poetry

Emma Dilemma: Big Sister Poems おねえちゃんとよばれて

臨場感あふれる設定、いきいきとしたイラストが、姉妹の日常を活写する詩の絵本。 ジェシカは4年生。妹のエマはまだ小さい。エマはおねえちゃんが大好きで、いつもおねえちゃんを追いかける。笑顔をふりまく妹は、かわいいけれど、いたずらもしほうだい。ジ…

Guyku: A Year of Haiku for Boys 男の子のこころ

またもや、男の子のおかあさんたちが胸を熱くしそうな絵本。こちらは男の子の個性を四季をとおしてうたう俳句の絵本。俳句というよりHaikuと記したほうがいいのかな。読んでいると元気な男の子たちを想起せずにはいられない。 配色に工夫を施したイラストに…

Fiesta Babies メキシコのあかちゃんたち

リズムがよくて、カラフルで。ぬくもりを感じさせる手作り感、そして民族への誇りが"Fiesta Babies"の魅力。ぴちぴち明るくはじける赤ちゃんたちが、たのしくお祭りを盛り上げる。フィエスタ、シエスタ……「あ音」でおわる語感だけで、元気になれそう。Fiesta…

Poem in Your Pocket for Young Poets 中高生のための新しいポエム・ブック

誕生日プレゼントに"Poem in Your Pocket for Young Poets"を買った。ここにはディキンソンやフロストらを含めた古典からモダンまで、100編の詩が紹介されている。 この詩集がユニークなところは、「本」ではないという点。体裁はまるで、ハードカバーに…

A Dazzling Display of Dogs コンクリート・ポエトリーでつづる犬の個性

'concrete poetry'とは「文字や単語や記号の絵画的配列によって作者の意図を表わそうとする詩」(リーダーズ英和)のこと。視覚にうったえるこの表現方法は子どもたちの間で人気があり、好きな子は詩よりもアートに重きを置いて作品を制作したりする。娘も夢…

Ounce Dice Trice 英語の語感を味わおう

"Supposing (The New York Review Children's Collection)"が愉しかったので、"Ounce Dice Trice (New York Review Children's Collection)"も読んでみる。 こちらは、英語の語感を紹介する詩の絵本とでも言えようか。まえがきには「本書はことばと名前の一…

Black Jack: The Ballad of Jack Johnson ボクシング界のブラック・ジャック

ブラック・ジャック(1878年テキサス生まれ)は黒人初のボクシング・ヘビー級チャンピョン。人種差別の時代に人種の壁を乗り越えて、名実ともにパワーを見せつけた。その世紀のマッチはオーストラリアのラシュカターズ・ベイで執り行なわれたというから…

Supposing...もしも、そうなったら どうする……?

ことばとイマジネーションに遊ぶ、おもしろい絵本に出会った。"Supposing (The New York Review Children's Collection)"は、1960年初版の作品。突拍子もない仮定文にシンプルなペン画が添えられ、シュールな空想遊びにいざなってくれる。 たとえば表紙…

In the Wild 迫力の動物たち

"In the Wild"は、詩の指導にぴったりかもしれない。大判サイズで、動物たちが見開きページからはみ出しそうな構図で、タイトルのとおり絵本もワイルドだ。こちら側に、今にも迫ってきそうな距離感が効いている。木版画の素朴さに野生味が加わり、アート絵本…

Little Black Crow 少年のつぶやき

さらりと描いた水彩が、少年の素朴なつぶやきと合い重なり、さわやかな絵本になった。「ぼく」はカラスを見つめ、心に浮かぶまま問いかける。どこに行くの? 誰に会うの? 君も怒ったりする? どうやって眠るの? こんな風に次から次へと、素直に、ことばの…

Switching on the Moon: A Very First Book of Bedtime Poems おやすみのポエム

"Switching on the Moon: A Very First Book of Bedtime Poems"は、けっこう分厚くて大きな詩集。おやすみ前のベッドで開くために編まれた。マザー・グースの童謡があったり、有名作家の詩があったりで楽しい。ファージョンの詩はこれ。 The Night Will Neve…

The Carnival of the Aniamls 動物の謝肉祭

"The Carnival of the Animals"は、詩人プレルツキーが「動物の謝肉祭」をテーマに手がけた詩の絵本。CD付きなので楽曲といっしょに楽しめる。 ニューヨーク・シュタイナー学校の音楽部長によるあとがきが興味深かった。1886年に誕生して以来、子ども…

Hallowilloween ゆかいなハロウィン・ポエトリー

"Hallowilloween: Nefarious Silliness from Calef Brown"もハロウィン前に記すべきだった。こんな風に言葉をあやつりながらお祭りを迎えるって、さぞかし楽しいだろう。どのページにもウィットに富んだ、愉快で、ほんのり奇怪な詩が飛び交っている。 語感だ…

One Big Rain: Poems for Rainy Days しとしと雨の降る夜に

1か月前、いえいえ、これは2か月近く前から、購入して袋に入れっぱなしになっていた絵本のうちの1冊。"One Big Rain"を書店の袋から取り出して、ちょっと思い出してみる。あれは確か公立校の初日が雨降りで、その日に書店に立ち寄り久々の衝動買いを敢行…

I know a lot of things ポール・ランドの世界

ポロポロ、ポロンと、余白にこぼれ落ちる音符のようなイラスト。ポール・ランドの絵を初めて見たときの印象は、空間に踊るピアノの音色といっしょにやってきた。今、こうして原書"I Know a Lot of Things"を手にしてみて、それはアルファベットだから、さら…

I Want to be Free 奴隷からの逃走

"I Want to be Free"は、奴隷からの逃走を描く詩なのだけれど、もとはキップリングの小説『キム』を介した、仏陀の弟子アナンダの物語という。背景に合わせて言葉を変えた再話ということで、がぜんもとのストーリーに興味が湧いた。 逃走は常に死と隣り合わ…

The Negro Speaks of Rivers 河への想ひ

河の流れに想いを委ねてみる。心のさまようままに、感じるままに、漂いながら。詩人ラングストン・ヒューズの詩を読み、太古の河に、ユーフラテスに、コンゴに、ナイルに、アブラハム・リンカーンが若き頃下ったミシシッピに、想いを馳せた。きらめく水面、…

Mirror Mirror おとぎ話を上から下から

なんと愉快で機知に飛んだ詩群だろう! ふつう詩は上の行から読んでいくものだけれども、それを下の行から読み始めたらどうなるのか。おとぎ話をテーマにした詩集絵本"Mirror Mirror: A Book of Reverso Poems"は、一見単純な、けれども斬新な発想を昇華させ…

Not Last Night But the Night Before びっくり夜のおくりもの……

"Not Last Night But the Night Before"は、とびきり特別な絵本。いかにも英国風のアレンジで、24人のどろぼうが家にやってくるという古い縄跳び歌を愉快なお誕生日絵本に仕上げた。 色鮮やかで、賑やかで。星の降る夜に童話、童謡の世界からキャラクター…

Red Sings From Treetops: A Year in Colors 北米の四季の彩り

先週の木曜日、歌の先生にお寿司をご馳走になった。ちょうどうちから歩いて10分ぐらいのところに、市内でもっとも本格的と誉れ高いお寿司屋さんがある。(このオーナーが偶然にも、わたしと同郷、同級生のおじさんに当たる人と言う事実はまたの機会に触れ…

All the World 大きな世界に抱かれて

表紙のこの入道雲、子どもの頃、夏になったら毎日見上げていた。気持ちよかった、何の束縛もない開放感。"All the World"でうたわれる世界は、自由で安心に満ちている。 描かれるのは建物の雰囲気からテキサスあたりの海岸風景。けれども、絵本に流れる空気…

How Do You Wokka-Wokka? ときにはこんなことばあそび

"How Do You Wokka-Wokka?"のようなことばあそびから久しく離れているなあと実感。耳にしただけで理由もなく、何だか心が弾み出す言葉のパワー。教室で読んだら、一気にリズムが生まれそう。 ときにはこんなことばあそび、誰の心にも必要な気がした。大人の…

Billy and Milly, Short and Silly 鋭い感性がキラリ!

シンプルなものこそ、ごまかしがきかないゆえに完璧さが求められる。"Billy and Milly, Short and Silly!"は、その「シンプル」が完璧にぴたりと決まった絵本。脚韻を並べただけの、ちょっと笑えるショートストーリー集である。わずか3語、あるいは4語でこれ…

The Frogs and Toads All Sang アーノルド・ローベルからの贈り物

Rm105のライターズ・ワークショップ(作文の時間)。先週から「作者に学ぼう」をテーマにアーノルド・ローベル作「がまくんとかえるくんシリーズ」の中から「おはなし」を題材にしている。ひとりで読むなら一年生ぐらいの内容。でも、こういうお話を「書く」…

Button Up!: Wrinkled Rhymes お洒落な女の子に……お洋服の詩集

服飾は個性の象徴。古着屋さんや中古品店を訪ね、いったいどんな人がこのデザインを選んだろうかと想いを巡らせる。人間生活に支障を来たさなければ、別に服なんてどうでもいい。しかしながら、心に余裕が生まれると身に付けるものは自分の一部なのだからと…

Bubble Trouble シャボンだま あかちゃん

シャボン玉に入って、ぷかりぷかり。なんて可愛らしく、楽しい絵本だろう。"Bubble Trouble"(邦訳『しゃぼんだまぼうや』)は、ポリー・ダンバーとマーガレット・マーヒーのコンビということで、魅力的でないはずがない。淡い涼しげなイラストとリズム感あ…

City I Love 都会の風に吹かれてみれば……

都会に住むか、田舎に住むか。老後のことを考えて、あれこれ想いを巡らせる今日この頃。子ども時代は絶対に、田舎の風と光が必要だ。子育てを終える老後はどうか。何だかわたしには、都会の風が必要みたい。いやいや、ここで言う「都会」とは「大都会」のこ…

Thunder-Boomer! 夏の嵐

うだるような暑さの中、突然、暗雲が空を立ちこめ雷がとどろき始める。夏の嵐。 "Thunder-Boomer!"に描かれるのは、米国中西部。干草の匂い、大粒の雨、動物たちが同様する雷鳴などなど、散文詩で語られる夏の嵐がそのまま体感できる絵本だった。当地も今日…

Dinothesaurs きょうりゅうさん、こんにちは! 夏休みにもってこい

"Dinothesaurus"――こういう詩の絵本、夏休みにぴったりだ。表紙からすでに誘っているじゃないか。見開きごとに恐竜の個性が詠われ、恐竜大好きっ子にはたまらない。そうでない大人でさえ、有史前の悠久のときに想いを馳せている。 フロリアンの詩と絵に、な…

My Uncle Emily エミリー・ディキンソンの意外な横顔

"My Uncle Emily"を読み、詩人エミリー・ディキンソンの人間味あふれる一面に触れることができた。家族以外に姿を見せることがなかったというディキンソン。隠遁生活に近い日々を送っていた彼女の存在は、とてもミステリアスに映る。白いドレスをまとい、言…