2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

Old Bear くまさんのゆめ

ブックフェアが終わり、秋の深まりとともに新学期の教室も落ち着きを取り戻し始めました。今年の低学年作文指導は、ケビン・ヘンキーズ――先生たちがみな「ヘンクス」でなく「ヘンキーズ」と呼んでいるので後者にならいます――の絵本を通して大々的に行われる…

Way Up and Over Everything 黒人が空を飛んだお話

黒人奴隷たちが空を飛ぶ伝説は、いたるところで耳にした。アフリカ大陸でヨーロッパ人に買われ――売ったのは部族の王たちだったという――新大陸で過酷な労働を強いられた彼ら。人間の尊厳を失った中で夢見たもの、それが空を飛ぶことだった。宙に浮き、主人の…

Puffin Classics 名作読み物ペーパーバック

夏休みの読書として数冊購入した読み物シリーズが、パフィン・クラシックスです。流行の読み物よりも、娘には名作を読んで欲しいとかねてから願っていました。息子はみごとに外してしまった領域ですが、名作はいつ読んでもいいでしょう。……と慰めることにし…

The Dog Who Belonged to No One 小犬と女の子のものがたり

『The Dog Who Belonged to No One』の主人公は、家のない小犬と家業のパン屋さんを手伝う女の子。けんめいに生きる両者の姿を平行させて描き、最後にハッピーエンドとなるお話です。対句形式がリズムを生み、さわやかな余韻をかもします。 時代は20世紀初頭…

I Love My New Toy!  ゾウくんとこぶたちゃんのおはなし

ゾウとピギーのシリーズ『I Love My New Toy! (An Elephant and Piggie Book)』は、ゾウくんがこぶたちゃんの新しいおもちゃを壊してしまうお話。実際、これはよくありそう。2匹の表情を存分に味わった後、おなじみのハッピーエンドを楽しみたい。 このコン…

I Will Surprise My Friend! ゾウくんとこぶたちゃんのおはなし

『I Will Surprise My Friend! (An Elephant and Piggie Book)』は、わりとよく見かける設定。大きな石のまわりのこちらとあちらに隠れ、反対側にいる相手を驚かそうとするお話。ちょっといつもに比べて、ひねりとパンチが欠けていたかな。 amazon:Mo Willem…

Ghosts in the House! 今年いちばんのハロウィン絵本

「今年いちばん」というのは、もっともチャーミングで、しかもこの早い時季にお目にかかれたという意味で。ちょっと興奮気味です。娘が「かわいい、かわいい」と連発していたので、どーれと手にして、これは本当に! 近年まれに見るハロウィン絵本の傑作では…

Yoko Writes Her Name 異文化間コミュニケーションの絵本

『Yoko Writes Her Name (A Yoko Book)』は、異文化間コミュニケーションを主題に描いた絵本『Yoko』のシリーズ最新絵本。たまたま、というか作者の好みなのか、ねこのようこちゃんは日本人の設定になっています。かんたんな読み物シリーズでは、かなりの数…

Big Kicks

ジャズを好み、切手収集を楽しむ大きなくまどんは、サッカーなどしたことがない。ところが、メンバーが足りないマイティー・ジャイアンツのために借り出され、急きょ試合に出ることに。体が大きく小回りの効かないくまどんは失敗を繰り返すけれど、最後にと…

Everybody Bonjours! パリを知る絵本

『Everybody Bonjours!』は、エッフェル塔にセーヌ川、トリコロールの3色がフランス、パリに誘う絵本。表紙に見える「自由の青、平等の白、博愛の赤」が、気品を放ちながら主張している。然らば、フランス、パリの魅力とは――。きわだつ個性の心意気と、感性…

Say Hello あ、そ、ぼ

邦訳名の『あ、そ、ぼ (創作絵本シリーズ)』は、コミュニケーションの第一歩。原書のほうは、『Say Hello』。絵本作家マイケル・フォアマンの息子ジャックが10歳のときにつづった、ちょっぴり心の痛む詩を父親マイケルが絵本にした。 広がる白一面に、黒と水…

Goodnight Bush おやすみなさい ブッシュちゃん

『Goodnight Bush』は先週の日曜日、息子が喜んで手にした絵本です。表紙から察せられるように、こちらは米国の古典赤ちゃん絵本『Goodnight Moon』のパロディ版。マケイン-オバマ米国大統領選が白熱する中、ブッシュ政権を痛烈に風刺しています。 その炸裂…

The Mouse of Amherst エミリ・ディキンスン家のネズミ

『The Mouse of Amherst』は、夏休み前からずっと気になっていた児童書。小学校の図書館で表紙を目にしたときから「読まなくちゃ!」の直感が走り、休みに入ると同時に借りてきた。もう、この小さな家ネズミの姿からして啓示ではないかと思ってしまったほど…

The Black Book of Colors 点字の絵本

もしも光が見えなかったら、人はどのような感性を用いて世界を形容するのだろう。 大学のとき、ボランティアで目の見えない子どもたちのために絵本を作ろうとした。「自分なりのイメージで絵本を作ってみてください」とグループの主宰者からアドバイスを受け…

The Very Hungry Caterpillar はらぺこあおむし 点字絵本

今秋10月発売の『The Very Hungry Caterpillar Touch-and-Feel Braille Edition』は、『はらぺこあおむし エリック=カール作』を点字で楽しむ絵本。子どもたちによく知られている名作絵本が、もっともっと点訳されるといいなあ。日本語の点字にもなるといい…

Adele and Simon in America

ここのところ2冊目ばやり。『Adele and Simon (Adele & Simon)』(邦訳『シモンのおとしもの』)*1の2冊目『Adele & Simon in America』は、百年前のアメリカが舞台です。ニューヨークに住むセシルおばさんを訪ねたアデールとサイモン(仏語ではシモンなので…

10 Things I Can Do to Help My World 

小さな子どもたちにエコロジーを説く『10 Things I Can Do to Help My World』。リサイクル紙使用の素朴な風合いがあたたかく、表紙は控えめな地色(米国版)にもかかわらず存在感を示していました。デザイン性に富んだ穴あきやめくりが仕かけてあり、遊びな…