life
公立校の新学期が始まり1週間。初日の朝のことを記しておこうと思いながら、すでに1週間がたってしまった。 先週の水曜日は雨。息子は部活の試合でゴルフバッグを持って行かなければならなかったので、わたしが車で送ることになった。戸締りするわたしを、…
"Bald-Headed Princess: Cancer, Chemo, and Courage"は、小児白血病を克服する11歳の女の子の物語。教師である作者は実際、11歳の息子を同病で亡くしており、家族とともに体験した自らの想いを白血病への理解も含めて文章に託した。 冒頭は、白血病に侵…
"Augustus And His Smile"を読んだときはあまりピンとこなかったのだけれど、今度の"Harris Finds His Feet"は、作者の研ぎ澄まされた感性にビビッときた。 洗練、繊細、エレガント――光と影、濃淡を巧みに操り、大胆な構図で流れていく各ページはアートの極…
版画風の表紙に魅せられ手にした『どうして?』は、圧倒的なイラストレーションの力でけん引する絵本です。 真っ暗な世界には、あひると赤いぬいぐるみだけ。冒頭は、赤と黒のみの描写です。色で引きつけるパンチのあるイメージに、読者はさまざまな行く末を…
『ヘンリー、フィッチバーグへいく (世界傑作絵本シリーズ)』(原書"Henry Hikes to Fitchburg")は、思想家でナチュラリストのヘンリー・デイビッド・ソロー著「ウォールデン-森の生活-」を基に、人間と自然のかかわりを描いた絵本です。登場するくまのヘン…
『Spuds』――これは貧しい時代のお話。たぶん、大恐慌の頃。ケニーさんちのジャガイモ畑は大豊作。掘ってあげないといずれ腐ってしまうと読んだ姉のメイベルは、弟のジャックと小さなエディを誘い夜の畑に忍び寄る。ほっかほかのふかし芋を想像しながら。でも…
"Boys, be ambitious"(少年よ大志を抱け)――クラーク博士の言葉で描いた未来は、せめて20代までの人生。その後のことなど雲の上の話で、まったく見えていない。祖父母とはいっしょに暮らしていたけれど、自分の中高年の姿は描けなかった。母親になる事実で…
昨日、新しい児童書店で購入した絵本は『Miss Suzy』(邦訳『りすのスージー (ゆかいなゆかいなおはなし)』)の40周年記念版。娘といっしょに読み、スージーさんの生き方にそろってうなづいた。敬称の理由は、頭が下がるほど彼女がはたらきものだから。 りす…
人生四十路を迎えたあたりから、ぼんやりと老後の暮らしを思い描くようになった。どこで暮らそうか、何をしようか。移住が当たり前の米国にいると、家族編成によって家のサイズを変え移り住む習慣が、いつの間にか自分の中でも普通に感じられるから怖い。 古…
ハロウィン・コスチュームのイメージは、あおいとり。『青い鳥 (世界の名作 (1))』*1で抱く「青」が見つからず、結局ターコイズ・ブルー(エメラルド・グリーン)のような青のベロアでことりドレスを縫った。4色のオーガンジーを羽として付け、でき上がりは…
新学期が始まり、自分でも驚くほど充実の日々が続いている。去年の2クラスから増え、今年は4クラスでのチューターなのだが、想像以上にストレスがたまらずにいて意外や意外、素直にうれしい。やはり過去2年間は、担当したクラスの質によったのだ。この非常に…
『おおきな なみ―ブルックリン物語』は、絵本画家バーバラ・クーニー実母の少女時代を描いた絵本です。ドイツから移民し事業に成功して裕福に暮らす一家の姿が描かれます。地名がたくさん出てくることから当時のニューヨークの発展ぶりが伺え、歴史的資料と…
NFLコルツのヘッド・コーチ、トニー・ダンジー作の絵本『You Can Do It!』。目標が何なのかわからず学校で問題ばかり起こしていた弟リンデンが、どのように人生のゴールを探し当てたかの実話エピソードが記されています。 "You can do it! Dream big!"――これ…
『リスとお月さま』*1以上の作品と聞いていたので、わくわくしながら手のひらサイズの小さな絵本『Learning to Fly』を開きました。 これは空を飛びたがっているペンギンと、彼を助ける一人の男――作者――による二人三脚の奮闘物語です。ペンギンから空への憧…
『シーソー』という題名や帯の「哲学絵本」という響きから、「人間の生き方」とか「コミュニケーションのあり方」みたいな指南が書かれている絵本かなというイメージを持った。あながち間違いではなかったけれど、物語の過程で起こるそれぞれのエピソードに…
封筒の体裁に、ペンで書かれた『まってる。』のタイトル。人生の節々に見られる「まってる」場面を、赤い毛糸のつながりで表したフランスの絵本です。 この時季に記したかった理由は、象徴として示された毛糸の色が、クリスマスの「赤」に通じていると思えた…
『Lucky Jake』には、カリフォルニア州の金鉱に暮らした父子の生活が描かれます。金塊を売ったお金で手に入れたこぶたをきっかけに、日々の暮らしが少しずつ好転していくのですが、この様子が「こりゃあ、ついてたな」のかけ声に象徴されながら語られていき…
道教の祖、老子を語る『The Legend of Lao Tzu and the Tao Te Ching』を息子と読んだ。伝記というよりタイトルどおり、まさに伝説という感じ。81年間胎児として母体に宿されていたので、紀元前604年9月14日、生まれたときにすでに白髪で歩けたというのだか…
『The OK Book』に出てくるOKちゃんは、どこにでもいる子どもを象徴している。「O」が顔で、「K」が体。「OK」の形を90度右に回転させるとしっかり地に足をつけた人間になり、絵本の中で子どもの日常を示しているのだった。ペンでシンプルに描かれるOKちゃん…
NYTに出ていたのでどんな絵本なのかと『Someday』(邦訳『ちいさなあなたへ (主婦の友はじめてブックシリーズ)』)を手にしてみました。 これは、子どもの誕生から成長までを、母親が清らかに歌い上げる絵本です。小さな生命に出会った喜びは、日々発見の楽…
「また来てる! ママ、ダックさんたちがまた来てるよ!」――。朝、ブラインドを上げ、娘が叫びました。そういえば、野生のアヒル夫婦のことは、日曜日あたりから興奮して話していたっけ……と記憶を呼び戻しながら窓辺を見やると、えっちらおっちらかわいらしい…
小さなお重に並んだお節をつつき、一年の早かったことを振り返る。しみじみと時の流れを実感する日に選んだ絵本は、ブレイクの『ザガズー―じんせいってびっくりつづき』(原書『Zagazoo』)。子育てする親の必読絵本と言われる作品だ。 しあわせなカップル、…
『Mice, Morals, & Monkey Business』は、主人の誕生日に贈ろうかなと思いをめぐらせた絵本。別の作品にもう決めたのだが、これも捨てがたかった。 見事な木版画と美しい布装丁の絵本版イソップ物語は、一家に一冊、あるいは一クラスに一冊置いておきたい類…