お誕生日絵本カウントダウン#5

 5日目は、『ちびゴリラのちびちび (ほるぷ出版の大きな絵本)*1。これは、その昔購読していたこちらの子育て雑誌を通して出会えた絵本。確か創刊20周年記念とかで取り上げられていたような気がする。つまり、96年のこと?かな。
 子どもってこうやって周りから愛されて大きくなるんだ……としみじみ実感できる絵本である。原書も持っていたけれど邦訳のほうが何倍もじ〜んときたので、原書は娘のプレスクールに寄付。初めて日本語で読んだときは、自分の幼少期を思い起こす。祖父母の存在や田舎のコミュニティーを思い出しながら「愛される」感覚を懐かしんだ。大人になると窮屈さを感じる共同体だけど、少なくとも子どもの成長には不可欠な環境だったんだな、などと。あそこでは、子どもの存在はほうっておけない。だって、小さな子どもを愛しむ気持ちって自然だもの。窮屈さって、実はぜいたくなことである。
 作品は視点を変えれば、1匹のゴリラの成長を通して子どもを育てる環境(家族、コミュニティー)のあり方についても描いている。この環境って、子育ての当事者になってみて初めて見えてくる存在だ。絵本にはちぴちぴと彼を愛するまわりの動物たちの姿が描かれるだけだけど、「当たり前」の環境の意味は子どもを知る人のみが理解できるものである。
 今回娘といっしょに読み、彼女が注目したのは最後。小さかったちびちびがものすごく大きく成長するところまでは覚えていたみたいだが、ちびちびが何歳のお誕生日を迎えるかはほとんど記憶に残っていなかったみたい。5本のキャンドルを見て今の自分と同じことを確認すると、とたんに目が輝いた。シェアする気持ちって、うれしいよね。ちびちびがどれだけ愛されていたか、自分のことと合わせいつか思い出してくれるといいな。
 それにしても、わたしはこのイラストに魅せられている。多色使いではないけれど、パステルの風合いの生きた温かなページが、ちびちびを見守る雰囲気にぴったりなのだ。なんといっても表紙の黄色がかったオレンジ色がいい。愛しさと懐かしさをいっしょにすると、この陽だまりの色になるんだろう。(asukab)

ちびゴリラのちびちび (ほるぷ出版の大きな絵本)

ちびゴリラのちびちび (ほるぷ出版の大きな絵本)