北米先住民のこころ

 水曜日は娘のクラスのフィールド・トリップでインターナショナル・チルドレンズ・フェスティバルに出かけ、ラコタ・スー北米先住民族に伝わるフープ・ダンスのパフォーマンスを見た。ポスターや切手の絵柄などで目にしたことがある有名なダンスだけれど、実際に演技を鑑賞したのはこれが初めて。
 ドラムの拍子にのり、いくつものカラフルなフープを自由自在に操る妙技は神業的だった。力強さとフォームの美しさが、北米の大地に生きる人々の心を具象化する。すべては象徴なのである。黄色のフープは太陽、白のフープは月。そのほかには黒と赤。それらがいっしょになると時には野に舞う蝶になり、大空に輪を描く鷲になり、球形を作って宇宙となり、心と体と自然が一体となる彼らの生き方を示す。見ている間にどんどん形が変わり、そのたびに歓声とため息がもれ、拍手喝采だった。ノースウェスト地方の先住民文化とは違う、大地の渇きと吹き抜ける熱い風の感じられるような、激しさのある動きだった。
 パフォーマーの2人はカナダから見えたケビン・ロックさんとエドモンド・ネバクバヤさん。当地へは96年以来の訪問となる。ダンス以外にも、フルートの演奏を披露してくれた。鳥の声や風の音を再現したフルートの音色は、大自然に身をゆだねているかのような錯覚を起こさせる。娘もわたしも、じっと耳を澄ませた。素朴な響きには、人の心を静けさで透明にする不思議な力が宿る。心が洗われるパフォーマンスだった。(asukab)

First Flute

First Flute