2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Interrupting Chicken 父と娘のかけあい漫才

コルデコット賞オナーに輝いた"Interrupting Chicken"が、むちゃくちゃおもしろかった。印象としては、父と娘のかけあい漫才。会話のテンポ、ニワトリのキャラクター性、とっぴな作中話、二部構成のオチのユーモアに加えて、毎晩本を読んでもらう習慣から伝…

Look! A Book! たのしい、ゆかい、しかけ&さがしもの絵本

"Look! A Book!"は、抜群のエンタテイメント性で満点! とにかく愉快な穴あきしかけ&探しもの絵本である。 'LOOK! A BOOK!'のタイトルからもわかるように、アルファベットの「O」の穴からいろいろなものをのぞいてみよう、見てみようの趣向。のぞく対象物…

Love is You & Me 愛とは何なのでしょう

"Love is You & Me."はボード絵本だけれど、手にした印象は大人向け。人生のおりふしに見える「愛」の形を、イヌくんとネズミちゃんが紹介する。作者のモニカ・シーハンは、この類のメッセージ絵本を多く出していて、これもその中の1冊と言える。 語りがわ…

My Heart is Like a Zoo ハートのかたちのどうぶつたち

"My Heart Is Like a Zoo"は、小さな子どもたちにおすすめしたいバレンタイン絵本。ハート型を用いて表された動物たちが、たくさん登場する。ことばもわかりやすい。ハートと動物とやさしい詩で、はじめてのバレンタインを迎えるのにぴったりだ。 少し大きく…

Bear in Love 恋するクマくん

"Bear in Love"は、かわいいアートにもかかわらず、どちらかというと大人向きの絵本かもしれない。 ウサギちゃんを好きになり、ひっそりものかげから彼女を見つめ、恋焦がれる気持ちをクマくんがつづっていく。でも、クマくんは恥ずかしがり屋では終わらない…

2011年のバレンタイン絵本リストです

英語のほうで、かわいいバレンタイン絵本を見つけました。◆をクリックすると、レビューに飛びます。バレンタインにおすすめの絵本(英語) ◆スウィ〜トな恋の絵本。コラージュ・アートが、ほのぼのしていてお洒落かわいい! ◆イヌくんとネズミちゃんが「愛(…

Wonder Horse: The True Story of the World's Smartest Horse 文字を認識した馬のおはなし

偶然にも昨日と同じ作者の絵本。文字や色を認識し、知能を持つ馬として人気を博したジム・キーと、その飼い主ビル・ドック・キーの実話。 ドック・キーは1833年、テネシー生まれ。奴隷の子どもとしてプランテーションで育った。幼少時から動物に親しんだ…

The Secret Cave: Discovering Lascaux ラスコー洞窟を発見した少年

第二次世界大戦勃発の頃、フランス中南西部ラスコーで旧石器時代の洞窟が発見された。 4人の少年たちが宝物を探そうと入り込んだ洞窟には、赤や黒など鮮やかな色で描かれた動物の壁画があった。少年のひとりジャックが旧石器時代に詳しいラバル先生に報告す…

Frankie Stein Starts School フランキーがっこうにいく

やはりカイブツ・オバケ界のお話なので、人間界の常識とはまったくことなる教室風景が描かれる絵本だった。 主人公のフランキー・スタインは、あのフランケンシュタイン夫妻のフランキー坊や。まるで人間のような風貌なので、学校の初日から仲間はずれにされ…

The Chiru of High Tibet チベットカモシカ チルーを守る

密猟により激減していたチベットカモシカ、チルーを守るノンフィクション絵本。 チベット北部に生息するチルーの毛はやわらかくてあたたかく、シャトゥーシュ(毛糸の王さま)と呼ばれている。ただ、そのために密猟があとを絶たず、絶滅の危機に直面していた…

Black Jack: The Ballad of Jack Johnson ボクシング界のブラック・ジャック

ブラック・ジャック(1878年テキサス生まれ)は黒人初のボクシング・ヘビー級チャンピョン。人種差別の時代に人種の壁を乗り越えて、名実ともにパワーを見せつけた。その世紀のマッチはオーストラリアのラシュカターズ・ベイで執り行なわれたというから…

Supposing...もしも、そうなったら どうする……?

ことばとイマジネーションに遊ぶ、おもしろい絵本に出会った。"Supposing (The New York Review Children's Collection)"は、1960年初版の作品。突拍子もない仮定文にシンプルなペン画が添えられ、シュールな空想遊びにいざなってくれる。 たとえば表紙…

EcoMazes: 12 Earth Adventures 迷路をたどって生態系を知る

"EcoMazes: Twelve Earth Adventures"は、迷路の絵本。遊びながら世界の生態系が学べるしくみになっている。 取り上げられているのは、熱帯雨林、砂漠、さんご礁、山岳地帯、北極、南極、湿地帯、ツンドラ、草原地帯、サバンナ、針葉樹林、温帯多雨林。作者…

Lost Boy: The Story of the Man Who Created Peter Pan ピーター・パン誕生の背景

「ピーター・パン」の作者ジェイムズ・M・バリーは、7人兄弟姉妹の末っ子としてスコットランドに生まれ育つ。母親の語りから影響を受け、小さな頃からお話を書き、自らストーリーテリングを楽しむ子どもだった。学生時代は演劇に親しみ、卒業後ロンドンで…

Young Zeus 少年ゼウスのものがたり

神話の絵本化は、創作上、もっとも難しい範ちゅうにあると思う。にもかかわらず"Young Zeus"は、奇想天外、支離滅裂なお話を、子どもの好きそうな冒険ものにうまくて仕立てていた。 ギリシャ神話は遠い昔、読んだけれど、話のすじはほとんど覚えていない。よ…

Lola Loves Stories ものがたりのマジカル・パワー

"Lola Loves Stories"に描かれる家族は、読書好き。ローラは月曜日から日曜日まで毎日、お父さんとお母さんに絵本を読んでもらい、自分もその世界に入り込む。妖精の本を読んで妖精になり、冒険の本を読んで冒険し、友だちの本を読んでいっしょにままごとを…

Yucky Worms あいすべきミミズくん

"Yucky Worms (Nature Storybooks)"は、庭づくり、畑づくりの前に一読すると楽しい絵本。男の子がおばあちゃんからミミズのことを教えてもらい、ミミズの生態、庭の自然に興味を持ちはじめる。 ミミズが土を肥やすことは知っていても、そのために小さな石や…

A Pig Parade is a Terrible Idea ぶひぶひ ぶたの大行進

作者がコメディアンと知り、なあるほど。実際にありえないきらびやかなブタのパレードを想像させてから、「あるわけないでしょ」とその理由を現実の中から拾い集める。 食べ残しをむさぼるブタの姿は「千と千尋の神隠し」の、あの千尋の両親のように見えた。…

芥川賞 朝吹真理子著『きことわ』――古語復興のこころ意気

慶祝、芥川賞受賞! 新潮社のサイトにて『きことわ』の一部を読んだとき、ひらがなの使い方が古今集など和歌表現に似ている印象を受けた。受賞を伝える記事にあった「流麗な筆致」とは、このことをいうのかもしれない。年が明けて本日、YouTubeで古語復興の…

In the Wild 迫力の動物たち

"In the Wild"は、詩の指導にぴったりかもしれない。大判サイズで、動物たちが見開きページからはみ出しそうな構図で、タイトルのとおり絵本もワイルドだ。こちら側に、今にも迫ってきそうな距離感が効いている。木版画の素朴さに野生味が加わり、アート絵本…

Time with Books 本のある時間

bk1のホームから「TIME with BOOKS 本のある時間」というサイトを見つけ、そちらの「本好き101人の森」に登録してみた。詩歌に関して記す場がないと思っていた矢先で、まさに渡りに船的な出会い。絵本手帖に古典の話はどうかな……と躊躇していたところ…

Up and Down ペンギンとおとこのこの友情ものがたり

本作"Up and Down. Oliver Jeffers"にて、"Lost and Found""How to Catch a Star""The Way Back Home"の4部作完結。 これは、ペンギンと男の子の友情ものがたり。空を飛ぶ野望を抱いたペンギンが、男の子といっしょにさまざまな挑戦を繰りかえす。最後に自…

ぼくがいちばん!

『ぼくがいちばん!』も原書でファンになった絵本。絵を見ているだけで、元気が出てきます。ぜったいおすすめ! でも、レビューには原書で手にすべきと書いていた。 →I'm the Best カラフル! カズンズ・ワールド - 絵本手帖 ぼくがいちばん!作者: ルーシー…

ながいながいよる 

『ながいながいよる (大型絵本)』の原書は、けっこう気に入っていた。春を待つ冬の美しさ、厳しさが描かれ、詩的な世界に引き込まれた。 それでこのほど邦訳がお出まし。岩波さんからで、うれしいな。雰囲気がぴったりだと思う。非常に個人的な見解。 →The L…

運だめし

MacBook Air 11インチ欲しい! 当たるとは思っていないけれど、当選した暁には息子へのプレゼントにしたい。自分のほうは、小型化されるというiPad2と、MSのタブレット登場を待っている。娘の初代iPadを見ていて、使い勝手からいえば、わたしはMSのほう…

The Chicken Thief ニワトリどろぼう

夏からずっと読みたいと思っていた、フランスの絵本。文字なしシリーズの第1弾として米国の出版社から出た。 振りかえってみれば、まるで略奪婚のようなお話。しかし、子どもの絵本なのでもちろん、愉快に和やかに描かれる。キツネがクマの家からニワトリを…

Ollie's Halloween あひるちゃんのハロウィン

かなり遅いレビューだけれども、かわいかったので記録。 小さな存在がコスチューム着込む姿って、かわいいな。"Ollie's Halloween (Gossie & Friends)"は、小さな子どもたちへのハロウィン絵本。シンプルな韻のリズムとあひるたちの行進が、本来なら怖いはず…

2011年コルデコット賞受賞絵本

予想どおり"A Sick Day for Amos McGee"(『エイモスさんがかぜをひくと』)が受賞。たとえばイチローが世紀の逸材のように、こちらも百年に一度出るか出ないかの名作絵本だと感じていた。エイモスさん、おめでとうございます。 ◆をクリックすると、レビュー…

The Boss Baby 赤ちゃんの本質

赤ちゃんはまるで自分がボスのように、パパとママに要求をする。昼も、夜も、相手のことなどおかまいなしに、いつ何時でも。 乳児期のお世話は、ほんとうにたいへんだ。でも同時に自分のことをふりかえってみて、懐かしくもあるのだけれど。息子はよく眠って…

Miss Lina's Ballerinas かわいいバレエ絵本

ピンクのチュチュをまとい、軽やかに踊る小さなバレリーナたち。リナ先生のバレエ教室ではクリスティーナ、エドウィーナ、サブリナ、ジャスティーナ、カトリーナ、ベティーナ、マリーナ、ニーナの8人が、4人2列で息の合ったダンスを披露する。ところがそ…