四季の絵本手帖『ケーキがやけたら、ね』

It's My Birthday

It's My Birthday

 自分が特別である日、それがお誕生日です。赤ちゃんの頃はまだわからなくても、大きくなるにつれてその日がどんなにすてきな日であるのか、子どもは少しずつ理解しはじめます。みんなにお祝いしてもらえる日、ケーキが食べられる日、プレゼントがもらえる日……など思いはそれぞれ異なるのかもしれませんが、いつもと違う一日という認識は共通でしょう。この絵本では主人公の小さな女の子が、「きょうはあたしのたんじょうび、ケーキをやくのよ」と、誇らしげに特別な日の宣言をします。自分と同年代の小さな子どもがひとりでケーキを焼こうというのですから、子どもはまるで自分もケーキを焼くような嬉しい気持ちでページをめくり始めます。
 ケーキを焼くには材料が必要で、女の子は友だちの動物たちを訪ねて材料集めをします。たまごはにわとりさん、小麦粉はくまくん、バターとミルクはねこくん、塩はぶたちゃん、砂糖はわんくん、ケーキに飾るさくらんぼはさるくんからもらいます。動物たちがそれぞれ材料調達に走る右ページからは、彼らの女の子を思うまごころが伝わり、子どもは笑顔が絶えません。おいしそうに焼きあがったケーキをどうするのか、締めくくりのあたたかさもお誕生日のすてきな意味を伝えてくれます。
 小さな喜び、楽しみがお誕生日を通してささやかに描かれた作品は、可愛らしいお誕生プレゼントになるでしょう。ケーキ作りに挑戦してみるのも、すてきな思い出になります。(asukab)