fairy tales

人魚ひめ ツヴェルガーの描く海洋世界

ときにつめたく感情のない海洋世界を描くのにもっとも適した絵画ではないかと思えたほど、ツヴェルガーの『アンデルセンの絵本 人魚ひめ』は透明感があり美しかった。ガラスのようにはかなく透き通った心が示され、読む側は切ないやら、悲しいやら。大人だか…

SNOW WHITE AND THE SEVEN DWARFS 1939年オナー しらゆきひめと七人の小人たち

原書でなく内田莉莎子さん訳の『しらゆきひめと七人の小人たち (世界傑作童話シリーズ)』を読んだ。文字が多く小さな子ども向けではないけれど、おもしろい表現がたくさんあり愉快だった。グリム版というより、米国中西部版という感じかな。ガアグのモノクロ…

CINDERELLA ベルサイユ宮殿のシンデレラ

娘7歳、わたし43歳。本日米国時間7月10日に娘は日本で7月11日を迎え、別々の地で同じ日に母子ともに誕生日を祝う体験をした。彼女は親しいお友だち2人を招き、ケーキをいっしょに食べたそう。この日のために贈ったばら柄フューシャ・ピンクのワンピース…

斬新アート マッチ売りの少女

この冬、英語版『The Little Match Girl』を手にして斬新な発想に感心していたら、さっそく邦訳『マッチ売りの少女』が出た。パステルの色見本みたいな表紙から「マッチ売りの少女」はおよそ程遠いイメージになるが、物語を知っている人が抽象、具象の入り混…

チャイルド版「えんどう豆の上のお姫さま」

フューシャ・ピンクのペイズリー柄に、実写紙人形のお姫さま。作者がローレン・チャイルドでタイトルが『The Princess and the Pea』*1ときたら、もう手に入れるしかない。……娘といっしょになって「お姫さま」や「妖精」に胸をときめかす自分を思うと、わた…

ねむり王子ボビー

『Sleeping Bobby』はおとぎ話「ねむり姫(眠れる森の美女)」の主人公を、お姫さまから王子さまにして語るパロディ絵本。18歳の誕生日に糸車の針にさわり100年の眠りに落ちると予言されるのは、「ボブ」と名づけられた王子さま。この王子の現代的な名前は結…

悪戦苦闘パパの語ったお話は……

タイトル『Once Upon a Time, the End (Asleep in 60 Seconds)』を目にしたとき、思わず子どもたちの笑顔が浮かんだ。このフレーズ、息子、娘のお気に入りなのだ。娘は今でもおはこのジョークとして得意げに唱えてくれる。こうして興味を持った絵本の内容が…

名高い白雪姫

ランデル・ジャレル訳『Snow White and the Seven Dwarfs』は、「白雪姫」の話になると必ず言及される絵本。なのでさっそく娘と読む。この表紙には、いつも魅せられていた。 何がいいのかといえば、ドイツ語から英語への翻訳が優れているから。確かにわかり…

こういうパロディもあり

『Snow White』を見て「これもあり!」と、その発想に敬意を表したくなった。絵本のタイトルは「白雪姫」。でも白雪姫は人間のお姫さまではなくて、白いうさぎさんなのである。耳は、白雪姫の黒髪のようにちゃんと黒い。明かしてしまうと、継母はペルシャ猫…

美しくて怖い森でのお話

収穫感謝を飛び越して話題をアドベント、クリスマスに向けるのは気が引けるけれど、お菓子の家がのぞく表紙を見たら、これは絶対ジンジャーブレッド・ハウス(実は、グラハム・クラッカー使用)を作る前に読まなくちゃ……ということになり娘といっしょに『Han…

おとぎ話のパッチワーク

グリム、ペローなどのおとぎ話に魅せられて、最近、図書館でも書店でも必ずこのコーナーをチェックするようになった。よく言われるように、民話、童話の再読の価値は高い。大人こそ読み返してみるべきとは、その通りだと思う。(わたしの場合、お話じゃなく…

ブレーメンの音楽隊パラチェク版

咳がひどくて、娘がお昼前に早退。帰宅していっしょにヨセフ・パラチェクの『The Bremen Town Musicians (PBS little books)』を読んだ。 作中、引かれたのは、動物たちのニックネーム。子どもの頃は気が付かなかった。犬が「Biter(かみつきくん)」、猫が…

世界のお姫さま、海賊の絵本

英米の絵本は、おとぎ話をベースにした「間テクスト性」から成る作品が多い。『The Princess and the Pea』(『えんどう豆の上のお姫さま』)は、全ページカラーのお話集『The Barefoot Book of Princesses』で出会った。ここには、デンマーク、ペルシャ、ア…

アンデルセン作「えんどう豆の上のお姫さま」の現代版『The Very Smart Pea and the Princess-to-be』

『Biscuit Bear』*1以来、完璧にミニ・グレイに魅せられたわが家では『Traction Man Is Here! (Boston Globe-Horn Book Awards (Awards))』*2のリクエストが毎晩のように続いている。これはもう作品すべてを手に入れるしかないと、彼女の米国デビュー作『The…

アンデルセン作『The Pea Bloosom』の中国仕立て

『Pea Blossom』は、アンデルセン原作『さやからとび出た五つのえんどう豆』を、中国北京を舞台に語った絵本。今年の夏は「豆付いて」いたし、表紙の5つの豆の顔を見ただけで必読絵本にしてしまった。 畑で育った5粒のえんどう豆はそれぞれ、自分たちの願…

知っている人がたくさん、ゆかいな仕掛け絵本

子どもたちのお気に入りに「ゆかいなゆうびんやさん」シリーズがある。このシリーズには、マザーグースの童謡やグリム童話などの登場人物が一挙に勢ぞろい。郵便屋さんが、彼らに手紙を届ける。子ども心をウキウキさせるのは、よく知っている登場人物たちに…

靴と言えば、ガラスの靴

靴で思い出したのが、『ペンギンシンデレラ』。アニメフィルム製作に携わっていたというパールマンの作品で、色使いからお茶目なアニメらしさがたっぷり感じられる。残念ながら邦訳は品切れ状態だけど、『ペンギンはだかの王さま (こりゃあびっくり!ゆかいな…

おやゆび姫と花

花の出てくるお話と思い、『おやゆびひめ』を読む。娘はおやゆびトムくん(おやゆびこぞう)のことに触れながら、小さなおやゆび姫のサイズを自分の親指と比べて、何度もイラストと確認。ちょうど、彼女の指の大きさぐらいに描かれているのだ。べスコフのも…