四季の絵本手帖『へびのクリクター』
- 秋の10ページ へびのクリクター
Crictor (Reading Rainbow Books)
- 作者: Tomi Ungerer
- 出版社/メーカー: HarperCollins
- 発売日: 1958/06/01
- メディア: ハードカバー
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ボドさんのクリクターへの愛情は、まるでわが子に注ぐようでした。ほ乳びんでミルクを飲ませ、寒くなると長いセーターを編み、やしの木を飾った部屋には長いベッドを用意してあげました。そんな光景はおもしろおかしく、子どもは蛇への違和感などすっかり忘れてしまいます。蛇の特異性は恐怖を抱かせる対象かもしれませんが、ペン画で描かれるクリクターは愛嬌たっぷりでむしろ子どもに親しみやすさを振りまきます。
先生であるボドさんといっしょに学校に行ったクリクターは、細長い体を使ってアルファベットや数字を示したり、滑り台や縄跳びの縄になるなど、ユニークな変身ぶりを披露し、生徒はみんな大喜びです。こんな蛇くんがいてくれたら、どんなに楽しいでしょう。
月夜の晩に起こった事件で大活躍するクリクターは、学校だけでなく町中の人気者になりました。蛇らしさを利用した勧善懲悪ストーリーは、子どもにしてみても気持ちのいいものです。(asukab)