四季の絵本手帖『おおきなのはら』

おおきなのはら

おおきなのはら

  • 作者: ジョンラングスタッフ,フョードルロジャンコフスキー,John Langstaff,Feodor Rojankovsky,さくまゆみこ
  • 出版社/メーカー: 光村教育図書
  • 発売日: 2000/02/01
  • メディア: 大型本
  • クリック: 1回
  • この商品を含むブログ (5件) を見る
 親子の姿は、それだけで美しいものです。人間でも動物でも大きな体と小さな体が寄り添う光景は、温もりの感情を呼び覚まします。子どもの気持ちも同じです。いろいろな動物の親子が登場するこの絵本は子どもにとり、陽だまりの中のうれしさのような意味を持つことでしょう。
 広い野原は、小動物の楽園です。お母さんたちは生きていく上で必要な知恵を子どもたちに授けています。かめのお母さんは子ガメに穴を掘ってごらん、狐のお母さんは2匹の子狐に走ってごらん、こまどりのお母さんは3羽のひなに歌ってごらん……と、優しく声をかけていきます。何でも知りたい、やりたい真っ盛りの子どもたちは、もちろん張り切って言われたとおりに挑戦です。大好きなお母さんが教えてくれることですから、素直な気持ちで安心して取り組めます。読者である子どもにも、この気持ちはなじみのあるところでしょう。
 砂地は「ぽかぽか」、草の中は「すうすう」、木の上は「そよそよ」といった擬態語が野原の自然を巧みに伝え、さわやかな夏空の下、親子の大切な時間を心地よく描きます。
 幸せとは、日常の中に繰り返されるささやかな営みです。気付くのは大人になってからかもしれませんが、その時間は宝物のような思い出に変わっていくことが大きな野原を背景に優しく示されます。
 もともと動物の子どもを数える数え歌なので、数の魅力も同時にたっぷり味わえます。(asukab)