2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Monkey and Me

絵の上手な人の絵本は、もうその存在だけで幸福になります。こちらの絵本も今さらながら、然り。加えて愛娘のあどけなさを描いたとなれば、ページの躍動感にたちまち魅了され、いつの間にかおさるさんといっしょのあてっこ&見立て遊びに引き込まれているの…

あてっこ&見立て遊びの絵本

Martha in the Middle

3人兄弟のまんなかは、『Martha in the Middle』のマーサのように何となく存在感が薄くなりがちなのかしら。大事にされるお姉ちゃんのクララと、可愛がられる末っ子ベンにはさまれて、誰も相手にしてくれないと感じたマーサは家出をしてしまいます。ところが…

くまとやまねこ

丁寧に真心を込めて紡いだ絵本は、それだけで心に染み入ってきます。時間こそが唯一、死の傷心を癒し、心の新生に向かわせてくれる存在なのだ、と『くまとやまねこ』を読み、あらためて思い返しました。死に直面し、乗り越えていくくまの心情が丹念に描かれ…

Max's Dragon

『Max's Words』*1に続く2冊目『Max's Dragon (Max's Words)』では、マックスが押韻の言葉遊びを披露する。クリケットに夢中のお兄ちゃんたちの傍らで、韻を踏む言葉を探して空想に耽っていると突如としてあたりは嵐模様に。「ドラゴンなんていない」と言っ…

Frankenstein Takes the Cake

『Frankenstein Makes a Sandwich』*1の2冊目『Frankenstein Takes the Cake』にも、たくさんの怪物がご登場。ハロウィンの場面も出てくることから、10月にぴったりです。 今度も、フランケンシュタインの結婚準備、首なし男のブログ、エドガー・アラン・ポ…

テディベアに そだてられた おとこのこ

『テディベアにそだてられたおとこのこ』はジェニー・ウィリスの絵本ということで読んでみましたが、思わくが外れてしまったかもしれません。娘は原書『Boy Who Thought He Was a Teddy Bear, the: A Fairy Tale』ですでに知っていて、いっしょに読んでくれ…

こうちゃん

ずっと読んでみたいと思っていました。タイトル『こうちゃん』からして、温もりに満ちているので。けれども読み始めると、想像していたのとは違う、一風変わった気持ちに包まれます。「こうちゃん」って、誰なの? 作品全体にわたる掴もうとしても掴めない「…

Ottoline and the Yellow Cat

『Ottoline and the Yellow Cat』は、ミステリー好きな中学年くらいの女の子が喜びそうな作品です。作者クリス・リデルは名前を日本風にしたら、日本の少女漫画家と見分けがつかないのでは――細かな線描写から日本の少女漫画のような印象を受けました。 主人…

おおきな なみ――ブルックリン物語

『おおきな なみ―ブルックリン物語』は、絵本画家バーバラ・クーニー実母の少女時代を描いた絵本です。ドイツから移民し事業に成功して裕福に暮らす一家の姿が描かれます。地名がたくさん出てくることから当時のニューヨークの発展ぶりが伺え、歴史的資料と…

Art: A World History

art

『Art: A World History』は、お世話になった児童書店の閉店セールで購入しました。何か思い出に残るものをと思い、ゴージャスなポップアップ仕掛け絵本『We're Going on a Bear Hunt』にも心引かれたのですが、結局こちらを選びました。絵本の「絵」のこと…

Mail Harry to the Moon!

『Mail Harry to the Moon』は、「弟なんか、いらない!」という心の叫びが120%伝わってくる絵本。赤ちゃんの弟ハリーを受け入れるまでの過程が、タイトルにある「月にゆうびんでおくってよ!」に始まって「ゴミばこにすてちゃって!」「トイレにながしちゃ…

Madam President

確か『Madam President』だったかなあ。ヒラリー・クリントンが敗北宣言をしたので、女性大統領誕生を期待させるかのような絵本に出版価値があるのかどうか――作品を巡って、論議を呼んでいたような。商業主義に走り、何とも米国的。女性リーダーは世界には何…

Don't Bump the Glump! and Other Fantasies

1964年初版、シルヴァステインの処女詩集『Don't Bump the Glump!: And Other Fantasies』の再版。奇妙なおばけ風の生き物がいろいろ歌われるわけですが、これが結構人間描写をしているようでおもしろいです。「そういえば、こんな感じの人いるなあ……」など…

母からの伝言

『たまゆらの道―正倉院からペルシャへ』から。織物を始めたときに志村さんの母親が伝えた言葉。 「私は正装とか豪華な衣装は身に添わない。かといって呉服屋やデパートで気に入った着物がないのや。贅沢ではない、ただ自分の本当に気に入った着物が着たい。…

伊勢神宮の徴古館で 志村ふくみさんの著作から

志村ふくみ、志村洋子著『たまゆらの道―正倉院からペルシャへ』で、迫真の表現に出会ったので記録しておく。染織家志村ふくみさんが伊勢神宮の徴古館で御神宝を観覧されたときに出会った諺とそれに対する彼女の一言。 伊勢神宮では二千年もの間、二十年毎に…

絵本の小箱

日本から送られてくるアマゾン、bk1の小包こそ、わたしの宝箱。「ママ、こんなに絵本。どうするのー?」と娘に問われてしまいますが、これはママの心の栄養なのです。 わたしはずっと視覚人間でした。今から思えば、観ることも、聴くことも、実際にしてみる…

絵本と漫画

一人のために紡がれた作品が絵本とすれば、漫画は一般大衆のために売ろうとする作品が漫画。いずれも感動を呼び起こす作品であろうが、決定的に両者を隔てる要因は「心と言葉」のあり方にある。商業主義と消費主義に絡む漫画は、だから個人的に、どうしても…

Tadpole Rex

『Tadpole Rex』は、恐竜時代に生きたおたまじゃくしの生態をドラマチックに詩で語る、コミカルかつ迫力満点の絵本です。これは子どもが歓声を上げて喜ぶノンフィクション絵本でしょう。実物大にも見える大胆な構図、対照的な大小のサイズ、恐竜の存在――どれ…

Splat the Cat

『Splat the Cat』のネコちゃん、なかなか可愛いです。転校生なのか、ホームスクールをしていて学校に行く決意をしたのか。理由はいずれにしても、初めてネコ学校に通う不安、発見、喜びが、コミカル&ラブリーなイラストで描かれています。 ふわふわ猫毛と…

ぼくの庭ができたよ

『ぼくたちのかしの木』*1の主人公「ぼく」と妹のカロリーナがぼだい樹通りの広い庭のある家へ引っ越してきた。絵本『ぼくの庭ができたよ』は、荒れ果てた庭を緑でよみがえらせる兄妹と友人たちの姿を描く。 園芸道具や庭のデザイン、草花やハーブの種類、庭…

ぼくたちのかしの木

温帯多雨林の森で「いい湯だな〜」――。ずっと夢に描いていた温泉キャンプ旅行が、この週明けに実現できた。目的地はオリンピック半島ポート・エンジェルス市から入るオリンピック・ホットスプリングス。水着で入るワイルドな露天風呂は、心と体に元気をもた…

You Can Do It!

NFLコルツのヘッド・コーチ、トニー・ダンジー作の絵本『You Can Do It!』。目標が何なのかわからず学校で問題ばかり起こしていた弟リンデンが、どのように人生のゴールを探し当てたかの実話エピソードが記されています。 "You can do it! Dream big!"――これ…

Monsters on Machines

『Monsters on Machines』のモンスターとはつまり、遊び盛り、やんちゃ盛りの子どもたちのこと。作者は、そんないたずら盛りの子どもを「手に負えない」モンスターに見立てて、これまた子どもたちの大好きな「はたらく自動車」にくっつけました。ブルドーザ…

Little Rabbit's New Baby ちびうさ にいちゃん

『Little Rabbit's New Baby』(邦訳『ちびうさにいちゃん!』)を読んで。親子間の会話があたたかいなあ、これほど自然な会話が描けるとは作者も心の豊かな家族の中で育ったのでしょう――。ハリー・ホースのちびうさシリーズには、ビスケットの香りがする幸せ…

Pharaoh: Life and Afterlife of a God

『Pharaoh: Life and Afterlife of a God』は、ファラオ・セチ1世、その息子ラムゼーが統治した古代エジプトを伝える壮大な歴史絵本。四大文明のひとつとして学んだ以外知らないことがほとんどだったので、非常に勉強になった。セチ1世の死後、神化するため…

わたしの絵本棚

短歌とは「わたし」をどう詠むかを永遠のテーマに据えた表現形態で、視点の切り取り方に関して勉強になることが多々あります。ある対象物を詠む場合、それをどう捉えるかが「わたし」になり、作品に投影されることで自分が見えてくるわけです。 同様のことを…

Paddington Here and Now

先日、「ピーターの本を買いに行こう!」と出かけた書店で娘が手にしたものは、くまのパディントンのぬいぐるみでした。ちょうど『Paddington Here and Now』を読んでいたこともあり、わたしが勧めました。 帰ってきてからパディントンのテレビシリーズを見…

つばさを ちょうだい

お日さま、花たば、夏草、さざ波……、自分の好きなものばかりが散りばめられた絵本に出会いました。きらきらとまばゆい宝石箱のようなその絵本は、『つばさをちょうだい』。男の子と小さな天使が繰り広げる、可愛らしい夏のファンタジーです。 木目の美しい板…

Bandit

『Bandit』は、猫バンディットの引っ越しストーリー。人間と異なり、即座に新しい環境に馴染めない「猫ごころ」を巧みに描いています。 劇画コミック風で大きなコマ割り、吹き出し付きときているので、何となくグラフィック・ノベルズの絵本版に見えたりも。…