四季の絵本手帖『チムとゆうかんなせんちょうさん』
- 夏の23ページ チムとゆうかんなせんちょうさん (世界傑作絵本シリーズ)
- 作者: エドワードアーディゾーニ,Edward Ardizzone,せたていじ
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2001/06/20
- メディア: 大型本
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海での暮らしの新鮮さはチムも子どもも大いに魅了しますが、すべてが楽しいことばかりではありませんでした。嵐が訪れ、船底が岩にぶつかり沈没の危機にさらされると、船員たちは船酔いで寝込んでいたチムのことなどすっかり忘れ救命ボートで船を去ってしまうのです。難破寸前の船に残っていたのは、船長ただひとりです。「なくんじゃない。いさましくしろよ。わしたちは、うみのもくずと きえるんじゃ」――チムの手を握り言い聞かせる船長の一言は、涙をぬぐうチムばかりか子どもの心にも深く刻まれる強い言葉になります。船の生活は自然との闘いであり、そこには命に関わる危険が伴なうこと、そこで生きる人々がいることをチムも子どもも学ぶのです。
実話のように語られる臨場感が、圧倒的な迫力で子どもをお話に引き寄せます。(asukab)