かもさん一家のお通りだ お散歩3部作(3)

 『かもさんおとおり (世界傑作絵本シリーズ)』(お話の内容は、本日の『四季の絵本手帖』春の15ページにて)――この絵本はお散歩というより大行進を描いているけれど、いずれにしてもマラード(かも)の行進って、本当にかわいらしい。何年か前、家の近所にかも夫婦が住んでいた。息子といっしょにお散歩に出るたびに、小川の流れに乗り、のんびり夫婦生活を送る光景を目にした。ときにはオスがメスをかばっているようなしぐさが見えて、何だか胸が熱くなったのを覚えている。これが自然の姿なんだろう、なんて思った。
 そして、ついこの間、娘と図書館に行くと、ちょうど湖から降りてきたばかりの、かもの夫婦と1羽のオスのかも、計3羽のグループが駐車してある車の間をえっちらおっちら歩いていた。野生のかもを見かけるのは久しぶりだったので、感動。娘は鳥を見ると、すぐ追いかけようとする。だから、えっちらおっちら、ばたばたばた!というテンポか。飛び立っていってしまうまで、娘といっしょにずっとえっちらおっちらぶりを眺めていた。駐車場なんて危ない。湖岸の公園あたりでお散歩するのが一番いいと思うけれど、人間の暮らしぶりが見たくなったのか。何を捉えているのかわからない視線を投げながらの、あの歩調にひかれてしまう。(asukab)