ストーリーテリングの世界

 土曜日の朝一番、娘が自分の「くまちゃん」、息子の「中くらいのくまちゃん」、「とてつもなく大きいくまちゃん」を並べて3匹のくまごっこを始めた。うちのくまたちはなぜか白くまばかり。中くらいのくまちゃんは息子のテディで、名前を「白くまちゃん」という。
 ベッド以外、椅子、お椀、スプーンをすべて大中小で揃え、絵本を読みながらの演技が始まった。娘は金髪の女の子の役、わたしが読み手となる。うちにある3冊の「3びきのくま」のうち、読んだのはバートンの『さんびきのくま』。くまとうさん、くまかあさん、くまぼうやと、きんいろまきげちゃんの巻き起こす、びっくり楽しい定番のお話は、こういう遊びにぴったりである。
 バートンの3匹の絵本は、何と言っても簡潔明瞭さが売り物だ。ストーリーテリング(語り)で使われるシンプルな表現をそのままを絵本化したと見た。「単純で確かなもの」って、子どものお話では不可欠要素になる。子どもはシンプルゆえにどんどんイマジネーションを働かせ、リズムに乗りながらさらにお話に引き込まれていく。イラストも文章と同様、明るくはっきりしていてわかりやすい。こぼれたスープやお花に女の子の足跡が感じられて、これもまたかわいいなあと思う。邦訳が秀逸。これほどぴったりな日本語はないと感心した。『四季の絵本手帖』春の2ページ、5月28日参照。(asukab)

The Three Bears

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