お誕生日絵本カウントダウン#6

 6日目は、『たんじょうび (世界傑作絵本シリーズ)』。地味な色合いの表紙が、年季の入ったお誕生日絵本の趣を漂わせる。時代を越えて愛される理由は、ユーモアと気品と澄んだ心が絵本の中できれいに調和しているから。大切な人を思う気持ちをぎゅっと詰め込み、赤いリボンをかけたような絵本である。その大切な人とは、76歳のお誕生日を迎えるリゼッテおばあちゃん。猫のマウリ、ルリ、犬のベロをリーダーに、おばあちゃんの家に住む動物たちがお祝いをしようと大奮闘する。おばあちゃんが留守の間、ケーキを焼いたり、キャンドルを76本揃えたり、花を摘んだり、リンゴをもいだり……、一生懸命に準備する姿が健気でかわいらしい。(このお話の続編は、『こねこのぴっち (大型絵本)』。)
 動物好きな息子の大好きだった絵本だけど、日本語の弱い娘には理解してもらえるかどうか「?」マークが付いていた。ところがどっこい、(例によって)彼女は76本のキャンドルがどう飾られるのかを見届けようと、そこまでしっかりついてきてくれた。探し物で遊べる、優雅でこちょこちょっとした線画のイラストにも助けられたかな。何はともあれ、よかった、よかった。
 絵本に登場するおばあちゃんたちって、自立していて魅力的な女性が多い。わたしはリゼッテおばあちゃんが自分の誕生日に村へ買い物に出かけ、ついでに牧師さんの家に行って少しおしゃべりしてくるという下りが大好きだ。かくしゃくとした生き方は、老後の憧れである。鍵は、心も体も全てをくまなく使うことかな。
 犬のベロが足を怪我するところに「びっこ」という表現があった。これは訂正しなければいけないのでは。日本ではこういうことを指摘すると「うるさい人」と思われるのかな。でも、子どもの前で正誤は示すべきである。(asukab)