四季の絵本手帖『あおい目のこねこ』

あおい目のこねこ (世界傑作童話シリーズ)

あおい目のこねこ (世界傑作童話シリーズ)

 「1のまき」から「7のまき」までのできごとを通して、青い目の子猫の冒険を描くお話です。元気いっぱいの青い目の子猫はある日、ねずみの国を探しに出かけました。この国を見つけたら、もうお腹をすかせることなどありません。空腹を満たそうというこのアイデアは、子どもにもすんなり受け入れられます。多少の難に遭遇しても、そのたびに「なーに、なんでもないさ」とこともなげに一言残し、子猫は明るく前に進んで行きました。
 金色の目を持つ5匹の猫たちと暮らす後半には青い目だからと意地悪をされますが、犬退治をしてねずみの国を発見したことで一気に尊敬のまなざしを浴びることになります。犬の背中に爪を立て落ちないようにしがみつきながら、山をいくつも登って下る場面はこの作品の山場でしょう。見開きごとに「山をのぼって……」「山をくだって……」が6場面も登場するのですから、子どもは愉快で仕方がありません。ねずみをたらふく食べ丸々と太って戻った子猫は、5匹の猫たちをねずみの国まで案内してあげることになりますが、ここでは、あっさりと一場面だけで山越えが済んでしまい、この差が対照的でユーモラスです。
 「ふつうのいいねこは、きいろい目だまなんだよ」と心無いことを言われても自分の青い目が大好きだった子猫は、どんな苦境もおおらかに乗り越えました。子どもが子猫を慕う理由は、きっといつも自分らしく幸せでいるからでしょう。(asukab)