2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

レベルに合った本 

ガイデッド・リーディング・プログラムを成功させるに当たり、根幹となる部分が選書である。メンタル・イメージを抱けない本はレベルに合っていない証拠ということで、とにかく教師たちは「自分のレベルに合う本」を選ばせる。 ノンフィクションの図鑑や人気…

スキーマを増やす(3) 1年生の教室で

T-to-S コネクション(テキストtoセルフ・コネクション) 1冊の絵本を読み、自分の生活とつながる部分を発表させる。(カーペット・コーナー) 自分のレベルに合った絵本を読み、T-to-Sコネクションを探し、ポストイットノートに記す。 いくつもあれば、何…

スキーマを増やす(2) 1年生の教室で

T-to-T コネクション(テキストtoテキスト・コネクション) 2冊の絵本(子どもたちの日常を描くようなお話)を読み内容を比較する。 ".....reminds me of......"のパターンで、2冊のどことどこがつながっていると思うか、理由も添えて発言。 模造紙を2分…

スキーマを増やす 1年生の教室で

スキーマを増やす活動では、主に科学、社会分野の簡単なノンフィクション絵本が用いられる。スキーマ2 最近学んだスキーマについて、一人一人発表する。(カーペットコーナー)"I have new schema about....." 各自レベルに合ったノンフィクション絵本を選…

スキーマを持つ 1年生の教室で 

「スキーマ(schema)」はガイデッド・リーディングのキーワードでもある。このプログラムでは、「過去の経験から得た知識、すでに知ってる知識」として使用する用語だが、心理学では「世界を認知したり外界に働きかけたりする土台となる内的な枠組み」(広辞…

メンタル・イメージ 幼稚園、1年生の教室で

自分の働いている小学校は、昨年から全校でガイデッド・リーディング・プログラムを取り入れている。去年、幼稚園、1年生、2年生のクラスで関わった同プログラムについて考察メモを記す。あくまでも個人的メモ。 月ごとにテーマが決まっており、このときは…

Thank You Bear くまくん、ありがとう ロングテール現象の絵本

『Thank You Bear』(邦訳『サンキュー ベア ありがとう 子ぐまくん』)を読んで最初に思ったこと――これは「ウェブ2.0、ロングテール現象を象徴する絵本」ではないか!――ちょっと大げさかもしれませんが。 ある日、くまくんは小さな箱を見つけました。「なん…

Leaves おちばとくまさん

初めての秋を迎えるくまさんは、木の葉が色づき散り始めたことが心配でなりません。落ち葉をかき集め何とか元に戻そうとしますが、そのうち眠くなってきて、結局集めた落ち葉を洞穴に詰めて冬眠に入りました。 紅葉の神秘を不思議に思う『Leaves』のくまさん…

Mary and the Mouse, The Mouse and Mary マリーとねずみさんはおともだち

小動物に出会ったとき、子どもって必ず動物たちの日常を想像しているように思います。たとえば、庭を駆け回っている子リスとか、入り口ドアの横に大きな巣を作ったクモとか。お父さんがいて、お母さんがいて、お兄ちゃんがいて……と自分と同じ家族構成を描き…

The Princess and the Pea アフリカを舞台にした えんどう豆の上のおひめさま

『The Princess and the Pea』は、アンデルセン作「えんどう豆の上のおひめさま」の舞台をアフリカに移したお話です。作者のイザドラはアフリカに何度か住んだことがあり、このおとぎ話のアフリカ版が作れないかとずっと案を練っていたそうです。 王子の出会…

Imagine Harry みえない ともだちハリー

『Imagine Harry』は、見えない友だちの存在を通して子どもの成長を描く、わりとよくあるタイプの絵本。でも深みのあるイラストがすてきで、背景を眺めるだけでちょっと満足していたりする。それと、うさぎの坊やを見守る母さんうさぎの存在も温かい。新学期…

Tippy-Tippy-Tippy, Hide! 続はらぺこウサギ対マグリーリさん

あのはらぺこウサギたちが帰ってきました。『むしゃ!むしゃ!むしゃ!―マグリーリさんとはらぺこウサギ』(原書『Muncha! Muncha! Muncha! (Anne Schwartz Books)』)の続編が『Tippy-Tippy-Tippy, Hide!』です。 冬が到来し、はらぺこウサギたちが寒さをしの…

I Am Invited to a Party! パーティにおよばれ

大急ぎで書いていたら、とっても大切な日を抜かしてしまいました! この日は、シアトル公立図書館ノースイースト分館でハトさんシリーズ、ぞうさん&ぶたちゃんシリーズ、くたくたうさぎシリーズ*1の作者モー・ウィレムズさんにお会いしてきた記念すべき日で…

ぶたの絵本、ぞうの絵本、モーさんの絵本

Dragon Dancing お誕生日にドラゴン作り

春節のことを思うと、『Dragon Dancing』も季節はずれの絵本。メイ・リンのお誕生日に、子どもたちがドラゴン作りをします。カラフルなリボン、ひも、紙を使って飾りつけする光景は、思わずわたしも手を伸ばしたくなったほど。ドラゴンって、鮮やかな色の重…

Slugs in Love ナメクジの恋ものがたり

季節がとびっきりずれていますが、バレンタインにぴったりの絵本に出会いました。その名も『Slugs in Love』。主人公たちは、ナメクジです。ハービーに恋するマリールーは、こっそり詩を書いて気持ちを伝えますが、60匹を下らないナメクジ共同体にあって、ハ…

Dogs and Cats, Cats and Dogs 犬猫・猫犬 さかさま絵本

『Dogs and Cats』は、犬と猫の生態、おもしろ知識をそれぞれ表紙、裏表紙から解説するノンフィクションさかさま絵本です。 さかさま絵本なので、表紙は何も犬でなくていいのですが、アマゾンの登録は犬の表紙でした。猫の表紙には赤地にチャコールグレーの…

Let it Shine 3つの黒人霊歌を称えた絵本

『Let it Shine』には、3つの黒人霊歌が鮮やかな切り絵とともに収められている。表題の"Let it Shine"に加え、"Oh, When the Saints Go Marching In""He's Got the Whole World in His Hands"はどれも、耳に馴染んだ歌ばかり。明るいメロディラインを口ずさ…

Wow! School! わあ、学校だよ!

Wow!シリーズ3冊目『Wow! School! (Wow! Picture Book, A)』には、幼稚園初日の様子が、特大の見開きイラストで紹介される。"WOW! CLASSROOM!""WOW! TEACHER!""WOW! ART!""WOW! BOOKS!""WOW! LUNCH!"……。教室に先生が登場した後、アート、おはなし、昼食、遊…

Our Global Community: Markets 世界の市場めぐり

衣食住は、異文化理解にもってこいのテーマ。そう考えると絵本『Markets (Our Global Community)』には、この3要素がすべて含まれていると気づかされた。言葉や場所が違っても、人間の営みは同じものだ。人々は衣食を求めて市場を訪れる。売る人、買う人、市…

The Perfect Nest 完璧すぎるのも災難!

猫のジャックは、カンペキな「巣」を作ろうと奮闘していました。柔らかいわらを敷き居心地のいい巣を作れば、そこにニワトリが美味しい卵を産んでくれると思ったのです。産みたての卵で作るオムレツのことを考えるとジャックの胸は弾みました。さて、こうし…

Girl's Like Spaghetti アポストロフィーについて語る文法の絵本

コンマの役割についてわかりやすく語った『Eats, Shoots & Leaves: Why, Commas Really Do Make a Difference!』*1に続く文法絵本の第2弾は、アポストロフィーの役割を伝える『The Girl's Like Spaghetti: Why, You Can't Manage without Apostrophes!』。で…

At Gleason's Gym 世界でもっとも有名なジムを活写した絵本

「ねえママ、これ読んで」――。ぐちゃりと崩れた絵本の山から息子が拾い上げた一冊は『At Gleason's Gym』。ヘビー級世界王者モハメド・アリやミドル級世界王者ジェイク・ラ・モッタらを排出したニューヨーク・ブルックリンにあるグリーソン・ジムを活写する…

Knuffle Bunny Too: A Case of Mistaken Identity くたくたうさぎのおともだち

「『Knuffle Bunny』*1(邦訳『トリクシーのくたくたうさぎ (にいるぶっくす)』)のトリクシーがこんなに大きくなったよ!」と娘に『Knuffle Bunny Too: A Case of Mistaken Identity』の表紙を見せると、「ええー!」とびっくり顔。見て見て、このおかっぱ…

Dog Needs a Bone ワンちゃんはホネがほしい

今年もたくさん犬猫関連の絵本に出会ったけれど、中でも『A Dog Needs a Bone』はコミカルに犬の習性が描かれていて微笑ましかった。タイトルのまま、とにかくこの寝坊すけまなこのワンちゃんは、ごちそうのホネが欲しくてたまらない。でも奥さまはなかなか…

Look at You!: A Baby Body Book 赤ちゃんは、赤ちゃんが大好き

赤ちゃんは、赤ちゃんが大好き。この事実は、二人の子どもを育ててみて大いに実感できた。『Look at You!: A Baby Body Book』を開いたら、赤ちゃんたちはきっと同じ気持ちが体験できると思う。ページによっては等身大に描かれた赤ちゃんが、とびきりの笑顔…

The Growing Story 子どもの成長をたたえる絵本

今風に言えば、英米大御所の「コラボ絵本」ということになるのかな。『The Growing Story』を見て、クラウス(1901-1993年)×オクセンバリーという組み合わせに胸が弾んだ。 子どもの成長を賛歌する絵本の舞台は広い農場。待ち焦がれた春を迎え、お母さんと…

My Dog is as Smelly as Dirty Socks 身近なモノでアート!

art

アート心をくすぐる、楽しい絵本に出会いました。日頃「アート」からかけ離れていても、『My Dog Is As Smelly As Dirty Socks: And Other Funny Family Portraits』を開いたら、ふと机の上に置かれたボールペンと石ころ、消しゴムなんかを使って、誰かの顔…

Taj Mahal タージ・マハールの伝説

『Taj Mahal』は、タージ・マハール建設の背景を語る、豪華な絵本です。 栄華を極めたムガール帝国の王シャー・ジャハン(1592-1666)が最愛の妻ムンタズ・マハールの死を嘆き建てたという宮殿には、二人の愛を語るにふさわしいエピソードが詠われています。…

Capoeira 護身と舞踏のカポエイラ

『Capoeira: Game! Dance! Martial Art!』は、ブラジルに伝わる護身と舞踏、カポエイラを紹介する絵本です。カリフォルニア州オークランドにあるカポエイラ学校の様子が、たくさんの写真で伝えられます。 ブラジルに連れてこられたアフリカ人奴隷が始めたと…