friends
真っ黒で、大きくて。たのしそうにおしゃべりすることりたちの仲間に入りたいけれど、からすくんはその身なりから恐れられている。友だちになりたいな、でも、だめみたい。真っ黒だからいけないんだ。もっとちがう姿だったらよかったのに。そうだ! 体中に色…
なにげない日常を描きながら、イマジネーションの広がりが奥深い魅力となる絵本。それが"Clancy and Millie and the Very Fine House"だった。 住み慣れた家を離れて都会に引っ越してきた男の子クランシー。お父さんとお母さんは新しい居住環境に大満足だけ…
喪失を描く絵本。原書はドイツ語。 年老いたカメのクリスタルと心やさしいグースのゼルダの物語。 漉き紙、染み入りの紙、褪せた紙など、背景に使われたほんのり飴色がかった紙の質感が、哀しくも心あたたまるお話を味わい深く演出する。登場キャラクターた…
やはりカイブツ・オバケ界のお話なので、人間界の常識とはまったくことなる教室風景が描かれる絵本だった。 主人公のフランキー・スタインは、あのフランケンシュタイン夫妻のフランキー坊や。まるで人間のような風貌なので、学校の初日から仲間はずれにされ…
本作"Up and Down. Oliver Jeffers"にて、"Lost and Found""How to Catch a Star""The Way Back Home"の4部作完結。 これは、ペンギンと男の子の友情ものがたり。空を飛ぶ野望を抱いたペンギンが、男の子といっしょにさまざまな挑戦を繰りかえす。最後に自…
鮮やかなパステル画に惹かれて"What About Bear? (Goose and Bear Stories)" を開いた。 くまとあひるが仲良く遊んでいるところに、きつねが仲間入り。するとたちまち仲良し関係がぎくしゃくしはじめて……。がたいが大きなくまは、きつねに煙たがられて、仲間…
"Mr. Elephanter"は、ほんわか、ほのぼの系の小作品。エレファンターおじさんが、ゾウのナーシング・スクールで子ゾウ3匹のお世話をする。 何ということもない日常の光景でも、対象が丸くてコロコロした小さなゾウになると世界は違って見えてくる。おじさん…
どういういきさつでディカミロ&マクギー・コンビが生まれたのか知らないけれど、"Bink and Gollie"を読んで確かに今までにないシリーズが生まれた印象を持った。でも、但し書きがたくさん付く。 まず、これが低学年向き読本とは思えない。時代設定は、あき…
かわいいなあ! 大きいのと小さいのと、サイズの対照的なキャラクターが登場するお話は、その設定だけでひきつけられる。"Ernest, the Moose Who Doesn't Fit"は、体が大きすぎて本の中におさまらないムースのお話だ。でも、確かに悩みを抱えるムースのアー…
都会からやってきた1匹の飼い犬と、田舎の畔に暮らす蛙。犬に話しかけられた蛙は待っていた友だちがやって来ないので、「きみが友だちになって」とお願いした。こうして2匹は愉快に遊び出す。春にはピョンと跳ね、水しぶきを飛ばし、ゲコゲコと声を鳴らす…
質感のある鮮やかな色合いで、おまけに四季が描かれている。きれいなイラストに引かれて手にした絵本だったが、フランスではすでに人気シリーズで、どうやら本作は2冊目らしい。こちら"Big Wolf and Little Wolf, The Little Leaf That Wouldn't Fall"のテ…
"Tomas and the Library Lady"は昨年、娘の教科書で出会ったお話です。たまたま邦訳『トマスと図書館のおねえさん』が最近出たことを知り、昨年のことを振り返ってみようと思いました。 テキサス州に住むメキシコ移民の少年トマスは夏の間、季節労働として農…
うさぎと青い鳥の友だち関係を描く"Forever Friends"は、春に読むのがぴったりの絵本である。春風が運んだかのように友情が育まれ、春夏秋冬と季節を巡り、ふたたび出会いの春を迎える物語。詩情豊かな自然描写が美しい。 このアーティストのコラージュは、…
引っ越したばかりで友だちがいない男の子は、野球の仲間に入りたいけれど勇気がなくて入れない。しかたなく、公園のベンチに座り沈んでいると、横に座っていた4人のおじさん、おじいさんたちが、同情してくれたみたい。4人は、老体に鞭打って男の子を遊び…
いろいろなことが偶然に重なり、その意味からも今日は『わたしのメリーゴーランド』について記しておこうと思いました。まず、重なった事象とは――①一昨日、メリーゴーランドがテーマの絵本を紹介していたこと。②色の魔術師ブライアン・ワイルドスミスに師事…
前作"Ladybug Girl"では一人の見立て遊びを描き、2作目の"Ladybug Girl and Bumblebee Boy"はハチになりきる男の子といっしょのごっこ遊びを描きます。コスチュームを身に着けると、子どもはその気になるのですよね。これぞ仮装というコスプレに生きるワクワ…
"There are fairies at the bottom of the garden"('Fairies' by Rose Fyleman)……お庭の深みには妖精たちがすんでいるので、はっとするようなことがおきてもまったく不思議ではない……そうです、そうです。お庭には妖精たちが棲んでいます。春の目覚めに触れ…
『Big Smelly Bear』は、不精で体も洗わない面倒くさがりや、おおくまさんの物語。あまりにも汚れているので、どこからともなく匂いもぷう〜ん。そんなこんなで森の動物たちから避けられていたけれど、本人はまったく気にしていなかった。でもある日、背中が…
何と言おうか、アンソニー・ブラウンだからこそなしえた、おちゃめな美女と野獣の世界。『Little Beauty』(邦訳『ゴリオとヒメちゃん (児童図書館・絵本の部屋)』)は、大人かわいい2匹の関係をリアリズムと素描にユーモアを絡めて描く、きわめて稀な絵本で…
『The Cardboard Piano』と聞いて、そういえばわたしもピアノを習い始めた頃、紙の鍵盤に指を置いてキーの名称を覚える練習をしたっけ……と思い出した。紙の存在はたとえ見立てであっても子ども心をくすぐり、自分が魅せられたのと同様に娘もさっそく作りたい…
ティリーは、お友だちといっしょに黄色のおうちに住んでいるんだって。あひゃひゃひゃ……、かわいいとは、こういうことなのですね。『Hello, Tilly: A Tilly and Friends Books』を手にして、もうメロメロでした。 小さな子どもの夢物語。出てくる動物たちは…
『The Dog Who Belonged to No One』の主人公は、家のない小犬と家業のパン屋さんを手伝う女の子。けんめいに生きる両者の姿を平行させて描き、最後にハッピーエンドとなるお話です。対句形式がリズムを生み、さわやかな余韻をかもします。 時代は20世紀初頭…
ジャズを好み、切手収集を楽しむ大きなくまどんは、サッカーなどしたことがない。ところが、メンバーが足りないマイティー・ジャイアンツのために借り出され、急きょ試合に出ることに。体が大きく小回りの効かないくまどんは失敗を繰り返すけれど、最後にと…
邦訳名の『あ、そ、ぼ (創作絵本シリーズ)』は、コミュニケーションの第一歩。原書のほうは、『Say Hello』。絵本作家マイケル・フォアマンの息子ジャックが10歳のときにつづった、ちょっぴり心の痛む詩を父親マイケルが絵本にした。 広がる白一面に、黒と水…
ビーバーのランドルフとグースのアイビーは、気の合うルームメイト。性格は正反対だけど仲良く都会のアパートメントで暮らしていた。ところがある日、アイビーがお泊りのビーチパーティに招待されたことからランドルフの気のいい性格が一転する。ルンルンと…
孤独を好むおおくまさんのところに、ちっちゃいねずみがこんにちは。ねずみは表の戸からやって来ただけでなく、戸棚のおわんの中だったり、引き出しの中だったり、冷蔵庫の中だったり、所を変えてひょっこり顔をのぞかせます。そのたびにおおくまさんは「や…
『Pink』というタイトルからルンルン、女の子の「夢見るピンク」を思い浮かべたけれど、絵本に描かれるピンクにまつわるお話は、現実を絡めたちょっとほろ苦い内容だった。それは表紙に見える主人公ヴィヴィの表情にも表れている。ピンク色の可愛い品々に囲…
『しんせつなともだち』『ゆきのひのおくりもの (パロル舎選「ペール・カストール」シリーズ)』で知られる中国の「ぐるぐる話」に、もう一冊『Rabbit's Gift』が加わりました。 うさぎ→ロバ→羊→……友だち思いの心優しい動物たちが、食べ物の少ない冬にカブを…
ねずみ年だからねずみの絵本を……と思い『ねずみとくじら (評論社の児童図書館・絵本の部屋)』(原書『Amos & Boris』)を選んだ。 独学で航海術を学び船を作ったねずみのエーモスは、憧れの大海原に出航した。「かじり号」で進む船の旅は、何もかもが夢のよ…
『Cowboy and Octopus』と聞いて、思わず「は?」の反応。西部のクール・ガイと宇宙人みたいな風貌の蛸が一体どうつながるのか。作者の意図に弄ばれてみようとページを開いた。 いかしたカウボーイがある日、青い蛸に出会う。劇画風両者の誕生経緯は置いてお…