四季の絵本手帖『ともだちつれてよろしいですか』 

ともだちつれてよろしいですか

ともだちつれてよろしいですか

  • 作者: ベアトリス・シェンク・ドレーニエ,ベニモントレソール,Beatrice Schenk de Regniers,Beni Montresor,わたなべしげお
  • 出版社/メーカー: 童話館出版
  • 発売日: 2003/10/01
  • メディア: 大型本
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 世の中を司る王さま、妃さまと友だちになれたらどんなすてきかしら――。子どもに思わずそんな憧れを抱かせる、かわいらしい作品です。
 主人公の小さな男の子は、日曜日から金曜日まで、友だちである王さま夫妻からさまざまな招待を受けます。日曜日はお茶、月曜日は晩ごはん、火曜日は昼ごはん、水曜日は朝ごはん……お城からは次々と招待状が届きました。光栄な気持ちでいっぱいの男の子はそのたびに許しを得て自分の友だちを連れていきますが、この友だちの面々が飛びぬけて愉快なのです。日曜日はバラの花を付けたキリン、月曜日はリボンをしっぽに結んだカバ、火曜日はいたずら猿の群れ、水曜日は着飾ったゾウ……。毎日違う友だちが王さま夫妻を訪ねる光景は、笑い心をくすぐる場面であふれかえります。子どもは、翌日はどんな友だちが登場するのか当てっこゲームを始めるほど動物たちに注目しはじめ、愛すべき個性を持ち合わせる彼らに喝采を送ります。
 王さま夫妻と男の子の会話も作品の魅力です。小さな男の子の丁寧な話し方にはまごころが感じられ、言葉と心の大切なつながりをさりげなく伝えます。ピンク、オレンジ、黄色といった暖色で占めるイラストは、お城の優雅さ、華やかさを添え、王様夫妻の明るい個性を引き立たせています。
 木曜日はハロウィーンのお祭りに招待ということなので、時季を合わせて読むと楽しいでしょう。さて、最後の土曜日はどうなるのか、こちらも見逃せません。(asukab)