folktales

Cloud Tea Monkeys 世界で一番おいしいお茶をどうぞ

一人娘のタシャは、病気になった母親のかわりに茶摘みに出かけた。日頃から母親の茶摘みに同行していても、作業の経験はまったくなかったタシャ。農園の管理人からは子どもの茶摘みと罵倒され、大人に混じって一人だけ悲しい思いをする。木陰で泣き暮れてい…

The Goat-Faced Girl イタリア民話 羊の頭の女の子

娘といっしょにイタリア民話"The Goat-faced Girl: A Classic Italian Folktale"を読んだ。 怠け者の娘イザベラが、王子さまと結婚することになった。今でも怠惰なのにお城へなどお嫁に行ったら、現状に輪をかけて怠け者になってしまう。危惧した母親は、魔…

Stories from the Billabong オーストラリア先住民族に伝わる物語集

自分の知る昔話とは、ほとんどが仏教やキリスト教の教えが根底に流れているものばかりだった。人間の営みが細々と続けられる前近代が舞台である。ところがオーストラリア先住民族に伝わるお話集"Stories from the Billabong"を読み、すべてに圧倒されてしま…

Tsunami! ラフカディオ・ハーン原作"A Living God"から

『Tsunami! (Rise and Shine)』は、発売当初から非常に話題に上っていた絵本です。日系人作家キミコ・カジカワと実力派画家エド・ヤングが組み、ラフカディオ・ハーン原作 "A Living God"(Gleanings in Buddha-fields,1897)*1を迫真に満ちた絵本に仕立てまし…

Letter on the Wind ハヌカ民話の絵本

火を灯せないと危惧した、ある年のハヌカを描く『Letter on the Wind』――ということで、季節はずれの絵本レビュー。干ばつでオリーブの実が育たなかったため油が収穫できず、ハヌカが迎えられないと困っていた人々を村一番の貧しい男へイムが救うお話。ユダ…

Sausages 3つの願いがかなうとしたら……

『Sausages!』は、人間の浅はかさをユーモアで絡めた民話です。ストーリーラインは、岩波書店から出ている『みっつのねがいごと (岩波の子どもの本)』と同じでした。 小人を助けてあげた貧しいきこりは、お礼に3つの願いをかなえてあげようと言われます。家…

The Story of Coffee コーヒーのお話

バイオリンの帰り、息子といっしょにスターバックスに立ち寄った。とてもいいレッスンだったので、ちょっと奮発。彼はマリオンベリー・マフィン、エッグ・ソーセージ・マフィンにデカフ・モカ、わたしはオレンジ・モカを頼んだ。もともとお茶党なのだけど、…

3びきのかわいいオオカミ

息子のお気に入り絵本『3びきのかわいいオオカミ』(原書『Three Little Wolves and the Big Bad Pig』)を、宿題を終えた彼といっしょに読みました。 3匹のコブタがかわいいオオカミ3兄弟に、悪役オオカミは憎憎しげな大ブタに――というユーモラスな役割…

Tunjur! Tunjur! Tunjur! A Palestinian Folktale ものごとの正悪をおしえてくれる絵本

『Tunjur! Tunjur! Tunjur!: A Palestinian Folktale』の主人公は、小さなおなべ。子どもが欲しい奥さんの「たとえ、なべでもいいから、子どもがほしい!」という願いがかなえられ、彼女の家にやってきた。成長ざかりで好奇心いっぱいのおなべはある日、一人…

The Little Red Hen ちいさなあかいめんどり

ロングウィークエンドの楽しみは、NFLプレイオフ。昨日、今日と接戦が多く、見ごたえがあった。シアトルは怪我人続出の中、よくオーバータイムに持っていったと思う。惜敗ながら善戦を称えたい。スーパーボウルは、コルツとセインツで。 というわけでゲーム…

ラン パン パン

今日から明日にかけ再び暴風雨、雪という予報が出ていたので心配になる。午後になると突風が吹き荒れ、停電を予期せずにはいられなかった。これだけ風が強いと鳥たちは木に止まっていられないようで、校庭にわんさかとカラスが舞い降りてきた。休み時間に子…

Move Over, Rover! 雨の日の友だち

『Move Over, Rover!』は、日常性と民話の親しみやすさに言葉遊びのリズムが加わったちょっと欲張りな絵本。ジェーン・ダイヤーのイラストだから、幼児向けのおとなしい絵本かな……という印象を最初に抱いた。ところがどっこい、中身は大違い。珍しい(?)設…

Precious and the Boo Hag プレシャスとブー魔女

米国南部に伝わる民話『Precious and the Boo Hag (Anne Schwartz Books)』を読み、イラストが魅力的だと感心した。ところどころコラージュを使った油絵である。素朴な温もりに実写コラージュの動きが加わり、女の子プレシャスとブー魔女対決が一段と盛り上…

The Three Witches 3人のわるい魔女

魔女が出てくるということで、アフリカ民話『The Three Witches』がハロウィンコーナーにあった。 両親を三人の悪い魔女に食べられてしまった男の子と女の子は、おばあさんといっしょに暮らしている。ある日、おばあさんが留守の間、家に魔女たちがやってき…

ONE POTATO, TWO POTATO じゃがいもひとつ、じゃがいもふたつ

『One Potato, Two Potato』は『Two of Everything: A Chinese Folktale』(邦訳『なんでもふたつ (児童図書館・絵本の部屋)』)と同様に、魔法のなべ(かめ)の中から、入れたものが何でも二倍になって出てくる民話絵本。そうとは知らず読み始め、娘が「マ…

Henny Penny めんどりペニー ペニーが語ったお話

色づいた樫の木にどんぐりがいっぱい――。秋の色彩に惹かれて読んだ『Henny Penny』は、お話よりもどちらかといえば絵の楽しさに魅せられた。 どんぐりが頭に落ちただけなのに、「空が落ちてくる!」と勘違いしためんどりのペニー。これは、天災地変! 王さま…

The Gingerbread Man はしれ! しょうがパンぼうや

おとぎ話や民話の魅力は、とてもひとことで言い尽くせない。長い歳月にわたり愛された物語には、誰が何をしたって到底かなわない言葉と心の躍動がつまっている。世界中どこでもそうなのだから、子どもと親、家族の関係と同様、お話と人の関係も時代や場所が…

The Boy Who Cried Wolf

『The Boy Who Cried Wolf』は、クリコフ*1の狼少年物語ということで楽しみにしていた絵本である。期待どおり、おふざけとシュールさの混じった軽妙かつ不思議な作品だった。 根底に流れるテーマは「あそび」。聞こえてくる声といえば羊たちの「おやつ、おや…

たからもの The Treasure

『たからもの』は、英国に古くから伝わる宝探しのお話です。宝探しと言っても、それは「物」ではなく「心」のたからものに通じています。絵本に描かれる「たからもの」とはいったい何なのか。貧しいひとりの男アイザックの見た夢が、たからものを求めた旅に…

SEVEN SIMEONS 1938年オナー 王さまとシメオン7兄弟

デューダ王さまは富と権力を持ち、しかも賢く美男子です。でもまだ美しいお姫さまを迎え入れていないので、不幸せで悲しい思いをしていました。ある日、水兵たちからもっとも相応しい姫は航海に10年かかるブーザン島に住んでいることを教えてもらいました。…

おとぼけ賢者ゴハのお話集

読み終わったとたん「ねえ、ゴハのチャプターブックってないの?」と覗き込むように尋ねてきた息子。イスラム教国では誰もが知っているという賢いおとぼけおじさんゴハのお話絵本『Goha The Wise Fool』を読み、すっかり主人公のキャラクターに魅せられたよ…

みるなのくら

春らしい日が続いたかと思ったら、今朝は雪。磨りガラスの向こうで斜めに舞う雪片を目にし、唖然としてしまった。なんという寒い朝。春の縁側から一気に冬の小部屋に逆戻りだった。思い起こしたのは、この作品! こたつで丸くなりながら、娘、母といっしょに…

ちいさなあかいめんどり

よく知られているお話だが、どうしてもバートン版『ちいさな あかい めんどり』で読んでみたくて購入した。娘は「もう知ってるから」とあまり興味を示さなかったけれど一緒に読む。そうね、確かに小さな子ども対象の絵本である。でも、3匹のくま*1、*2で魅…

ミュージアム・ナイト アフリカ展

先週の一大イベントは、木曜日のミュージアム・ナイト。中学6年生全員(約400人)が社会と国語の合同行事としてアジア・アフリカの文化・民族・風習を伝える展覧会を開いたのだ。チーム制を取り、3チームが、それぞれ、アフリカ、中国、ギリシャ・ローマ、…

ヨーロッパ中世という時代

小学校の図書館で目にして以来、チェックリストに入れていた絵本に『The Pied Piper of Hamelin』があった。ひきつけられた理由は、何といってもイラストである。チェコ生まれの画家が描く線画による中世の町には、不思議な臨場感が漂っていた。ネズミとかか…

冬の魔法はトムテから

今朝は霜が降り、あたり一面真っ白の光景。娘はサンタ帽をかぶり登校した。途中には、だいぶ踏みならされてけれど氷も張っている。たぶん、朝一番に喜んでこの氷を割ったのは息子だろう。出掛けに部屋に戻り、白み始めた金色の空と有明の月を指差して「ママ…

イーグルボーイの心

突然仕事が入り、忙しくなる。こういうときは、ゆっくり絵本が読めないので残念。ところがこの仕事で偶然、シアトルの歴史を振り返る機会が与えられた。北西部先住民とヨーロッパ系移民者たちの土地抗争について資料を読み、当地の変遷ぶりに想いを寄せる。 …

ジャン・ブレットの最新作『HONEY...HONEY...LION!』

ジャン・ブレットのファンは多い。丁寧に描き込まれる緻密な絵は写実的でわかりやすく、同時に芸術作品である。ブック・フェアの片付けボランティアに駆けつけると、娘の担任の先生がジャン・ブレット最新作『Honey... Honey... Lion! (Rise and Shine)』を…

哀しさから生まれた愉快な話『Roy Makes a Car』

ハリケーン・カトリーナの惨状は、米国の哀しさを露呈した。評論家たちは「米国は911から何も学んでいない」と連邦政府の非常事態体制を非難していたけれど、今回の被害はそういうことじゃない。階級社会の構造的な不条理が多くの命を奪ったこと――そういう被…

米北西部の生き方

家族4人、2泊3日のキャンプ休暇に出かけた。テントと義兄のキャンパーで宿泊した地は、州北西部オリンピック半島の東端に位置する人口8千人の小さな港町ポート・タウンゼンド。鉄道が敷設されず開発されなかったことが幸いして、ビクトリア朝の優雅で古…