米国暮らしの絵本手帖〜絵本棚の整理1〜

 米国児童書出版社最大手のScholasticsは、学校で定期的に生徒向け図書販売を行っている。教師がブッククラブに加入すると学年・年齢別の8ページぐらいの薄いカタログが生徒一人一人に配布され、子どもたちは安価で本の注文が行える。ハードカバー、ペーパーバック、カセット付き、おもちゃ付き、ポスター付き……、いずれも市販価格よりもかなり安い。市販されていない特別出版の図書を揃えているからなんだろう。たとえば、息子が好きな(映画にもなった)『A Series of Unfortunate Events Box: The Trouble Begins (Books 1-3)』だが、ペーパーバックはこのカタログでしか手に入れることができず、書店ではハードカバーしか扱っていない。そうそう、書籍だけでなく、教育用のコンピュータソフトのカタログもある。
 うちのお隣り一家には、大学生になるお子さんが2人いる。とてもありがたかったのは、彼らの成長とともに、大量の子どもの本を回していただいたことだ。絵本から始まり小学生向けの読み物まで、著名作家、コルデコット賞、ニューベリー賞など文学賞受賞作品はほぼ譲り受けた。すべてScholasticsカタログで注文した書籍である。ペーパーバック絵本は必ずカセットといっしょに購入されていたようで、みなカセット付き。息子はまだ赤ちゃんだったので、成長してからいっしょに読むのが楽しみだった。カセットと絵本は組にしてジップロックバッグに収め、バスケットに入れて保管していた。
 けれども、成長する2、3年の間、バスケットはひっそりと部屋の片隅に置かれているだけで、本は誰にも利用されていない。これを見かねた主人は、カセット+絵本を自分の教室に置きたいと言ってきた。考えてみればそうだった。息子の成長を待つより、こういう絵本はすぐに利用してもらうほうがいい。
 ということで、ジップロック入り米名作絵本群は小学校のルーム105室へ。読み物は小学校の図書館に寄付。読みたければいつでも主人にリクエストできると思っていたけど、実際そういう古典と呼ばれる絵本は近所の図書館でもどこでも手にできる。こうして、2つのバスケットに入っていたカセット+絵本と児童書は家から旅立っていった。(asukab)