2008-01-01から1年間の記事一覧

Why? クリスマスの戦争

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ハマスとイスラエル軍の戦闘第一報を聞き、なぜ、クリスマス、ハヌカに戦争*1,*2を? 2008年最後を締めくくる絵本は『Why?』だ。戦争の愚かさを描く、ロシア人画家による文字なし絵本である。 穏やかなある日、カエルは石に腰かけ麗しい白い花を手に持ち観賞…

How to Find Flower Fairies 今年魅せられたポップアップ絵本その2

昨日に引き続き*1、ポップアップ絵本のご紹介。『How to Find Flower Fairies』も今年、何度も手に取り購入しようと思いつつ、ほかに優先させる絵本があり、まだ手元に置いていないポップアップ絵本。バーカーの妖精ファンなら必読書とも言える、豪華でうっ…

Moby-Dick: A Pop-Up Book 今年魅せられたポップアップ絵本その1

グラフィックノベルとポップアップがドッキングした絵本『Moby-dick: A Pop-up Book』は今年、息子に買おうか買うまいか、かなり悩んだ作品です。結局購入せず今に至っていますが、何か機会があればぜひ手に入れたい。ハーマン・メルヴィルの小説「白鯨」に…

ひみつのかいだん

昨日*1に続き、絵本シリーズ「のばらの村のものがたり」(全8巻)から、その5となる『ひみつのかいだん (のばらの村のものがたり (5))』をご紹介。 本書では、冬至まつりの準備に忙しいだんしゃく家の樫の木館を舞台に、屋根裏部屋で見つけた秘密の階段を探…

雪の日のパーティー

「のばらの村のものがたり」(全8巻)――ずっと欲しかった絵本が復刊され、さっそく季節にお似合いのお話から読み始めました。シリーズその4は『のばらの村のものがたり(4)雪の日のパーティー (講談社の翻訳絵本)』。大雪に見舞われたら、ご先祖のしきたりを…

青い鳥

今日も、雪。ぼたん雪を眺めながら、部屋にたたずむ時間に推され『青い鳥 (世界の名作 (1))』を手にした。 クリスマスの前の晩。貧しいきこりの家に、クリスマスらしさは何ひとつ存在しない。いつもと同じにほんの少しの黒パンとスープだけのさびしい食事を…

くるみ割り人形

降誕日に読んだ絵本は『くるみ割り人形』。イブの夜にもらったくるみ割り人形をめぐる少女マリーの夢と愛、勇気を描くファンタジーです。最後にこっけいな姿のくるみ割り人形と結ばれる物語は、少々「美女と野獣」的なテーマも含まれます。真の愛情を貫いた…

The Hundred Dresses 百まいのドレス

年明けの2月初旬、娘の学校で文学フェアが開かれる。今年開催の科学フェアと隔年で、テーマを決めて作品の展示発表をするのである。で、選書をどうしようと悩んだ挙句『The Hundred Dresses』(邦訳『百まいのドレス』)などよいのではないか……と思いついた…

ほしのひかった そのばんに

『ほしのひかったそのばんに』は、最初のクリスマスをわかりやすく伝える絵本です。新訳聖書「マタイによる福音書」「ルカによる福音書」のイエス降誕に至る場面を、やさしく語っています。 深紅の表紙には、「さあ、こっちよ」とベツレヘムを指差しているか…

サンタクロースのすきな おはなし

木の幹にもたれ、気持ちよさそうにいびきをかいて眠っているサンタクロース。大忙しのクリスマスを前に準備運動をしていたら、疲れてふと居眠りしてしまったのです。「もう ことしは ひとりで クリスマス プレゼントを せおって いくのは むりかもしれない」…

Tin Lizzie 今年のクリスマス・プレゼント その4

『Tin Lizzie』は、主人へのクリスマス・プレゼント。趣味にも授業にも使えそうな、自動車がテーマの絵本です。 自動車工のおじちゃんが孫のリジーたちといっしょに直した車は、フォード社のモデルT(愛称ティン・リジー)。今からちょうど100年前(1908年)…

The Absolutely True Diary of a Part-Time Indian 今年のクリスマス・プレゼント その3

『The Absolutely True Diary of a Part-time Indian (Thorndike Press Large Print Literacy Bridge Series)』は、息子に。地元作家による作品ですし、数々の賞を受賞していて社会的評価が群を抜いています。文化背景がイメージしやすく、共感できることう…

There are cats in this book 今年のクリスマス・プレゼント その2

娘への絵本2冊目はこちら『There Are Cats in This Book』。ねこちゃん3匹が読者に語りかけるユーモラスな仕掛け絵本です。「ページ、めくってー」など、こちらを見つめて直接話かけてくる親しみいっぱいの言葉に、娘はたぶん「おもしろ〜い」を連発するは…

Wonder Bear 今年のクリスマス・プレゼント その1

どこへ足を運ぶにもクリスマス・プレゼントへの想いが駆けめぐり、あれにしようか、これにしようか――今週が一番迷いに迷うころではないでしょうか。その点「贈り物は本」と決めておくと、それだけで目的地がはっきりするので非常に助かります。娘には今年、…

ヘンリー・ブラウンの誕生日 

『Henry's Freedom Box』*1の邦訳『ヘンリー・ブラウンの誕生日』(鈴木出版)が12月10日に発売されました。自らを木箱に詰めて奴隷制度の南部から逃亡を試みた実話は、日本でも多くの読者の胸に迫ることでしょう。もちろん人間の尊厳について考えさせられる…

Fanny

トゥートとパドルのホリー・ホビーさんが、現代風の女の子を描く"Fanny"。バービー風コニー人形好きの女の子たちが出てきて、携帯でおしゃべりしたりで……ああ、絵本では見かけたくない光景……の感想。主人公の女の子はコニー人形を買ってもらえないかわりに手…

A River of Words: The Story of William Carlos Williams ある詩人の功績

『A River of Words: The Story of William Carlos Williams』は、現代米国詩に多大な影響を与えた詩人で医師のウィリアム・カルロス・ウィリアムズの生涯を描く絵本。 米国詩において日常詠は彼が始めたという。生活感にあふれ、人々に愛された理由がたやす…

The 3 Bears and Goldilocks リアルなくまさん一家

おとぎ話絵本と題してしまったけれど、『The 3 Bears and Goldilocks』に出てくる金髪の女の子、くまさん一家はみな、現実の世界で生きているようなキャラクターとして描かれる。 お父さんから「危ない冒険はしないでね」と注意されても、耳にした次の瞬間に…

Abe Lincoln crosses a creek : a tall, thin tale (introducing his forgotten frontier friend) リンカーン大統領、幼少期のエピソード

『Abe Lincoln Crosses a Creek: A Tall, Thin Tale (Introducing His Forgotten Frontier Friend)』は、幼なじみが語る第16代大統領リンカーンの少年時代を描く絵本。幼なじみオースティン10歳、エイブ7歳のときに、川下りを試みたエピソードが語られる。 …

Barack Obama: Son of Promise, Child of Hope オバマ時代のはじまり

『Barack Obama: Son of Promise, Child of Hope』の人気ぶりを知っているのか知らないのか定かでないけれど、主人曰く「これからたくさんオバマ大統領の絵本が出てくるね」。本作はその第一歩か。北軍勝利(リンカーン大統領)、公民権運動(キング牧師)は…

March On!: The Day My Brother Martin Changed The World 米国を変えた日

『March On!: The Day My Brother Martin Changed the World』は、キング牧師の姉が1963年8月を振り返るノンフィクション絵本。米国を、そして世界を変えた日のドキュメンタリーが、一番身近にいたであろう人の声を通して伝えられると、熱い夏がさらに熱く感…

ゆうかんなミミと大きなクマさん

クリスマスがテーマではないけれど、今頃の季節にぴったりの、ほっこり心のあたたまる絵本に出会いました。ティファニー・ビークのイラストということで、これだけでもうほろり――絵本との恋に落ちてしまうのですが、しかし、文章を読むまでわかりません。で…

おもいでのクリスマスツリー

『おもいでのクリスマスツリー』は、毎年持ち回りで村のクリスマスツリーを用意するという米国アパラチア地方の一村を背景に、力強く生きる母子を描く。 時代は第一次世界大戦勃発のころ。出兵した父親を待つ娘と母親が貧しくとも凛と背筋を伸ばし生きる姿が…

Usborne's 50 Christmas Things to Make & Do クリスマスのクラフトブック

『50 Christmas Things to Make and Do』で提案されるクリスマスクラフトは、かわいいし簡単。非常にアーティスティックで一目で気に入ってしまった。主にペーパークラフトやコラージュが中心で、子どもが気軽に取り組めそうだ。 アドベント期間中は、この本…

Toy Dance Party おもちゃトリオの行く末は……

『Toys Go Out: Being the Adventures of a Knowledgeable Stingray, a Toughy Little Buffalo, and Someone Called Plastic』*1の第2弾『Toy Dance Party (Toys Go Out)』が9月に出た。おもちゃ3トリオとの再会に、わたしも娘もワックワク。彼女は1冊目を再…

2008年アドベントに読むクリスマスの絵本24冊

1日から一日一冊読んでいくクリスマスの絵本。今年のリストは、こんな感じになりました。その年の気分しだいなので、毎年過去の絵本リストを振り返るのが楽しみです。 1日 こぐまのクリスマス クリスマスをまつ24のおはなし◆ 2日 ボビーとそらいろのヨット―…

The Christmas Rose クリスマス・ローズによせて

『The Christmas Rose』は2年前に再版されて話題に上っていた、1920年代ドイツ初版のクリスマス絵本です。アドベント・カレンダー的な意味合いで出版され、その後絶版。画家エルゼ・ヴェンツ-フィエトルの娘さんたちがその存在を明かすまで、ずっと過去に葬…

Jingle-Jingle ぱかぽこはしろのクリスマス版

『Jingle-Jingle』は、『Clip-clop』(邦訳『ぱかぽこはしろ! (児童図書館・絵本の部屋)』)*1のクリスマス絵本です。こちらも子どもの喜びを素直に描き、ほろりとかわいい。こんどはみんなでソリすべりを楽しみます。 坂の上から、ひゅ〜。おうまさんもソリ…

クリスマスの絵本棚

毎年挙げている「アドベントに読む絵本24冊」は12月に入ってからご紹介することとして、クリスマス商戦のはじまったブラック・フライデーの今日は、アマゾンくるくるウィジェットに並べてみたクリスマス絵本10冊を「クリスマスの絵本棚」として列挙してみま…

バーナデットのモミの木

美しい絵と言葉。そこに心のこもった物語が宿っていたら、これほど胸に染み入る絵本はありません。幼少期を振りかえるとき、ときに叙情におぼれてしまいがちな作品の多かったことも否めませんが、絵本の定義は「心を打つ言葉、絵、物語」だったはずと記憶し…