2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

Wilfrid Gordon McDonald Partridge おばあちゃんのきおく

『Wilfrid Gordon McDonald Partridge (Public Television Storytime Books)』に出会ったのは、確か2年生の教室で。国語(synthesizing)のときだったと思います。このやけに長いタイトルは、小さな男の子の名前です。絵本は、高齢者施設のお隣りに住む男の…

Colonial Voices: Hear them Speak

ボストン・ティー・パーティ事件――英国議会による東インド会社の茶税を課された植民者たちが、船中の茶を海に投げ捨てた事件。『Colonial Voices: Hear Them Speak』では1773年12月16日の事件当夜に向けて、早朝からボストンの人々がどんな時間を過ごしてい…

One Hen: How One Small Loan Made a Big Difference

『One Hen: How One Small Loan Made a Big Difference (CitizenKid)』は、わずかなお金を元に一羽の雌鶏を買い、一からスタートしてアフリカ一の養鶏農場を成功させたクワンビナ・ダーコさんの生涯を少年コージョーに置き換えて語ったお話。読むことで、途…

A Boy Named Beckoning: The True Story of Dr. Carlos Montezuma, Native American Hero 北米先住民族の社会的地位向上に尽力した医師カルロス・モンテズマの生涯

部族殺戮に遭った際、5歳で誘拐され、奴隷として売られ、まったく見ず知らずの社会で育てられた――。自分が同じ経験をしていたら、どんな一生を送っていたのか。あまりに波乱万丈の生きざまを知り、読後、衝撃が収まるのをしばらく待つしかなかった。ノンフィ…

Google & Peter Rabbit グーグルにピーター・ラビットとマクレガーさんがご登場

本日7月28日の米Googleタイトルにピーター・ラビットとマクレガーさんが登場しています。作者Beatrix Potter(28 July,1866-22 December,1943)の生誕日ということで、ロゴ制作者が幼少期、同ストーリーに親しんだことが容易に想像(勝手に想像?)できまし…

The House in the Night

『The House in the Night』の表紙で思い出したのが、ワンダ・ガアグの一連作品。この絵本では浮かび上がる光の白と闇に沈む黒を背景に、静かな夜が歌い出す。 始まりは、ひとつの鍵。中表紙には序章として金色の鍵が示され、絵本の中の絵本が開かれている。…

Lady Liberty: A Biography

『Lady Liberty: A Biography』は、壮大な構想の下に生まれた一大歴史ノンフィクション絵本。20年間にわたり自由の女神建造に関わった20万人にも上るアメリカ人、フランス人の働きを、異なる分野からの人々が語る。冒頭は現在。ラトビア移民として米国にわた…

Wild Tracks!

『Wild Tracks!: A Guide to Nature's Footprints』は、北米に住む野生動物の生態を実物大の足跡と共に紹介する絵本。 足跡探しは、楽しい。森に探索に出かけるとき、持参してもいいかもしれない。「実物大」の迫力に勝るものはないなあ。折り込みの見開きが…

Horse Songs

『Horse Song: The Naadam of Mongolia (Adventures Around the World)』は、作者ルーウィン夫妻が夏のモンゴルを訪れ、伝統的な子ども競馬レースをルポした絵本。巻末に解説が付き、モンゴルの文化風習・生活も、もちろん同時に学べる。 夏のモンゴルかあ。…

Buffalo Music

『Buffalo Music』も、北米野生動物もの。狩猟過多のため絶滅寸前に追い込まれたバファローを飼育し、野生動物保護に貢献したマリー・アン・グッドナイト(なんて素敵な苗字!)の働きを描く。作中では、モリーとして登場する。 作品一番の魅力は、一人称に…

I'm Bad!

『I'm Bad!』では、威張り散らして強がるけれど、本当はまだ何もできないTレックスが主人公。牙をむき出して大股で歩いても、やはりまだ子ども。大人から見れば、素振りがかわいい。 わたしはなんと言っても大胆な水彩に感動。恐竜の絵本なのだけれど、なぜ…

The Wolves are Back

『The Wolves Are Back』は、イエローストーン国立公園に生息するオオカミと野生動物の生態を描く絵本。柔和な動物だけを保護する政策が取られたため、狩猟が奨励されたオオカミは1926年頃、ほぼ全滅だったという。でも、その後、保護政策が変わり、やっとオ…

Will Sheila Share?

日本では「どうぞ」の一言で、いっしょに分け合うことを学んでいたような気がする。いちごを一粒、はい、どうぞ。バナナを一本、はい、どうぞ。小さな子どもが始める「どうぞごっこ」で、家のその場がぐんと和む光景は想像にたやすい。 『Will Sheila Share?…

Sisters & Brothers: Sibling Relationships in the Animal World どうぶつの兄弟姉妹

『Sisters and Brothers: Sibling Relationships in the Animal World』は、動物の兄弟関係や行動に焦点を当てた絵本。親子を語るノンフィクション絵本が多い中、個人的に今まで思い描けなかった視点だった。どう考えてみても、イメージが浮かばない。せいぜ…

Owney the Mail-Pouch Pooch お手紙守ります 郵便犬オウニーのお話

『Owney, the Mail-Pouch Pooch』は郵便犬として実在したテリア犬、オウニーを描く絵本。1888年10月、雨の降りしきる寒い夜、一匹の野良犬がニューヨーク、アルバニー郵便局に迷いこんだ。野良犬を見つけた職員たちは、手紙の詰ったキャンバス袋に寝そべる犬…

Cool Daddy Rat 親子でスキャット ドゥビドゥバッ

『Cool Daddy Rat』は、コミカルなタッチで描かれるねずみ親子のジャズ修行絵本。いえいえ、修行ではない。街角で、公園で、ベースを爪弾けばリズムが踊り出す。パフォーマーは、音楽に囲まれていればそれで至福。幸せな時間に包まれる。 ニューヨーク好き、…

Elizabeth Leads the Way: Elizabeth Cady Stanton and the Right to Vote 女性参政権運動家エリザベス・キャディ・スタントン

『Elizabeth Leads the Way: Elizabeth Cady Stanton and the Right to Vote』の冒頭で問いかけられる質問がいい。「女の子だから×××できない――あなたならどう思う?」――ああ、絶対に娘に読んでもらわなくちゃ。女子なので財産所有権がないetc.など、もろも…

Potato Joe じゃがいもジョーの遊び歌

ぜったい、畑でごろごろ転がるジャガイモを見て生まれた絵本。『Potato Joe』では、ジョーの仲間たちが数を数えたり言葉遊びをしたりで、小さな子ども向けの「ザ・畑エンタテイメント」が賑やかに繰り広げられる。じゃがいもたちが一言ずつ台詞を発する姿に…

Jumpy Jack & Googily ジャンピー・ジャックとグーギリー――不気味で不思議な2匹の物語

同じ作家コンビによる2作目『Jumpy Jack & Googily』は、表紙の2匹を見ただけで何だか変わった絵本という印象が残る。銀色の糸を地面に引くかたつむが、ビクビク、ソワソワ、何にでも異常に反応するビックリ屋ジャック。青い図体にとがった牙をむいた怪物み…

I'm the Best Artist in the Ocean 大イカさん、こんどはイカした芸術家になる

『I'm the Biggest Thing in the Ocean!』*1の2冊目『I'm the Best Artist in the Ocean!』も面白かった。このイカした大イカさんの風貌だけでもうやられた!という感じ。最後はやっぱり駄洒落で幕が閉じられている。 作者はアパレルのブランドを持っている…

Chester 太っちょ猫チェスターのお遊び絵本

娘の誕生日に贈ろうか、どうしようか……と悩んでいた絵本が『Chester』。いたずら猫のチェスターが絵本の内容を自由自在に書き換えてしまうお話で、チェスターの風貌と茶目っ気ぶりが本作品の魅力になっている。「あるところにチェスターというネコがいて……」…

Friday My Radio Flyer Flew 思いっきり遊ぶ

おもちゃの赤いワゴン車"Radio Flyer"で空を飛ぼうとする父子が主人公。イラストの構図が突拍子もなく大胆で、自分も赤ワゴンに乗り込む気分にさせられた。分厚い色使いで塗りたくられた親子の表情を見ているだけで、ぐい〜んと魔法がかってくるのだなあ。ほ…

Skunkdog スカンクとなかよしになった犬

『Skunkdog』は実話なのか、どうなのか。 ダンプリングは人懐こい飼い犬だが、嗅覚を持たないため犬社会から阻害されていた。休暇で訪れた田舎でスカンクと友だちになるが、スカンクはもちろんときに本能を返り悪臭を放つ液体を噴射。ダンプリングの飼い主一…

Ducks Don't Wear Socks まじめな女の子と気さくなダック

エミリーはまじめな女の子。アヒルのダックが靴下を履いたり、ネクタイをつけたり、帽子をかぶり、アヒルらしからぬことをしているのを見て、「アヒルはそんなことしないのよ」と教えてあげる。でもダックはそんなことお構いなし、自分が好きでやっているの…

Cinderella シンデレラ現代版

『Cinderella (As If You Didn't Already Know the Story)』のレビュー。シリーズ2冊目『Thumbelina: Tiny Runaway Bride』*1のベースとなった1冊目は、さらりと読める現代版おとぎ話。父親の再婚により他人と家族になる構図が、今風に面白おかしく描かれる。…

United Tweets of America 全米の州鳥をご紹介

『United Tweets of America: 50 State Birds Their Stories, Their Glories』は、ご当地名物といっしょに全米の州鳥を紹介する絵本。こうやって眺めてみると、同じ鳥が州鳥になっているケースが多くてちょっと驚く。たとえばここワシントン州の鳥「アメリカ…

Learning to Fly ところでペンギンって、飛べたのでしたっけ

『リスとお月さま』*1以上の作品と聞いていたので、わくわくしながら手のひらサイズの小さな絵本『Learning to Fly』を開きました。 これは空を飛びたがっているペンギンと、彼を助ける一人の男――作者――による二人三脚の奮闘物語です。ペンギンから空への憧…

Tweedle Dee Dee 小鳥の歌声 ららららら

『Tweedle Dee Dee』は、巻末にピアノの楽譜が付いた歌絵本です。 ある日、葉の生い茂る夏の木立ちで見つけたのは鳥の巣です。中には青い卵が3つ。ロビンの卵でしょう。卵が返ればもちろん、元気な歌声が。さらりと描いた淡い水彩の、夏の面影がほんとうにさ…

In a Blue Room 青いお部屋でおやすみなさい

青いお部屋でないと眠れないと言うアリス。母さんは紫ライラックと白百合、オレンジ色のお茶、緑のふかふか毛布、そして小さな鈴の飾りを順に運んできてくれますが、やはり青いお部屋の存在にはかなわないようです。でも電灯を消すと部屋は月の光に包まれて…

Superhero ABC スーパーヒーローとお勉強

スーパーヒーローの活躍を描く絵本『Traction Man Is Here! (Boston Globe-Horn Book Awards (Awards))』(邦訳『カッチョマンがやってきた!』)の第2弾『Traction Man Meets Turbodog』が今秋、日米同時発売とのこと。で、その記事中に、同じ趣向でスーパー…