好きなこと、読むこと

 娘のお気に入りのひとつにバレエがある。レッスンを受けているわけではないけれど、ピンクのドレスを着て踊るお姫さまのイメージが大好きなようだ。この年代の女の子の典型的な趣味のひとつだろう。絵本『Ballerina!』(邦訳『わたしはバレリーナ』)は、ひんぱんにリクエストされる。
 幼稚園に入学して、英語のつづりと発音の関係を学ぶphonicsが始まった。最初の頃は、"I love to read with Mrs. Helt!" なんて喜んで言っていたのが、最近は怠け心が宿り、「(指定された)宿題の本を読もうか」と誘うと、「ええ〜!」と嫌そうな反応ばかり。やれやれ、これじゃあ、先が思いやられると感じていたところ、バレエの魔法が生じた。先週のこと、いつもなら「読んで」とリクエストするはずの『Ballerina!』を持ってきて、"We read together." と開き、読めない単語だけわたしが担当する形で読み進めることになった。わたしが読んだ単語群は、Terry, tights,leotard, gown, turban, feather boa, cape, scarves……など服飾関係の用語ばかりで、これらの単語は彼女が知らなくても十分納得のできるところ。読み終わった後、"I read it!" とすごく喜んでいたし、これはself-esteemにも、もちろんプラスに作用する。
 主人が「読み方を学ぶ目的で書かれた絵本はストーリーの内容が薄いから味気ない」と言っていたことが、ここでも証明された。これは、わたしもずっと感じていたことだったけれど、一種の教科書のようなものという位置づけで、phonicsを学ぶ一時期だけは仕方がないとあきらめてもいた。例外として、ローベルのFrog and Toadシリーズ、ミナリクのLittle BearシリーズやスースのDr. Seussシリーズなどがあるけれど。そういえば、息子はローベルで学び育ったと言ってもいいくらいだった。
 リーディングにリアル・ブックを使用する醍醐味は、子どもの興味の中に存在するのだ。全米図書協会(ALA)が2006年から、内容に興味を抱かせながら読み方を教授する絵本に対し賞を設けたことはうなずける。なぜなら、読み方を学ぶ視点から言えば、この時期ほど子どもを引きつける絵本を必要としている時期はないのだから。このバレリーナ体験から、もっともっと彼女の好きなリアル・ブックをいっしょに読もうと心に決めた。最後のフレーズ"Her audience claps and claps and claps."など、思い出したかのように何度も何度も繰り返している。(asukab)

わたしはバレリーナ

わたしはバレリーナ