米国暮らしの絵本手帖〜米国絵本体験、豊富なテーマ別読書ガイド・書評〜

 学校教育がテーマ別で進められることもあり、図書館ではテーマ別検索が容易です。たとえば、低学年の年間カリキュラムの場合、9月の新学期から、秋の自然、農場、ネイティブ・アメリカン、冬・冬眠、動物、人間の体、宇宙、は虫類、昆虫などに加え、季節行事がところどころに入ります。読書は子どもの興味が深まるようにテーマに沿って奨励されるので、親も絵本選びは無意識のうちに学習テーマに合わせたものにしているでしょう。四季の移り変わりや行事、学校の学習事項など、その時その時の子どもの興味や生活に関連付けて絵本を選ぶと、学校での話題がきっかけになっているだけに子どもは瞬時に引き込まれていきます。
 テーマ別、年齢別、文学賞受賞別の他に、公立図書館にはさまざまな目的に合わせた図書リストのパンフレットが用意されているので、利用者にはありがたいところです。特に図書館は地域の情報センターとしても機能しているので、民族・文化や養子、いじめ、死、離婚、引っ越し、自尊心など子どもの社会生活に直結するテーマの図書リストは必ず常備しています。こういった子どもの生活を支援する対応は、多様化する社会問題に対処する現代米国社会の反映ともいえます。
 1924年創刊の児童書評誌『ホーンブック』も、良質の絵本・児童書情報を得る格好の情報源です。中でも年2回、春と秋に発行される『ホーンブックガイド』は、半年間に米国内で発行された絵本、中高生向け小説を含むすべてのハードカバー版児童書に対しての書評を一気にまとめて掲載していて圧巻です。児童司書、出版社編集者、学校教員・教授らによる簡潔な批評は1を最高にして6までの数字評価とともに示され、評価の理由を説く明解な注釈はとても参考になります。巻末には、年齢別、作家別、テーマ別、分野別の索引があるので、本選びには至れり尽くせり、最高の環境といえるでしょう。数字は専門家から見た良書の質を示すもので、売れる書籍が必ずしも1や2の評価をされるとは限らない点が興味深いところです。(asukab)