静かな雨の季節には

 緑萌える季節の雨って、美しい。ちょっと肌寒いけれど、窓からぬれる木々を眺めているだけで気持ちが落ち着いてくる。小鳥のさえずりと、ポロポロンと流れるジャズピアノに包まれて、バタバタした朝を反省。こんなに美しい雨なのだから、もっと美しい朝にできないものか。
 しとしと降る雨の絵本といえば、『One Rainy Day』(邦訳『すてきなあまやどり』)。昨日も静かな雨の日だったので、娘といっしょに読んでみた。お話はびしょぬれのぶたさんと彼の友人やぎさんの会話で進められる。どうしてびしょぬれなのか、やぎさんがひとつひとつ質問していくうちに、その理由が解き明かされていく。たくさんの動物たちが走ってくる光景といっしょに。圧巻は見開きいっぱい観音開きのページに描かれた、それこそ「すてきな雨宿り」の様子。ぎゅうぎゅう賑わっているのだけど雫の透明感に被われていて、とても静かである。1〜10までの数の絵本でもあるので、いろいろな動物の数を数えるのも楽しい。彼らの表情が、また味わい深いのだ。
 わたしは、ゴルバチョフさんのイラストが大好き。彼の作品はこちらの子どもの雑誌『Highlights』や『Babybug』などでよく目にしていたので、絵本として手にすることができたときは感激した。やわらかくて愛敬のある動物を描かせたら天下一品では? 英語版は赤ちゃん誕生のお祝いなどにもしていた。
 ぶたさんのびしょぬれになった理由――それは、とても彼らしい。花束持って、帽子姿っていうのも、すごくいいな。娘といっしょに思わず「ぶたさんたら〜」の気分に浸る。(asukab)

すてきなあまやどり

すてきなあまやどり