姉と弟

 冬に購入した絵本『はるになったら』は、タイトルに引かれた。春になったので開いてみると、女の子が小さな赤ちゃんの弟のためにいろいろなことを思いやる、詩の絵本だった。娘が「赤ちゃん」の存在を気にしていたようなので読んでみると、それ以来、何度もリクエストを受けるようになる。
 個人的に絵本としては感傷的すぎる印象があったのだが、それはわたしの感性のアンテナが鈍っていたから? 娘の感性の経路は素直に女の子の気持ちを受け入れていた。女の子の歳を聞かれたので、「同じ5歳よ」と答えると目がキラキラし始めた。夢の中におばけやお姫さまが出てくるページは、特に気になるらしい。最後の、弟を抱っこするページも。ここは自分も抱っこしたいと大さわぎし、テディベアを赤ちゃん代わりにベッドに寝かしつける日課が始まった。
 わたしが好きだった場面は、ビンの中に風を集めようとしているページ。わたしも子どもの頃、同じことをしていたので、すうーと心地よい風に吹かれる感覚がよみがえってきた。繊細で、清らか、ささやかな喜びを弟に分けてあげようとする女の子――みんな、この「心」を抱いていたんだよね。気が付くと過去形になっていて、淋しいな。(asukab)

はるになったら

はるになったら