2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

My Garden わたしのお庭は、不思議なお庭

娘といっしょにケビン・ケンキーズの新作絵本"My Garden"を読んだ。やわらかな陽射しが気持ちよかった今日にぴったり。 お母さんの庭作りを手伝いながら、女の子は空想に耽る。もし、わたしの庭があったら……そこでは、花は枯れることなく咲き乱れ、願えばそ…

The Hallelujah Flight ハレルヤ飛行

"The Hallelujah Flight"は、黒人パイロットによる米大陸初横断飛行を描く歴史絵本である。 ジェームス・バニングは、米国商務省より飛行ライセンスを与えられた最初のアフリカ系米国人。航空ショーのスタントパイロットとして活躍していたが、彼の名前を世…

プルシェンコ・浅田を目指す

プルシェンコ・浅田を目指したいと思った。さらなる高みに臨んでこそ、結果として、輝く栄光に照らし出されているという構図。この境地は、真の王者のみが足を踏み入れる崇高な世界である。評価点システムの変更に伴い目先の拝金(メダル)主義に陥った人た…

Brand-New Baby Blues 一人っ子時代のおわり

むかしむかし、わたしが一人っ子だった頃、すべてはわたしが中心で、わたしが太陽だった。でも、そこに赤ちゃんの弟がやって来て、わがままし放題が一夜にして厳禁になった。お兄ちゃん、お姉ちゃんになる経験は結果的に楽しいものでありながら、我慢や嫉妬…

Bear Flied High ふたたび、くまさんといっしょ

"Bear Flies High"には、子どもの頃に体験した夏が詰っている。青い空、白い雲、光る風、波しぶき。でも、この絵本の中では、くまさんもいっしょ。夏の始まりを再現しながらページをめくった。 浜辺を走り、空を見上げて「飛びたいなあ」とくまさんは夢を描…

電子書籍について――子どもの本の電子版

→アゴラ : 電子書籍の問題は「普及するかどうか」ではなく「いつ普及するか」 電子書籍時代到来。ただし、子どもの本(絵本)を除いては……と但し書きをつけていたのだけれど、タブレットが普及したら、絵本もこの中に入るのかなと、以前は抱かなかったイメー…

モーさんの新しいシリーズ絵本

小1の読書コーチで、Dといっしょに"Cat the Cat, Who Is That? (Cat the Cat Series)"と"Let's Say Hi to Friends Who Fly! (Cat the Cat Series)"を読んだ。モーさんの新作シリーズ、しかもゾウくん&コブタちゃんシリーズよりもさらにシンプルになった語…

来年度のこと

来年度のチューターについて、いろいろ考えてしまう。好きだから続けてきたけれど、幼稚で無神経な新人教師たちに囲まれ、不快な感情を抱きながら続けるのは如何に……。加えて、このズタボロの環境も……。 「米国の犯罪発生率は、小学3年時の読み方能力でほぼ…

Trouble Gum 風船ガムとたわむれる

コブタのおちゃめなイラストが楽しくて、"Trouble Gum"を手にした。 おばあちゃんからもらった風船ガムで、とびっきりの楽しい時間を過ごすルーベン。ガムをくちゃくちゃ噛んでたわむれる姿がカワイイ。 ガムはピンク色だから、バブルガム味のはず。このほん…

Marching for Freedom: Walk Together, Children, and Don't You Grow Weary 投票権法撤廃への道

投票権法撤廃への非暴力運動を描く"Marching for Freedom: Walk Together Children and Don't You Grow Weary"を読み、米国の公民権運動を振り返った。 1862年、リンカーン大統領による奴隷解放宣言で奴隷制度が廃止されても、南部諸州では人種差別が色…

Here Comes the Garbage Barge! ニューヨークのゴミ処理問題を扱った絵本

"Here Comes the Garbage Barge!"は、ゴミ処理問題を世に問うた実話を描く絵本である。 ことの起こりは1987年3月22日、ニューヨーク州ロングアイランド、アイスリップ市がゴミ埋立地不足から苦心した結果、ゴミを乗せたはしけを南部に送り出したこと…

Goldilocks and the Three Bears おうちとインテリアに注目

エマ・チチェスター・クラークの3びきのくま絵本"Goldilocks and the Three Bears"。まず、くま一家のおうちだけれども、木々に囲まれているとは言え、階段を上った小高い丘にじゃじゃーんと佇むちょっと豪華な2階建て。ここであきらかに今までの3びきと…

「わたくし」の趣向

はてなのプロフィール欄に何を記そうかと考え、「アマゾン購入履歴から見えてくる自分の趣向」を挙げてみた。身銭を切るからか、これって、確かに「わたくし」をそのまま表している。 歌(歌集/随筆集など) 色(色彩の歴史など) 言葉(英文学/日本語関連…

The Longest Night 春の声

暗く凍てついた冬空に、太陽の姿が見えない。太陽を呼び戻すのは、誰? 「わたしだ」「いや、ぼくさ」――雪の森で動物たちが声を上げても、風は認めない。"The Longest Night"を読んだ後に、娘から聞かれた。「ママ、冬が終ってうれしいでしょ」。そうか、立…

Henry Aaron's Dream 若き日のハンク・アーロン

マット・タバラスのベースボール絵本にはハズレがないこともあり、"Henry Aaron's Dream"に注目した。今回はストーリーではなく伝記絵本。正統派のノンフィクション絵本である。 MLBの真のホームラン王*1ハンク・アーロンを描くと聞けば、誰もが華々しか…

ぞうさん――まど・みちお 子どもの歌102曲集

"ぞうさん"は、息子が小さな頃買い求めたピアノ伴奏曲集である。その頃は補習校で教えていたので、おなじみの童謡を教室でもピアノ弾き弾き大きな声で歌っていた。 わたしが好きなトップ3は何てったって「やぎさんゆうびん」「ふしぎなポケット」「ドロップ…

Old Penn Station NY ペンシルべニア駅の歴史

ニューヨークに行ったことはないけれど"Old Penn Station"を読み、飴色の灯が照らす華やかな時代のペンシルベニア駅を想像してみた。 1910年、時代の興盛に乗りペンシルべニア鉄道会社はハドソン川の下にトンネルを掘り、同駅をオープンさせた。それまで…

Nasreen's Secret School アフガニスタンの今 虐げられた女子教育

アフガニスタンについて。タリバン支配、制圧からカルザイ政権発足まで、政治的な事実を知っていても、人々の暮らしが実際どのようなものかはっきりイメージできずにいた。 ノンフィクション絵本"Nasreen's Secret School"は、世界規模で活動する児童救済非…

Dogs don't brush their teeth 犬好きさんに贈る写真絵本

"Dogs Don't Brush Their Teeth"は、学校の図書館で見かけた愉快な写真CG絵本。ワンちゃんの「これはするけど、これはしない」――犬のすること(Do)と犬のしないこと(Don’t)――を写真とコンピュータ・グラフィックスを駆使してユーモラスに紹介する…

絵本のゆくえ

電子書籍時代に突入しても、絵本と児童書は紙のままのはず。出版数は減るけれど、吟味されて世に送り出される作品の質は上がり、「子どもの本」本来の目的に戻るのだろう。 「ハイテック・ハイタッチ」の意味がここに表れる。つまりテクノロジー至上主義で人…

Tales from Outer Suburbia SF風哲学書……村上春樹ワールドに思えたりも……

異空間の短編絵本集。15編のショートストーリーが収められた"Tales From Outer Suburbia"を読みはじめ、まったりと不思議な気持ちに浸っていた。暗示は何か、象徴は何か。文章を読み、裏を読もうとするばかりの自分がいる。思考が、ぐるぐる。 ストーリー…

The Frog Who Wanted to See the Sea 「井の中の蛙大海を知らず」の絵本

浮世絵風のイラストに、小さな池に住むカエルが大海を目指す……とくれば、これはもう日本通であろう作者が「井の中の蛙」を絵本化したに違いない。そんな予想で"The Frog Who Wanted to See the Sea"を開き、冒頭であらためて日本の風景を眺めている錯覚に陥…

I Am a Backhoe 子どもの時間

"I Am a Backhoe"を読み、子どもたちが小さかった頃を思い出した。遊びながらひとり言をつぶやく、イマジネーションがいっぱいの子どもの時間のことを。 絵本では、男の子が「はたらく車」になりきって空想に遊ぶ。表紙はバックホー。手で無心に砂をかきあげ…

Birdie's Big-Girl Shoes "Cookie"ママ娘を描く絵本

ティファニー、バーニーズNYなど、商業デザイン界で活躍するイラストレーター、スジーン・リムの絵本"Birdie's Big-Girl Shoes (Birdie Series)"を読んだ。主人公は、背伸びをしたい小さな女の子。このおしゃまさんの年頃は5−7歳ぐらいだろうか。 ママの…

Not Last Night But the Night Before びっくり夜のおくりもの……

"Not Last Night But the Night Before"は、とびきり特別な絵本。いかにも英国風のアレンジで、24人のどろぼうが家にやってくるという古い縄跳び歌を愉快なお誕生日絵本に仕上げた。 色鮮やかで、賑やかで。星の降る夜に童話、童謡の世界からキャラクター…

A book of Sleep ぐーぐーぐー―みんなおやすみ

読んだのは邦訳『ぐーぐーぐー―みんなおやすみ』ではなくて、原書(米版)"A Book of Sleep"のほう。みんな眠っているのに、ふくろうはおめめがパチリ。当たり前なのだけど。 ふくろうの見守る中、安らかに眠る動物たちを見ていると、いつの間にかこちらもう…

Hat ぼうし

公園のベンチに、赤い帽子の忘れ物。「これ、もらってもいい? いろいろあそべるよ!」お母さんに尋ねるやいなや、ヘンリーは帽子でどんなことをしようかと想像を巡らせる。帽子は、ぼくを太陽から守ってくれる。雨をしのいでくれる。ねずみを捕まえるのにも…

Stagecoach Sal 果敢に歌い続けたサリーのお話

実話をもとにしたという"Stagecoach Sal"がおもしろかった。怪我をした父親のかわりに駅馬車の御者を務めるサリー。子どもの頃から乗りなれてるとは言え、一人で任務を遂行するのは初めてだ。カリフォルニア州ユカイアからウィリツへ、彼女は郵便を届ける旅…

突如、翻訳

1月から翻訳の勉強を始めた。きっかけは、いろいろある。"Auggie Wren's Christmas Story"を読んだこと、(更新もあり得るけれど)2年後にとりあえず仕事の契約が切れること、今秋娘が中学生になる時点で小学校での仕事にけじめをつけたい……などなど。 渡…

Back of the Bus 少年の目から見たバスボイコット

"Back of the Bus"はロザ・パークスのバスボイコットを、少年の目を通して描く絵本である。1955年12月1日、アラバマ州モンゴメリー。夕暮れどき、バスの騒音、運転手の声、ざわめき――歴史的瞬間を描くというよりも、その日、そのバスにどのような時間…