四季の絵本手帖『おそざきのレオ』

おそざきのレオ

おそざきのレオ

 とらの子レオは、何をしても不器用です。友だちはみな字が読めて、書けて、絵が上手、食事はきれいに済ませ、きちんと話せるのに、レオはどれもできません。お父さんは心配しはじめますが、お母さんは「このこはおそざきのはななの。あとで、りっぱなはながさきますよ」と応えました。
 自信のなさそうなレオのまわりには、楽しみながら勉強に取り組む友だち、ふくろう、へび、ぞう、とり、わにが囲みます。入学したばかりの子どもにとり、動物の学校は自分の教室と同じ光景に映り親しみが湧くようです。本を読んだり、名前を書いたり、お絵かきをする動物たちに、たちまち親しみを覚え、同時に一人だけちょっぴりしかめっ面のレオの姿を追うことになります。
 課題をうまくこなせない息子に気をもむレオのお父さんの傍らで、お母さんはすべてを見透かしていました。レオの成長はレオ自身が導くもので親が比べるものではないこと、子どもは一人一人個性を持ち合わせ、それぞれの分野で時期は違ってもみな花開くことを承知していたのです。心配したり、希望を抱いたり……といった気持ちはどちらも現実です。レオは両親の二つの思いに見守られながら、花咲くときを迎えます。
 レオが花畑に埋もれ見せる笑顔は、自信にあふれた最高の笑顔です。このページでは子どももレオといっしょになり、すてきな笑顔を見せてくれます。ペン画に彩色を施したイラストが、レオ一家の心模様をユーモラスに描き出しています。(asukab)