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Ducking for Apples かわいいあひるちゃんたちの秋

自転車で秋風を切るあひるちゃんたちの姿がかわいい! りんごを家に持ち帰り、みんなでおいしいリンゴパイを焼くところがほかほかしていて、今の季節にぴったり。それぞれの表情がユーモラスで、押韻のリズムとともに、子どもは一瞬にしてあひるちゃんたちの…

諸聖徒日を前に、ハロウィンのことなど

諸聖徒日を前に、祖父母のことを思い出していた。ダビデ定雄とユリアナ繁子。今、わたしがここにあるのも二人のおかげだとあらためて確かめながら、秋の深まりに気持ちを重ねた。 小学校ではハロウィンとはうたわないものの、ハロウィン祭りの雰囲気を併せ持…

Flora's Very Windy Day 秋空が恋しくなる絵本

行く夏のなごりを惜しむ中、"Flora's Very Windy Day"のような絵本を読んでしまうと、知らないうちに天高く馬肥ゆ秋を求めている。単に秋が主題の絵本ではなく、主人公の女の子フローラと小さな弟クリスピンのちっちゃな確執も、兄弟ものとしてよく取り上げ…

The Little Yellow Leaf 人の生きる道とは

"Boys, be ambitious"(少年よ大志を抱け)――クラーク博士の言葉で描いた未来は、せめて20代までの人生。その後のことなど雲の上の話で、まったく見えていない。祖父母とはいっしょに暮らしていたけれど、自分の中高年の姿は描けなかった。母親になる事実で…

Miss Susy リスのスージーさんが理想的な生き方を見せてくれます

昨日、新しい児童書店で購入した絵本は『Miss Suzy』(邦訳『りすのスージー (ゆかいなゆかいなおはなし)』)の40周年記念版。娘といっしょに読み、スージーさんの生き方にそろってうなづいた。敬称の理由は、頭が下がるほど彼女がはたらきものだから。 りす…

South 南をめざした 1ぴき 1わ

聖フランシス日にふさわしい1冊は、『South』。ネコくん*1とことりちゃんの交流がハートにしみる、秋にぴったりの文字なし絵本です。 秋も深まった頃、はだか木の下に、仲間とはぐれてしまったことりちゃんが1羽。誰もいないのでエーン、エーン。泣きはじめ…

The Dog Who Belonged to No One 小犬と女の子のものがたり

『The Dog Who Belonged to No One』の主人公は、家のない小犬と家業のパン屋さんを手伝う女の子。けんめいに生きる両者の姿を平行させて描き、最後にハッピーエンドとなるお話です。対句形式がリズムを生み、さわやかな余韻をかもします。 時代は20世紀初頭…

Yoko Writes Her Name 異文化間コミュニケーションの絵本

『Yoko Writes Her Name (A Yoko Book)』は、異文化間コミュニケーションを主題に描いた絵本『Yoko』のシリーズ最新絵本。たまたま、というか作者の好みなのか、ねこのようこちゃんは日本人の設定になっています。かんたんな読み物シリーズでは、かなりの数…

A Visitor for Bear おもいがけないおきゃくさま

孤独を好むおおくまさんのところに、ちっちゃいねずみがこんにちは。ねずみは表の戸からやって来ただけでなく、戸棚のおわんの中だったり、引き出しの中だったり、冷蔵庫の中だったり、所を変えてひょっこり顔をのぞかせます。そのたびにおおくまさんは「や…

velma gratch & the way cool butterfly ヴェルマ・グラッチととってもすてきなちょうちょう

絵本好き冥利に尽きる絵本はそうそう出会えるものではないのだけれど、『Velma Gratch and the Way Cool Butterfly』は確かにこのカテゴリーに入る一冊だ。表紙のヴェルマちゃんとミルクウィード・バタフライ(オオカバマダラ)の組み合わせだけで、ただ者な…

The Apple Doll りんごのお人形作り

『The Apple Doll』は、四季折々に豊かな表情を見せるりんごの木を背景に女の子の成長を描く絵本です。うちにもりんごの木があるので、主人公リジーがどれだけ1本の木から恩恵を受けているか、娘や息子の姿と重ね合わせて見守りました。 新学期が始まり、な…

What Happens on Wednesdays わたしのだいじな水曜日

絶対水曜日に記録しておきたいと思ったのが、『What Happens on Wednesdays』です。タイトルの通り、おはようからおやすみまで、お父さん、お母さんと過ごす水曜日の一日を語るだけのお話なのですが、これが深まる秋頃に相応しく、しんみり子どもの時間を見…

Leaves おちばとくまさん

初めての秋を迎えるくまさんは、木の葉が色づき散り始めたことが心配でなりません。落ち葉をかき集め何とか元に戻そうとしますが、そのうち眠くなってきて、結局集めた落ち葉を洞穴に詰めて冬眠に入りました。 紅葉の神秘を不思議に思う『Leaves』のくまさん…

Imagine Harry みえない ともだちハリー

『Imagine Harry』は、見えない友だちの存在を通して子どもの成長を描く、わりとよくあるタイプの絵本。でも深みのあるイラストがすてきで、背景を眺めるだけでちょっと満足していたりする。それと、うさぎの坊やを見守る母さんうさぎの存在も温かい。新学期…

Wow! School! わあ、学校だよ!

Wow!シリーズ3冊目『Wow! School! (Wow! Picture Book, A)』には、幼稚園初日の様子が、特大の見開きイラストで紹介される。"WOW! CLASSROOM!""WOW! TEACHER!""WOW! ART!""WOW! BOOKS!""WOW! LUNCH!"……。教室に先生が登場した後、アート、おはなし、昼食、遊…

Cowgirl Kate and Cocoa: School Days 秋の新学期にぴったり

「ケイト&ココア」は、文章をひとりで読み始める子どもたちにぴったりのシリーズ。その最新刊が『Cowgirl Kate and Cocoa: School Days』です。秋の新学期が始まりケイトが遊んでくれず、淋しい思いをする馬のココア。でも、もちろんケイトはココアのことを…

Puff, the Magic Dragon 子どもの成長を見つめるテーマソング

子どもたちが巣立っていくとき、わたしの中ではこの歌がBGMとして流れているんだろうなあと感じた絵本です。ピーター、ポール&マリーの人気フォークソングをそのまま、今度はピーター&彼の娘さんが歌いCD付きの絵本にしたのが『Puff, the Magic Dragon』で…

Houndsley and Catina and the Birthday Surprise ハウンズリーとキャティーナ 絵本のようなお話シリーズ お誕生日のびっくりプレゼント

あっという間にお気に入りになったハウンズリーとキャティーナシリーズ*1二冊目『Houndsley and Catina and the Birthday Surprise: Candlewick Sparks』も、三話完結のストーリー。繊細な表現力と設定の巧みさは、ベテラン作家(『なぞのうさぎバニキュラ (…

Move Over, Rover! 雨の日の友だち

『Move Over, Rover!』は、日常性と民話の親しみやすさに言葉遊びのリズムが加わったちょっと欲張りな絵本。ジェーン・ダイヤーのイラストだから、幼児向けのおとなしい絵本かな……という印象を最初に抱いた。ところがどっこい、中身は大違い。珍しい(?)設…

ボビーとそらいろのヨット

アナグマさんのお店で、すてきな空色のヨットを見つけたカワウソのボビー。ヨットへの憧憬が、ショーウィンドウから中を覗き込む表情に満ちている。わたしが子どもの頃、憧れたものは? そうそう思い出した。三十六色のマーカーペンとか四十八色のクレヨンと…

がんばれ じゃがいも

煮物・煮豆の季節到来。寒い季節、ぐつぐつ鍋の立てる音と湯気の匂いは、ほっと心の和みになる。選ぶ絵本も、やっぱり食べ物テーマの絵本が多い。 待ってましたと言わんばかりにお出ましなのが『がんばれ じゃがいも (世界の絵本)』(原書『Brave Potatoes (…

One Green Apple 青いりんご ひとつ

『One Green Apple』を娘と読む。中東から米国に移民してきた少女ファラの気持ちを描く絵本である。 ファラの米国学校生活二日目は、クラスのみんなといっしょにりんご農園を訪ねる校外学習だった。事情があり祖国を後にしてやって来た新しい国で、文化の違…

Boo and Baa Have Company ブウとバアのおともだち

シリーズものは、どうしてなのか素通りしてしまう傾向がある。シリーズすべてが秀作というわけではないので――かなりの決め付けかもしれないけれど――、あまり期待していないというのが本音だろうか。どうしたって「前作のほうがよかった」とか比較してしまう…

Oscar's Half Birthday オスカーは6か月

秋晴れのある日、パパ、ママとミリーは、オスカー六か月の誕生日をお祝いしようとピクニックに出かける。都会の一アパートに暮らす一家は工場地、鉄橋の下を進み、丘にある市立公園を目指した。紅葉の美しい森を抜けると、一面に草地が広がる。赤ちゃんのオ…

いろどり秋の絵本棚 お気に入り秋の絵本

並んでいるのは、秋らしさを感じさせてくれる絵本。眺めてほっこり満足です。シュルビッツの絵本は夏らしくもあるけれど、青白い月光、甘い調べは初秋にも似合うかなと思いリスト入りさました。 邦訳は、このうち三冊出ています――『あかいはっぱきいろいはっ…

Pumpkins パンプキン

先日借りた写真絵本『Pumpkins』の写真家が、上記絵本の作者と同一人物であることを知った! こちらの絵本は、ハロウィンの立役者かぼちゃの成長を写した作品。種まきから始まり収穫まで、顔をくりぬかれる前のかぼちゃたちが畑でどんな風に過ごしているのか…

Autumn Leaves オータム・リーヴス

『Autumn Leaves』*1は、秋になると必ず開く絵本の一冊。北米の紅葉が実物大の美しい写真で紹介されるので、型取りのトレースをしたり、スケッチしたりと大活躍である。しかし、それよりなにより実用以上に大切なことは、彩り豊かな葉っぱの色と形を目にして…

Adele and Simon アデールとサイモン さがしものはなあに?

なんてエスプリの生きた絵本! 二十世紀初頭を想わせるイラストを見て、ひづめの音が響き、アコーディオンの音色流れるパリの街角に佇んでいるような錯覚に陥った。彩り豊かな秋のパリを舞台に、美しく遊べる絵本が『Adele and Simon (Adele & Simon)』(邦…

ONE POTATO, TWO POTATO じゃがいもひとつ、じゃがいもふたつ

『One Potato, Two Potato』は『Two of Everything: A Chinese Folktale』(邦訳『なんでもふたつ (児童図書館・絵本の部屋)』)と同様に、魔法のなべ(かめ)の中から、入れたものが何でも二倍になって出てくる民話絵本。そうとは知らず読み始め、娘が「マ…

The One and Only きみがとくべつ

九月の新学年。クラスの転入生バブルスちゃんは、なにからなにまでオパールちゃんのまねをしたがる。洋服から、遊びから、それこそ何でも。ハロウィンの仮装も、収穫感謝の手作りカードも、クリスマスに切り抜いたスノーフレークスやバレンタインのコブタ天…