spring

Little White Rabbits イマジネーションであそぼうよの絵本

ぴょん、ぴょん、ぴょん――。元気な白うさぎが草むらをかけぬけて、「みどりになるって、どんなかな…」。森の木立ちをとおりすぎ、「せいたかのっぽになるって、どんなかな…」。岩をとびこえて、「うごかないって、どんなかな…」。 好奇心旺盛なイマジネーシ…

Brownie Groundhog and the February Fox グラウンドホッグ・デーのものがたり

春待つ米国人がけっこう気にしている「グラウンドホッグ・デー」。わたしは渡米するまでこの子どものおまじないのような「ならわし」のことを知らず、春を待つ占いについてほほえましく思ったものだった。リーダーズ英和辞典には、次のように定義されている…

Snow Rabbit, Spring Rabbit 卯年の立春に読む絵本

"Snow Rabbit, Spring Rabbit: A Book of Changing Seasons"は、卯年の立春に読むのが最高〜と思っていたのに、ずっと忘れていた。冬から春へのうつりかわりを独特の手法で表現した絵は、ふくろうさんのおやすみ絵本と同様に繊細でうつくしい。 →A book of S…

Yucky Worms あいすべきミミズくん

"Yucky Worms (Nature Storybooks)"は、庭づくり、畑づくりの前に一読すると楽しい絵本。男の子がおばあちゃんからミミズのことを教えてもらい、ミミズの生態、庭の自然に興味を持ちはじめる。 ミミズが土を肥やすことは知っていても、そのために小さな石や…

Caps for Sale おさるとぼうしうり

主人のクラスが全校朝会で"Caps for Sale: A Tale of a Peddler, Some Monkeys and Their Monkey Business (Reading Rainbow Books)"(邦訳『おさるとぼうしうり (世界傑作絵本シリーズ)』)の劇をした。出演者たちは、55センチ四方のカラー・ブッチャーペ…

forever friends 春夏秋冬、友だちのいる風景

うさぎと青い鳥の友だち関係を描く"Forever Friends"は、春に読むのがぴったりの絵本である。春風が運んだかのように友情が育まれ、春夏秋冬と季節を巡り、ふたたび出会いの春を迎える物語。詩情豊かな自然描写が美しい。 このアーティストのコラージュは、…

ファーディのはる

ほのかな桜の香りに誘われて、送り迎えの散歩が楽しくなってきました。うす紫のクロッカス、黄色いタンポポ、桃色の梅、桜。シアトルの自然は、すっかり春のよそおいです。 春の絵本なので、レビューはぜったいに春と決めていたのが、こちらの絵本"ファーデ…

Pink Me Up! ピンクはトクベツな色

"Pink Me Up"を読んで、どうしてピンク色って、こうも特別な色なのか、ふたたび考えてしまった。米国の女の子文化を知る人であれば、たいていこのピンク人気を目の当たりにしているはずと言い切ってしまいたい。たとえば小さな女の子の場合なら、本人がそう…

My Garden わたしのお庭は、不思議なお庭

娘といっしょにケビン・ケンキーズの新作絵本"My Garden"を読んだ。やわらかな陽射しが気持ちよかった今日にぴったり。 お母さんの庭作りを手伝いながら、女の子は空想に耽る。もし、わたしの庭があったら……そこでは、花は枯れることなく咲き乱れ、願えばそ…

Bear Flied High ふたたび、くまさんといっしょ

"Bear Flies High"には、子どもの頃に体験した夏が詰っている。青い空、白い雲、光る風、波しぶき。でも、この絵本の中では、くまさんもいっしょ。夏の始まりを再現しながらページをめくった。 浜辺を走り、空を見上げて「飛びたいなあ」とくまさんは夢を描…

The Longest Night 春の声

暗く凍てついた冬空に、太陽の姿が見えない。太陽を呼び戻すのは、誰? 「わたしだ」「いや、ぼくさ」――雪の森で動物たちが声を上げても、風は認めない。"The Longest Night"を読んだ後に、娘から聞かれた。「ママ、冬が終ってうれしいでしょ」。そうか、立…

Carousel わたしのメリーゴーランド

いろいろなことが偶然に重なり、その意味からも今日は『わたしのメリーゴーランド』について記しておこうと思いました。まず、重なった事象とは――①一昨日、メリーゴーランドがテーマの絵本を紹介していたこと。②色の魔術師ブライアン・ワイルドスミスに師事…

A Carousel Tale エルンストが帰ってきた!

春らしい色合いの絵本と思い手にしたら、ワニのエルンストではありませんか! 空想の大好きなエルンストが、"A Carousel Tale"ではどんなクリエイティブ・マインドを披露してくれるのでしょう。 今回のテーマは、大人だって心が浮き立ってしまう「メリーゴー…

Harriet Dancing 春めいてきた日にダンスの絵本

『Harriet Dancing』は、春らしいなと思い手にした絵本。色とりどりのちょうちょうと花、それだけで、もう心が湧き立っていた。 ちょうちょうのダンスに魅せられて、自分もいっしょに踊りたいとお願いしたハリネズミのハリエット。「ちょうちょうのダンスは…

All in a Day 自然をたたえる詩の絵本

自然や季節をたたえる詩は、数多くある。自然詠は基本中の基本テーマなので視点の瑞々しさが多々問われる中、『All in a Day』に強く惹かれた理由は、題材が当地の自然だったからだろうか。知らず知らずのうちに見入り、読み入り、太陽の温もりや土の湿りぐ…

Addis Berner Bear Forgets 雪の日のくまさんは……

都会に出てきたくまのアディス。街はあまりにも巨大で騒がしく、ふと、彼は何のために街にやってきたのか忘れてしまった。そこで出会う人々の喜怒哀楽は、クリスマスを迎え、一年を振りかえるのにもお似合いの光景だ。ひとりぼっちの街角には、アディスと同…

Hurry Up and Slow Down ウサギとカメのかわいらしいお話

冬の翌日は、ふたたび春の一日でした。絵本のページをめくるように、春、冬、春の順番で絵巻を見せてもらったようで、自然の気まぐれにただただ目を瞬かせるばかり。昨日の銀世界は夢のように消え去り、さわやかな青空の下、光る風が吹き抜けていきます。 そ…

Hello, Day! 動物たちのごあいさつ

『Hello, Day!』は、春に読むのがぴったりの絵本です。農場の動物たちがたくさん登場して、子どもたちに「こんにちは!」と呼びかけます。もちろん、彼らの言葉を使ってのご挨拶ですけれど。おんどりは「コケコッコー」、うしは「モオオー」、ひつじは「メエ…

Monarch and Milkweed 蝶と花のすてきな関係

北米大陸の春をにぎわすオオカバマダラ(英名Monarch butterfly、別名を帝王蝶)は、冬季を南国メキシコで過ごし、春から夏にかけては北方に移動することで知られています。シアトルの4月はまだ肌寒いのですが、それでも春風がわたり、鳥のさえずりがうれし…

うさぎの だいじな みつけもの

柔らかな春の日差しに包まれて、うさぎはふと友だちが欲しくなりました。「イースターには うさぎがいっぱい」と言うふくろうの言葉を聞き――「イースターってなんだろう、いったいどこにあるんだろう」と、ひとり、探しに出かけます。 森の描写は、春そのも…

イースターの絵本リスト

持っている絵本からのリストです。小見出しをクリックすると、レビューに飛びます。四季の絵本手帖『チキン・サンデー』 - 絵本手帖 『チキン・サンデー』……一番のおすすめは、こちら。イースターの卵作りを背景に、出会い、勇気、思いやり、愛を描く、どち…

ぐりとぐら

絵本『ぐりとぐら [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集)』から春を感じる一番の理由は、「たまご」にあります。復活祭を想起させるたまごの形と、そのたまごで甘い香りのカステラを焼きみんなでいただく場面――。ここに春の到来を心からお祝いする喜びが…

Hug Time ハグの絵本

『Hug Time』は、バレンタインあたりに紹介しておけばよかった絵本。 愛がいっぱいの猫ちゃんは、世界を抱きしめようと旅に出る。ジャングルで、タージマハールで、北極で……。誰かと出会うたびに、ハグをするけれど、まずはここから始めてみようと最後に心あ…

おすすめ春の絵本2

一昨日に引き続き、第2弾。春らしさを感じる絵本*1は、まだまだあります。どれも素晴らしい絵本ばかりです。歌 "Inch By Inch" の絵本 種まきの歌。id:ie-ha-te-naいわしツリーにも「雛祭りに種まきを!」の話題が挙がっていました。この歌を口ずさみながら…

三月ひなのつき

伝承折り紙で十人飾りを伝える折り紙の本「折りひな」*1は、石井桃子さんの勧めで三人会により発行されたと言います。初版は1969年に福音館書店から。よって、折りひなの美しさを知る石井さんが、後世にその心を継承する意義を強く感じ勧められたということ…

おすすめ春の絵本

id:ie-ha-te-naいわしツリー*1に、"あなたのオススメ「春を感じながら読める本」を教えて下さい。"という質問があり、「四季の絵本手帖…春」*2を振り返り、何冊かを投稿してみました。 よって、よく知られている名作絵本ばかりですが、こちらにも絵本とレビ…

Tippy-Tippy-Tippy, Hide! 続はらぺこウサギ対マグリーリさん

あのはらぺこウサギたちが帰ってきました。『むしゃ!むしゃ!むしゃ!―マグリーリさんとはらぺこウサギ』(原書『Muncha! Muncha! Muncha! (Anne Schwartz Books)』)の続編が『Tippy-Tippy-Tippy, Hide!』です。 冬が到来し、はらぺこウサギたちが寒さをしの…

Cock-a-doodle-hooooooo! コッケホーホー!

『Cock-a-doodle-hooooooo!』は、農場のニワトリ小屋に迷い込んでしまったフクロウのお話。ニワトリたちは「コケコッコー」と鳴くオンドリを必要としていたので、フクロウにオンドリの役を担ってもらおうと訓練を始める。でも所詮フクロウはフクロウ。オンド…

Who Likes Rain? 雨好きさんに

『Who Likes Rain?』に描かれるのは、アジア(というか、日本?)の雨。表紙の女の子からそんな印象を抱いてしまうのかもしれないけれど、そうでなくても絵本の中の雨は灰色で子どもの頃に抱いたイメージと重なっている。このあたり、雨の日も元気に外で遊ん…

Houdini: The Handculff King フディーニ 手錠をすりぬけた男

1908年5月1日午前10時、マサチューセッツ州ボストン・ケンブリッジのハーバード橋は、黒山の人でひしめいていた。世紀の大魔術師ハリー・フディーニ*1(1874-1926)が、手足を施錠された状態で水中に飛び込み錠を破るショーを行おうというのだ。テレビもラジ…