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We are the Ship: The Story of Negro League Baseball MLBファンに贈る永久保存版 ニグロ・リーグのすべて

『We Are the Ship (Coretta Scott King Author Award Winner)』には、魂がこもっている。ニグロ・リーグのことは写真でしか学んだことがなかったが、ネルソンの絵筆にかかるとこれほどまでに迫力がかるのかと圧倒された。 序文は、本塁打王ハンク・アーロン…

Boycott Blues: How Rosa Parks Inspired a Nation キング牧師記念集会を前に

今週金曜日、主人の小学校でキング牧師を記念する集会が開かれる。各クラス、あるいは学年で、それぞれ発表を行うのだけれども、主人のクラスのプレゼンテーションがすごくすてきなのだ。アイデアは、娘が宿題で取り組んでいたブックレポートから拝借。米史…

Our Abe Lincoln: An Old Tune With New Lyrics 大統領選挙キャンペーンソングが絵本になった

『Our Abe Lincoln: An Old Tune With New Lyrics』は、実際にリンカーン大統領選挙戦の際に歌われていたキャンペーンソングを用いて彼の生涯を紹介するユニークな絵本。民謡"The Old Grey Mare"のメロディに乗って、リンカーン誕生から少年期、青年期、大統…

We the People: The Story of Our Constitution オバマ大統領就任演説によせて

1776年7月4日、独立宣言を高らかに謳ったものの、国家としては未熟でその後も問題が絶えなかった若い米国。『We the People: The Story of Our Constitution』は1787年5月、フィラデルフィアに集結した13州の代表が憲法制定を目指し議論する過程を時系列で追…

Mr. Lincoln's Boys: Being the Mostly True Adventures of Abraham Lincoln's Trouble-Making Sons, Tad and Willie リンカーン・ボーイズの逸話

『Mr. Lincoln's Boys』は、ホワイト・ハウスで暮らしたリンカーン一家の側面を2人の息子に焦点を当てながら描く。リンカーン大統領の就任が1861年なので、作中では三男ウィリアムが10歳、四男トーマスは7歳。相当のいたずらっ子だったらしい。 南北戦争勃発…

Abe's Honest Words: The Life of Abraham Lincoln リンカーン大統領のまっすぐなことば

リンカーン大統領生誕200年を前に昨年、多くの関連絵本が刊行された。『Abe's Honest Words (Big Words)』は中でも特出していた印象が残る。伝記名言シリーズ『Martin's Big Words』(邦訳『キング牧師の力づよいことば―マーティン・ルーサー・キングの生涯…

Abe Lincoln crosses a creek : a tall, thin tale (introducing his forgotten frontier friend) リンカーン大統領、幼少期のエピソード

『Abe Lincoln Crosses a Creek: A Tall, Thin Tale (Introducing His Forgotten Frontier Friend)』は、幼なじみが語る第16代大統領リンカーンの少年時代を描く絵本。幼なじみオースティン10歳、エイブ7歳のときに、川下りを試みたエピソードが語られる。 …

Barack Obama: Son of Promise, Child of Hope オバマ時代のはじまり

『Barack Obama: Son of Promise, Child of Hope』の人気ぶりを知っているのか知らないのか定かでないけれど、主人曰く「これからたくさんオバマ大統領の絵本が出てくるね」。本作はその第一歩か。北軍勝利(リンカーン大統領)、公民権運動(キング牧師)は…

March On!: The Day My Brother Martin Changed The World 米国を変えた日

『March On!: The Day My Brother Martin Changed the World』は、キング牧師の姉が1963年8月を振り返るノンフィクション絵本。米国を、そして世界を変えた日のドキュメンタリーが、一番身近にいたであろう人の声を通して伝えられると、熱い夏がさらに熱く感…

Boys of Steel: The Creators of Superman スーパーマンの著作権

スーパーマン誕生の背景に、どのようなストーリーがあったのか。『Boys of Steel: The Creators of Superman』を読み、組織の中で創造活動する難しさを痛感した。 高校の同級生同士、苦心のたまものとして生み出したスーパーマンが自分たちの手を離れ、時代…

Our White House: Looking in, Looking out 著名作家・画家108人がホワイトハウスにまつわるエピソードを紹介する絵本

『Our White House: Looking In, Looking Out』は、歴代大統領のエピソードに始まり、ホワイトハウスにまつわる歴史、逸話が満載の一冊。厚さ約2センチほどで、絵本というより社会科学習にもってこいのお話参考書といえそうな体裁だ。特筆すべきは、著名作家…

Colonial Voices: Hear them Speak

ボストン・ティー・パーティ事件――英国議会による東インド会社の茶税を課された植民者たちが、船中の茶を海に投げ捨てた事件。『Colonial Voices: Hear Them Speak』では1773年12月16日の事件当夜に向けて、早朝からボストンの人々がどんな時間を過ごしてい…

A Boy Named Beckoning: The True Story of Dr. Carlos Montezuma, Native American Hero 北米先住民族の社会的地位向上に尽力した医師カルロス・モンテズマの生涯

部族殺戮に遭った際、5歳で誘拐され、奴隷として売られ、まったく見ず知らずの社会で育てられた――。自分が同じ経験をしていたら、どんな一生を送っていたのか。あまりに波乱万丈の生きざまを知り、読後、衝撃が収まるのをしばらく待つしかなかった。ノンフィ…

Lady Liberty: A Biography

『Lady Liberty: A Biography』は、壮大な構想の下に生まれた一大歴史ノンフィクション絵本。20年間にわたり自由の女神建造に関わった20万人にも上るアメリカ人、フランス人の働きを、異なる分野からの人々が語る。冒頭は現在。ラトビア移民として米国にわた…

Buffalo Music

『Buffalo Music』も、北米野生動物もの。狩猟過多のため絶滅寸前に追い込まれたバファローを飼育し、野生動物保護に貢献したマリー・アン・グッドナイト(なんて素敵な苗字!)の働きを描く。作中では、モリーとして登場する。 作品一番の魅力は、一人称に…

Owney the Mail-Pouch Pooch お手紙守ります 郵便犬オウニーのお話

『Owney, the Mail-Pouch Pooch』は郵便犬として実在したテリア犬、オウニーを描く絵本。1888年10月、雨の降りしきる寒い夜、一匹の野良犬がニューヨーク、アルバニー郵便局に迷いこんだ。野良犬を見つけた職員たちは、手紙の詰ったキャンバス袋に寝そべる犬…

Elizabeth Leads the Way: Elizabeth Cady Stanton and the Right to Vote 女性参政権運動家エリザベス・キャディ・スタントン

『Elizabeth Leads the Way: Elizabeth Cady Stanton and the Right to Vote』の冒頭で問いかけられる質問がいい。「女の子だから×××できない――あなたならどう思う?」――ああ、絶対に娘に読んでもらわなくちゃ。女子なので財産所有権がないetc.など、もろも…

How I Learned Geography 画家シュルヴィッツの軌跡

異国へのロマンを誘う地図――。広げて六つの大陸と七つの海を見渡す開放感は、わたしも子どもの頃に味わった。目に入るへんてこな地形、カタカナを一文字ずつ追わないと読めない地名、海と山の色の濃さに映る地球の表情。地図は悠久の時間と結びついているよ…

I, Matthew Henson: Polar Explorer 北極探検に挑んだマシュー・ヘンソンの伝記絵本

『I, Matthew Henson: Polar Explorer』は、米国メリーランド州出身の探検家マシュー・ヘンソン(1866-1950)の生涯を記す絵本。 ヘンソンは両親と死別した13歳の頃、働いていたボルチモアのレストランで航海の話を耳にし、大海に夢を抱いた。その後、ケイティ…

Night Running: How James Escaped with the Help of His Faithful Dog ランナウェイとフレンド

昨夜は教会で夕食会準備のお手伝いをした。数か月に1回、児童クワイアーの父母が準備を担当することになっている。メニューはメキシカン。リーダーの支持に従い、わたしはタコスのひき肉を炒めた。直径1メートル近い巨大フライパンで料理するのは初めてのこ…

Down the Colorado: John Wesley Powell, the One-Armed Explorer 未開の地に挑んだジョン・ウェス・パウウェル

『Down the Colorado: The Story of John Wesley Powell, the One-Armed Explorer』――牧師である父が奴隷制度廃止論者であったために迫害を受け、学校へは通わず自然主義者の知人から教育を受けたジョン・ウェス・パウウェル。家族は地下組織アンダーグラウ…

When Marian Sang マリアン・アンダーソンの伝記……米国黒人史月間で娘が選んだノンフィクション絵本

2月は黒人史月間でもあるので、科学ノンフィクションに加え、読書は歴史関連本も多くなる。そんな中で娘がフリーブック・イベントで選んだ絵本がこちら『When Marian Sang : the True Recital of Marian Anderson the Voice of a Century: The True Recital …

Jazz on a Saturday Night ジャズのドリーム・チーム

「今日、楽しかった」――。息子帰宅後の第一声が弾んでいたので、楽しいバレンタインが過ごせたのだとこちらも嬉しくなった。昨夜、たまたま出かけたお店で偶然見つけてしまった厚さ3.5センチ、縦横約25センチ×30センチの巨大ハート型チョコレートを一体どう…

The Wall: Growing Up Behind the Iron Curtain かべ

『The Wall: Growing Up Behind the Iron Curtain (Caldecott Honor Book)』は共産主義国チェコスロバキアから西側に亡命した画家ピーター・シスの半生を描く自伝絵本である。夏に読んでおきながら、ついにここまでレビューを書かずにいた理由は、忙しいこと…

Henry's Freedom Box: A True Story from the Underground Railroad 奴隷解放地下組織アンダーグラウンド・レールロードの実話を語る絵本――キング牧師記念日を前に

来週月曜日のキング牧師記念日を前に、今週は同牧師の働きを再度確認する授業が多いようだ。友だちの誕生プレゼントを買いに本屋さんに出かけ、娘は自分用にとキング牧師のノンフィクション写真絵本を購入した。帰ってきてから真剣に読んでいるので、ならば…

Footwork: The Story of Fred and Adele Astaire フレッド・アステアのプロ魂

「好きを貫く」話題で盛り上がっているはてな界隈。天才ダンサー、フレッド・アステアのプロ根性を描いた絵本『Footwork: The Story of Fred and Adele Astaire』を読み、「好き」とはつまりこういうことなのかと納得させられた。 ネブラスカ州オマハから母…

Close to the Wind: The Beaufort Scale 七つの海で風を受ける

ウェブ時代に入り更なる文明の進化を享受する喜びはたくさんあるけれど、『Close to the Wind: The Beaufort Scale』のような美しい絵本に出会うと、やはり今の時代に生きていて良かったなとあらためて実感する。本書は、架空の海軍見習い将校ウィリアム・ベ…

Anne Hutchinson's Way 信念を貫いた一母親の生涯

1634年9月18日、62日間の航海の後、アン・ハッチンソンはマサチューセッツ湾の新天地に足を踏み出した。先に到着していた生地屋の夫と長男エドワードが建てた家でまさに今、未知の地での生活が始まろうとしていた。しかし、11人の子どもの母親であり、この地…

The Giant of Seville: A "Tall" Tale Based on a True Story 世界で一番大きなジャイアントのお話

『The Giant of Seville: A "Tall" Tale Based on a True Story』は、オハイオ州セヴィルに永住の地を求めようとやってきた、世界で一番大きな男、キャプテン・ベイツと彼を温かく迎え入れた町の人々との交流を描く。これが実話というから、何とも興味深い。…

The Story of Charles Atlas 健全な心は健全な体に宿るを実践したチャールズ・アトラスの話

「フィットネス」って、自分とは縁のない眩しい表現で、日本にいるときは自分の範疇でないと100%確信しきっていた。要するに外見を整えること、でしょ。人間は中身が肝心という価値観が染み付いていたから、スポーツ好きだったにもかかわらず、ジムとかエア…