2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

Insect Detective みどりのしげみで

見るからに夏の香りに包まれた表紙を目にして、例のネイチャー・シリーズなのかなと思ったけれど、そうではなかった。"Insect Detective"は、シャーロッテ・ヴォークがいとこのスティーブといっしょに制作した、昆虫の世界を紹介するノンフィクション絵本で…

I know a lot of things ポール・ランドの世界

ポロポロ、ポロンと、余白にこぼれ落ちる音符のようなイラスト。ポール・ランドの絵を初めて見たときの印象は、空間に踊るピアノの音色といっしょにやってきた。今、こうして原書"I Know a Lot of Things"を手にしてみて、それはアルファベットだから、さら…

The Earth Shook: A Persian Tale 人間のできること

"The Earth Shook"は、孤児となった少女パリサを描く。2003年12月26日、イランのバムを襲った地震で現地の人口は半減し、多くの孤児が生まれた。天変地異で家族を失い、恐怖のどん底に突き落とされたパリサ。絵本では、恐怖に怯えるパリサが人間性を…

Smile! 大人のつぶやき

コミカルな主人公サニーの様子から、子どものあどけなさを描く絵本なのかと印象を受けたけれど、ちょっと違った。"Smile!"のページを開いてみれば、それは大人になった人々の、心のどこかに潜んでいる子どもらしさへの探求心を描いているように思えた。無邪…

The Book about Moomin, Mymble, and Little My ムーミンさいしょの絵本

"The Book About Moomin, Mymble and Little My (Sort of Childrens Classics)"(1952年)が、トーべ・ヤンソン最初のムーミン絵本とは知らなかった。何気なく手にとって、しかけとことばの楽しさに感心し、ヤンソンの独特な世界に引き込まれていった。…

The King of Quizzical Island 好奇心いっぱいの王さま

世界の果てには何があるのか――。"The King of Quizzical Island"は、自分で確かめてみた王さまのお話。ティーバッグの木で作った船に乗り、いざ出発。さいしょにたどり着いたところは、ジグソーパズル島。次は縦の島で、なんでもかんでもすべてが縦向きにな…

ベリー摘み

ご近所の家族が旅行に出ると、いつもうちの子どもたちがその家の動物のお世話をしている。そんな間柄であったから今回は、裏庭に実ったいちごとラズベリーをどんどん摘んで食べて欲しいということだった。確かに、これだけ実っているものを虫さん、鳥さんだ…

Farm 農場の春から秋まで

農場の暮らしが子どもにどれほど実りをもたらしてくれるか。"Farm"を読み、動物の世話や天候に左右される日々など、大変なことも多いけれど、それだけに収穫の多い生活を想像してみた。言い換えてみれば、農場暮らしの経験がなくても、そんな想像ができてし…

The Pirate of Kindergarten 複視(diplopia)の女の子の物語

ジニーはまわりのものが二重に見え、それが原因で机や椅子にぶつかってころんだりする。大好きな本は、鼻をページにこすりつけるようにして目を近づけないとしっかり見えない。片目で見れば、ちゃんとひとつに見えるのに。うさぎの絵を切り抜くときは、耳が…

I Know Here 子どもの感性

カナダ・サスカチュワン州の自然とそこに住む人々を描く絵本"I Know Here"は、子どもの感性そのままの投影だ。暮らしの動脈だった土地の道、トレーラーの学校、かくれんぼをした森、オオカミの遠吠えが響きわたる夜、ソリで滑った丘、大自然に囲まれて生息す…