2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

The Christmas Rose クリスマス・ローズによせて

『The Christmas Rose』は2年前に再版されて話題に上っていた、1920年代ドイツ初版のクリスマス絵本です。アドベント・カレンダー的な意味合いで出版され、その後絶版。画家エルゼ・ヴェンツ-フィエトルの娘さんたちがその存在を明かすまで、ずっと過去に葬…

Jingle-Jingle ぱかぽこはしろのクリスマス版

『Jingle-Jingle』は、『Clip-clop』(邦訳『ぱかぽこはしろ! (児童図書館・絵本の部屋)』)*1のクリスマス絵本です。こちらも子どもの喜びを素直に描き、ほろりとかわいい。こんどはみんなでソリすべりを楽しみます。 坂の上から、ひゅ〜。おうまさんもソリ…

クリスマスの絵本棚

毎年挙げている「アドベントに読む絵本24冊」は12月に入ってからご紹介することとして、クリスマス商戦のはじまったブラック・フライデーの今日は、アマゾンくるくるウィジェットに並べてみたクリスマス絵本10冊を「クリスマスの絵本棚」として列挙してみま…

バーナデットのモミの木

美しい絵と言葉。そこに心のこもった物語が宿っていたら、これほど胸に染み入る絵本はありません。幼少期を振りかえるとき、ときに叙情におぼれてしまいがちな作品の多かったことも否めませんが、絵本の定義は「心を打つ言葉、絵、物語」だったはずと記憶し…

ちっちゃな サンタさん

サンタさんは大きくて、プレゼントをたくさん持っているおじいさんだと思っていたのに、『ちっちゃな サンタさん』のサンタクロースさんはまったく違いました。ちっちゃくて、プレゼントも何も持っていなくて。びっくりした女の子マガーリは、どうしたと思い…

How Many Ways Can You Catch a Fly? どうぶつものしり絵本

『How Many Ways Can You Catch a Fly?』は、アートなちぎり絵で数々の動物ノンフィクション絵本を生みだしたジェンキンス・ペイジ夫妻の最新絵本。表題の質問に加え、魚獲得の方法、たまごのかえし方、葉っぱの使い方など、動物たちの生態に迫る興味深い事…

"Goodnight Bush"の公式サイト

オバマ圧倒勝利で終えた2008年の米大統領選挙戦。史上初のアフリカ系大統領が誕生した歴史的な年に、クリントン政権以降の軌跡を共和党の実践から集約したパロディ絵本『Goodnight Bush』*1も、勝因の一端を担ったかもしれない。というか、それが目的だった…

Boys of Steel: The Creators of Superman スーパーマンの著作権

スーパーマン誕生の背景に、どのようなストーリーがあったのか。『Boys of Steel: The Creators of Superman』を読み、組織の中で創造活動する難しさを痛感した。 高校の同級生同士、苦心のたまものとして生み出したスーパーマンが自分たちの手を離れ、時代…

サンタクロースとぎんのくま

『サンタクロースとぎんのくま (世界傑作絵本シリーズ)』の魅力は、男の子マルチとぎんのくまの存在でしょう。 「まりは いもうとの モニカ、ぎんのくまは おにいさんの マルチにあげよう」――。サンタクロースからもらったプレゼントは、ぎんのくまとまり(…

わすれないでね サンタクロース

おにいちゃんとおねえちゃんにはプレゼントを残していったのに、どうしてぼくにはプレゼントをくれないの? まってよ、サンタクロースさん!……と言わんばかりに、よちよち歩きのあかちゃんがサンタさんのあとを追い、サンタの国を訪ねる文字なし絵本が『わす…

クリスマスものがたり

昨夕は子どもたちにせがまれて、パンプキン・パイを2つ焼きました。ということは、すでに収穫感謝の季節を迎えているのですね。七面鳥受難の日は、もう来週に迫っています。こうしてアドベントを迎え、クリスマスの準備に突入……。昨年の流れ方にも増して時間…

サンタさんへのてがみ

『サンタさんへのてがみ』(原書『Message For Santa』)と聞き、欲しいものリストを伝えるお手紙を書くお話かと思ったらまったくの見当違いだった。絵本では、サンタクロースさんが怖くて「ちょっと苦手〜」と感じている女の子が主人公。「あたしの おうち…

Wangari's Trees of Peace ワンガリさんの平和の木

英語に"Less is more"という表現があるのですが、2004年ノーベル平和賞を受賞したワンガリさん*1を描く『Wangari's Trees of Peace: A True Story from Africa』を読み、その真意を教えてもらった気がします。大切なふしめのできごとだけを取り上げ、インパ…

Twelve Terrible Things 個人的スキーマによる絵本

12のおぞましいできごとが紹介される絵本『Twelve Terrible Things』は、個人的なスキーマによりさまざまな反応を生む作品だ。アイスクリームをぼとんと落とした瞬間、歯医者さんがピカピカのかぎ針を携えこちらの顔をのぞきこむ光景……など、娘は幸か不幸か…

Miss Susy リスのスージーさんが理想的な生き方を見せてくれます

昨日、新しい児童書店で購入した絵本は『Miss Suzy』(邦訳『りすのスージー (ゆかいなゆかいなおはなし)』)の40周年記念版。娘といっしょに読み、スージーさんの生き方にそろってうなづいた。敬称の理由は、頭が下がるほど彼女がはたらきものだから。 りす…

Brava, Strega Nona! しあわせのひみつがいっぱい……

トミー・デ・パオラのファンにはうれしい豪華なポップアップ絵本にお目にかかった。『Brava, Strega Nona!: A Heartwarming Pop-Up Book』は、ロバート・サブダとの共同制作で実現した見ごたえのある一冊だ。ノナおばあちゃんが「しあわせの素」をそれぞれの…

Traces あしあとをおえば……

無いものを見る作業は楽しい。自然の中にひっそりと残された動物たちの「あしあと」を目にして、今さらながら足跡の魅力を確かめた。といっても絵本『Traces』でのことだけど。 なにかが、だれかが、たった今までここにいて、ふといなくなった――あしあとだけ…

パリのおばあさんの物語

人生四十路を迎えたあたりから、ぼんやりと老後の暮らしを思い描くようになった。どこで暮らそうか、何をしようか。移住が当たり前の米国にいると、家族編成によって家のサイズを変え移り住む習慣が、いつの間にか自分の中でも普通に感じられるから怖い。 古…

エリック・カールのアドベント・カレンダー

夏に購入していたアドベント・カレンダー『The World of Eric Carle(TM) Eric Carle's Dream Snow Pop-Up Advent Calendar』(絵本の邦訳は『ゆめのゆき』)を開く時期が近づき、ワクワク。中心にクリスマスツリーが立ち、ここに贈り物を下げていく趣向だ。…

おたすけ こびと

『おたすけこびと』は、英語版『Who Made This Cake?』を通して出会った絵本です。小人たちが「働く自動車」に乗ってすてきな計画を実行する絵本と知り、即座にアマゾンのボタンをクリックしていました。 息子が小さな頃に出会っていたかった絵本でした。ク…

Goodnight Goon: A Petrifying Parody おやすみなさいのおばけ版

『Goodnight Goon: a Petrifying Parody』のレビューは、ハロウィン前に書いておくべきだった。まろやかな月光の下、静まりかえるはずお部屋に、おどろおどろしくも憎めないお化けや怪物たちがひしめき合う。まさにハロウィンにぴったりの愉快な設定だ。しか…

Houndsley and Catina and the Quiet Time 犬猫たちの静かな冬

『Houndsley and Catina and the Quiet Time: Candlewick Sparks』は、ハウンズリー&キャティーナ・シリーズ*1の冬のお話。 このシリーズは子ども向けの初級読本ではあるのだけれど、2匹が独身男女の友情物語を演じているような、大人の雰囲気をほのめかし…

Little Hoot ふくろうぼうやのおやすみストーリー

『Little Hoot』は、『Little Pea』*1のフクロウ版でしょうか。おやすみ前の一幕に登場するこちらのファミリーも、ほのぼのしていて可愛らしかったです。 今回は、フクロウの夜行性を前提にした着眼点がウィットに富んでいます。子どもの本能とは正反対の、…

The Day Leo Said I Hate You 「ヘイト」の意味

『The Day Leo Said I Hate You!』は、読者対象を選んで読むべき絵本だろう。さいわいにも絵本の中のきかん坊レオは「ヘイト」がどのような意味を持つ強い表現なのかを知っていたので、お母さんに向かって暴言を吐いた後、ことの成り行きは終結に向かう。 こ…

人形たちのクリスマス

『人形たちのクリスマス―ターシャ・テューダークラシックコレクション』は、チューダー家の伝統であるお人形たちのクリスマス会を伝える絵本です。何か日本の雛祭りを想起させるお話でした。子どもの背よりも高い大きな人形の家は、さながら絢爛豪華な雛壇で…

もうすぐ ゆきのクリスマス

『もうすぐゆきのクリスマス―ターシャ・テューダークラシックコレクション』では、1830年代をもっとも愛しているというターシャ・チューダーが当時のクリスマスを伝えます。 絵本から伝わるのは、ビクトリア朝時代の風。英国が産業革命を完成させ海外進出を…