2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

おとうさんのちず

大好きな絵本"How I Learned Geography"の邦訳『おとうさんのちず』(あすなろ書房)が出たようです。苦難から自分を解放した、作者の少年期を描く渾身の作品。もし多感な成長期に自分も同じように戦禍に見舞われていたら、果たしてこのような生き方ができた…

絵本朗読サイト Storyline Online

絵本手帖にも以前リンクを張っていた絵本朗読サイトStoryline Onlineについて。書こう書こうと思っていながら興味が薄れていたところ、本日偶然いただいたメールから思い出させてもらったので記しておこうと思った。 これは、公立校が子どもたちに奨励してい…

ツヴェルガーの『白鳥の湖』

アマゾン・カートに入れたり、出したり。ひっきりなしに出入りを繰り返す絵本群があります。それらはたいてい「できるのであれば、すべてコレクションしたい」とほのかに願っている人気作家の絵本であり、わたしの場合、ここ最近バーナデット・ワッツやリス…

ニャゴマロくんとチイヒゲちゃん

わあ、何てかわいらしいタイトルでしょう。このたび邦訳の出た『ニャゴマロくんとチイヒゲちゃん―もうひとつのあいのものがたり (児童図書館・絵本の部屋)』は、うちのデューク、ギャビコンビに似ている2匹のお話なので原書シリーズから大ファンでした。実は…

ときどき出会う

ここのところ、絵本からずっと遠ざかっていた。なので、あらためて手にしてみると、ああ、よいものだなあ……と。ここには、ゆっくり時間が流れていて、表紙を目にするだけで和んだ。これこそ絵本の持つ「五感の思い出(スキーマ)効果」ということか。 ときど…

Big and Small, Rom for All 森羅万象の詩

"Big and Small, Room for All"は、子どもたちに森羅万象を体感させるのにぴったりの詩の絵本。宇宙の広さを自分の身近な存在である小動物からイメージさせる、広大な構想の作品だと思った。 見たままの写実画が鮮明に、身の回りの自然界のイメージを与えて…

Roawr! 空想の世界へ

オランダ人イラストレーターによる米国デビュー作"Roawr!"。「ガオー!」と言ううなり声を聞き、あたりが少しずつ森になっていく流れは、『かいじゅうたちのいるところ』を想起した。大御所絵本よりもこちらのほうが、ちまちまと現実に近い描写を挿入してい…

Harris Finds His Feet のうさぎハリスのおおきなあし

"Augustus And His Smile"を読んだときはあまりピンとこなかったのだけれど、今度の"Harris Finds His Feet"は、作者の研ぎ澄まされた感性にビビッときた。 洗練、繊細、エレガント――光と影、濃淡を巧みに操り、大胆な構図で流れていく各ページはアートの極…

The Way Back Home 男の子と火星人

"Way Back Home"は、月に不時着した男の子と火星人のほのかな友情を描く絵本。子どもはこういう空想絵本、好きだろうなあと思いながらページをめくった。大人は、先が読めてしまうかもしれないけれど。 つまよう枝を刺したかのようなキャラクターたちの「足…

にんじんケーキ

"にんじんケーキ (児童図書館・絵本の部屋)"は、息子が小さかった頃、出会った絵本です。結婚のお祝いに向く絵本……と、ほのかな印象を抱いた記憶がありました。うさぎの若夫婦が「実際に他人と暮らし始めてみると思い通りに進まない現実」を示してくれ、西洋…

Blueberry Girld 赤ちゃんの娘に贈るうた

"Blueberry Girl"――やけに話題に上っていたので手にしてみた。 娘と出会ったばかりの、まっさらなこの感性は懐かしいなと思い出に浸る一方で、天地創造まで巻き込むイメージ描写が何か原理主義者を想起させたり……。生命や自然の神秘を美化し過ぎているようで…

Tricking the Tallyman: The Great Census Shenanigans of 1790 米国初の国政調査のお話

"Tricking the Tallyman"は、建国や地元の歴史を学び始めた娘がクスクス笑いをこぼしながら読んでいた絵本。で、わたしも読んでみて、やっぱり面白かった。 ときは1790年。英国から独立し高らかに建国をうたった米国は、人口調査の必要性に迫られていた。徴…

空の飛びかた

空を飛びたいペンギンのお話"Learning to Fly"が邦訳されました。タイトルは『空の飛びかた』。昨年書いたレビューを読み返してみると、「ほほう、こんなことを書いていたのか……」と、お気に入り絵本を見つけたときのようなうれしい気持ちに染まりました。 …