいいことですね。フューチャリスト宣言 (ちくま新書)作者: 梅田望夫,茂木健一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/05/08メディア: 新書購入: 15人 クリック…

Bounce ぼい〜ん

『Wiggle (Bccb Blue Ribbon Picture Book Awards (Awards))』も愉快な絵本だったけれど、ちょっとsilly(おふざけ)な部分がどうかしら?という印象だった。でも、今度の『Bounce』は100%どっぷり、犬くんと遊べるね。きっと春だから、冒頭のぴょんぴょん…

ユーモア絵本

today and today 一茶の俳句絵本

俳句が英語になると、不思議な感じがする。575のリズムがなくなり型から言葉がこぼれ落ちる分、しっとりとイメージの世界が広がっていくような感覚に捉われる。一茶の俳句を絵本にした『Today and Today』を読んだときも、同じような感覚だった。 今まで…

母の日に読む絵本「おかあさん どーこ」

母親という内的存在を理解できるようになったのは、遅ればせながら自分が母親になってからです。たとえば、玉子焼きを焼いているときであるとか、膝に穴のあいたパンツを繕っているときであるとか――。日々子どもと過ごす中で、ふとしたできごとを通して、母…

絵本の中の家族像

あちらこちらでフェミニズムの言葉を目にしたので、自分なりの思いをつづる。子どものいる風景とフェミニズムの風は相反するという印象があった。それは今でもそう。母親がいて、父親がいて、子どもが育つ風景。絵本の中ではごく当たり前の家族像なのだが、…