poetry

フィリッパ・ラズベリーのうた

北欧に遊びたければ『フィリッパ・ラズベリーのうた』を開いてみましょう。小人や妖精、動物たちが、豊かな自然に囲まれた日々を紹介してくれます。 ジャケット折り返しには、こんな風に記されています。…「このえほんを ひらいたら もりや のはらに すんで…

Baseball Hour リトル・リーグを紹介する絵本

本日は息子の野球リーグ公式戦最終日。手を怪我していたけれど、なんとか1安打。今月末からジュニア・リーグ・プレーオフが始まり、2敗したら今季終了となる。たぶん早々に2敗の予定。今年は異常に弱いチームで、いまだかつてない負け方を何度も体験した。し…

Scoot! 水辺の自然に目を向けて

まだまだ肌寒く、春遠い日が続きます。そんなときに水辺の豊かな自然を謳歌した『Scoot!』のような絵本を見てしまうと、さわやかな夏がたまらなく恋しくなります。果たして今年、当地に夏は来るのでしょうか。あまりに寒い日ばかりなので、ふと心配になって…

Dirt on My Shirt 元気な詩の絵本

今月は詩の月間ということで、みんな詩の絵本を読んでいます。娘の学校では先月のブックレポートが詩でした。最近の詩の絵本で人気があるのが『Dirt on My Shirt』。子どもの日常を生き生きと詠っています。 それにしても、詩は子どもたちに大人気。気持ちの…

Tap Dancing on the Roof: Sijo Poems 朝鮮半島の詩 時調

朝鮮の伝統詩、時調。元は漢詩から派生し、13世紀頃、高麗で盛んに詠われ確立されました。英語では「sijo しじょ」と読み、俳句のように音節を数えて詩(うた)にします。 伝統的に14-16節の3行で成り、全体では44-46音節で詠む、ちょうど俳句を3句並べたよ…

Zen Ties 俳句の世界

『Zen Shorts (Caldecott Honor Book)』(邦訳『パンダのシズカくん』)*1で禅の心を説いた巨大パンダ、スティルウォーターさんが帰ってきた。2冊目『Zen Ties』では、カール、マイケル、アビーら子どもたちの実体験を交え、具体的に日常でどんなことが禅の…

落ちこぼれ

今年は年頭から和菓子に見せられ、作ってみると同時に歴史なども紐解いていました。そこでふと連想したのが茨木のり子さんの詩集『落ちこぼれ―茨木のり子詩集 (詩と歩こう)』です。以前、やまねこ新聞社の山猫編集長さんから紹介していただきました。どのペ…

The Crocodile is Coming! ペーパーバックの詩集ほか

今月のブックレポートは「詩」。ということで、娘は詩集を読み漁っています。一番のお気に入りは『The Crocodile Is Coming!』*1。大好きなミニ・グレイがイラストを担当したとあり、アマゾンUKから取り寄せていました。ここで娘のために役立ってくれるとは…

Listen! Listen! 音を楽しむ詩の絵本

耳を澄まして――で始まり、草むら、海辺、秋の森、収穫の畑、雪降る夜など、四季のさまざまな場面で聴こえてくる「音」を捉えた絵本が『Listen, Listen!』である。出版の目的が「アートと物語を称える」とあり、非常に興味をそそられた。イラストは確かに絵本…

八木重吉詩集 ひとすじに

『ひとすじに』は、日本から届いたクリスマスプレゼントの一冊。ピーターラビット・シリーズぐらいの、子どもの手に収まるサイズの詩集で、中には12編の詩が収められている。手紙の追伸にこうあった。 P.S. きれいで可愛いものみつけたので きれいで可愛いひ…

The Wizard 魔法使い

とんがり帽子に長い白ひげをはやし、魔法の杖を振り蛙を様々な物に変えていく。詩の絵本『The Wizard』に登場する魔法使いのイメージは、わたしにしてみればハリポタ・ワールド。でも元はと言えば、トールキンの作り出した創造世界のイメージ? 地元作家・画…

Bronzeville Boys and Girls アフリカ系米国人の少年・少女に捧げる詩の絵本

自分とのつながりが持てないと、感情移入は難しい。どうつながりを築くかだが、言葉、文化、生活習慣、風土が大きな役割を果たす。 詩集絵本『Bronzeville Boys and Girls』で、ピューリッツァー賞受賞作家がアフリカ系米国人の少年・少女たちに贈った詩の数…

Here's a Little Poem かわいい時代を高らかに賛歌

ふとした瞬間に、それぞれの成長期で一番いい顔を見せてくれる子どもたち。息子は今、中学生という少年にちょっと羽の生えた頃、娘は女の子から少女に変わりつつある頃に生きている。ここまで来る間にも、いろいろな素顔を見せてくれたのだっけ。詩集絵本『H…

When Gorilla Goes Walking 愛しき太っちょ猫ゴリラ

一人っ子のセシリアが猫を飼い始めます。その名も「ゴリラ」。グレイの太っちょ猫は、人懐っこくて、ちょっぴり嫉妬屋さん。初めてやってきたその日から、ゴリラはセシリアにとって、なくてはならない存在になりました。 『When Gorilla Goes Walking』は、…

My Life as a Chicken あるにわとりの人生劇場

『My Life as a Chicken』のような山あり谷ありの人生ものに、「詩」という芸術媒体はしっくりときます。ベストセラー・リストにランク入りしそうな大人向けのタイトルもお似合いで、絵本ではあるのですが、人生を知り尽くした年代層受けしそうなスタイルの…

Comets, Stars, the Moon, and Mars 宇宙の不思議を追いかけるアートな詩の絵本

夏の終りに子どもたちといっしょに読んだ詩の絵本『Comets, Stars, the Moon, and Mars: Space Poems and Paintings』は、宇宙がテーマです。学校で習ったことがこんな風にイメージ豊かな詩になるとは、きっと彼らは想像しなかったことでしょう。最近除外さ…

Today at the Blue-Bird Cafe: A Branchful of Birds 本日のブルーバードカフェは……

『Today at the Bluebird Cafe』は、夏に読むのが最高の、鳥たちを主人公にした詩の絵本。タイトルを聴いただけで、すでににぎやかなさえずりが流れてきそう。本当に今の季節にお似合いだ。 登場するのは、「ブルーバード、アビ、カージナル、ワシ、キツツキ…

しずかでにぎやかなほん "The Quiet Noisy Book"   「はてなダイアラー絵本百選」

小犬のマフィンが目を覚まし、耳にした静かな音って何だろう。アリが這う音? 蜂がびっくりしてる音? ゾウが階段をつま先立ちで下りてくる音? いやいや、どれも違う。じゃあ、この音は何? ちょっぴり謎めいた問いかけは、子どもの好奇心を続けざまに揺り…

Winter Song ふゆのうた

『Winter Song』は、シェイクスピアのラブコメディー"Love's Labor's Lost"(「恋の骨折り損」)からの詩一編を絵本にした作品。エリザベス朝時代、人々がどんな風に冬を過ごしていたのかが情景豊かに伝わってくる。氷砂糖を溶かしたかのようなパステルとコ…

How We Are Smart マイノリティの偉人を紹介する絵本

渡米した頃に知り、いたく感動した教育論があった。ハーバード大学ハワード・ガードナー教授*1の7つの知性分類(マルチプル・インテリジェンス)である。 言語的知性:word smart 言語能力、ここでは国語能力 論理的知性:logic smart 数学的思考、数学分野…

today and today 一茶の俳句絵本

俳句が英語になると、不思議な感じがする。575のリズムがなくなり型から言葉がこぼれ落ちる分、しっとりとイメージの世界が広がっていくような感覚に捉われる。一茶の俳句を絵本にした『Today and Today』を読んだときも、同じような感覚だった。 今まで…

Good Sports スポーツする心地よさに包まれる詩の絵本

秋季のサッカー、冬季のバスケットボール。でも、新緑まぶしい芝生の上で、カーンと打って走る野球が、やっぱり一番気持ちがいい。 寒くて暗い冬が終わり、そよ風の心地よい季節がやっとやってきた。そんな時節にスポーツの詩を集めた絵本『Good Sports: Rhy…

A SECOND IS A HICCUP 時間の存在を知る詩の絵本

『A Second Is a Hiccup: A Child's Book of Time』を読んで、意外な宝物を見つけた気分に浸った。表紙とタイトルの「一秒はしゃっくり一回分」から受けた印象は時間の概念を語るノンフィクション絵本だったのだけど、読み進めるうちに、実は「時間」の存在…

MEOW RUFF: A Story in Concrete Poetry 文字の視覚イメージと詩に遊ぶ絵本

詩の絵本といっても、『Meow Ruff: A Story in Concrete Poetry』にはストーリーがある。主人公は犬と猫で、この二匹を取り巻く光景が、文字と言葉によるイラストで表現される。 こういう表現法をアートではなんと言うのだろう。空の雲は、綿雲のようなふん…

April Bubbles Chocolate 4月 しゃぼん玉 チョコレート

今月の読書指導は心に浮かんだイメージを絵に描こうというもので、どのクラスの廊下にも絵本や本を読んでの「メンタル・イメージ」が発表されている。当然のことながら一人一人スキーマが違うので、みんな絵が違う。この違いがおもしろくて、子どもの絵を見…

Handsprings: Poems and Paintings ダグラス・フロリアンの四季詩画集 はる

「ママ、POETRYってなあに?」――。娘から尋ねられ、とっさに手渡したのが目の前にあったダグラス・フロリアン四季詩画集の一冊『Handsprings』だった。「POETRYって、歌のことよ」――こうして詩の概念を説明しようと四苦八苦。歌(詩)って感じたこと、気持ち…

JAZZ あらゆる角度からジャズを語る詩の絵本

『Jazz (Coretta Scott King Illustrator Honor Books)』には誕生の背景、歴史、スタイルなど、あらゆる角度からジャズを描く詩が紹介される。前書きの解説が興味深い。即興とリズムがジャズの命だが、それに至った過程を、アフリカ系とヨーロッパ系音楽の融…

Butterfly Eyes and Other Secrets of the Meadow のはらのひみつ ちいさないきもののうた

詩+遊び+科学=『Butterfly Eyes and Other Secrets of the Meadow』。本作品は同じ趣向の前作『Song of the Water Boatman and Other Pond Poems (Bccb Blue Ribbon Nonfiction Book Award (Awards))』*1と比べ、小さな子ども向けに一段と遊び心の加味さ…

Behold the Bold Umbrellaphant and Other Poems モノどうぶつたちのうた

ふだんはただの「モノ」でしかない物が、動物キャラクターに姿を変えて動き出した。言葉の魔術師プレラツキーの新しい詩集絵本『Behold the Bold Umbrellaphant: And Other Poems』は、動物化したモノが洒落た詩とコラージュで表現される楽しい作品である。…

OH, NO! Where Are My Pants? and Other Disasters: Poems ついてない日の詩集

自分にとって最悪の日、ついていない日って、どんな日だっただろう。詩集絵本『Oh, No! Where Are My Pants? and Other Disasters: Poems』を読み、思わず子どもの頃の自分を振り返った。絵本に描かれる「親友とクラスが別々になってしまった日」「確信して…