death

Remenbering Crystal さよならのあとで

喪失を描く絵本。原書はドイツ語。 年老いたカメのクリスタルと心やさしいグースのゼルダの物語。 漉き紙、染み入りの紙、褪せた紙など、背景に使われたほんのり飴色がかった紙の質感が、哀しくも心あたたまるお話を味わい深く演出する。登場キャラクターた…

Keeper of Soles くつやのとんち

死神って、絵本というメディアに似合わないテーマじゃないか。幽霊やお化けとはまた違う存在で、拭いきれない黒い重さを携えた印象があったのだ。でも『Keeper of Soles』に出てくる死神は、顔が「足の裏」の形をしていて、なんとなくおとぼけ風だった。「お…

Seven for a Secret おじいちゃんとルビーの往復書簡

手紙という行為は、人にとり特別な営みである。紙とペンを用い心をしたためた時間と空間が、そっと文字の影から顔をのぞかせるのだから。 田舎のおじいちゃんと都会で暮らす孫むすめルビーの往復書簡からなる絵本『Seven for a Secret』は、淋しさと希望を豊…

悲しい本

息子が生まれ親になったばかりの頃、主人とよく確かめ合っていた。「子どもを失うことは最悪の事態。絶対に起きて欲しくない」――その悪夢を、1人の男が体験した。最愛の息子を失ったこと。この現実に直面し、彼は胸の痛みを包み隠さず言葉に表出した。『悲…

グレート・グランマの死

先週、義祖母が亡くなった。老衰、享年96歳。ここ数年は施設で車椅子の生活を送っていた。主人に「家族で集まるのか」と尋ねたら、ノーとの答え。告別式はせず、一人娘である義母が法的な手続きを済ませ、誕生地である隣州に購入した墓地に霊を収めるという…