四季の絵本手帖『ひとまねこざる』

ひとまねこざる (大型絵本)

ひとまねこざる (大型絵本)

 好奇心いっぱいのおさるジョージは、何でもしてみないと気がすみません。ジョージはある日、動物園から抜け出して街なかへ冒険に繰り出しました。ジョージの向こう見ずな行動は、はらはらどきどき愉快なスリルをまき散らし通しです。レストランに潜り込みスパゲティーを体に巻きつけて食べる姿、ペンキの置いてあった部屋に入り込み壁中にジャングルの絵を描く姿――。次から次へと目に入るものに興味を抱き、嬉しそうに行動に移すジョージは小さな子どもの姿そのもので、大人でも自分の子ども性をくすぐられる光景かもしれません。一方、ジョージの騒動を目にする子どもは喜びながらも、正誤の判別に戸惑ったり、共感したりと、状況によりさまざまに感じてもいることでしょう。
 最後に映画出演というハッピーエンドがもたらされたことは、ジョージらしい明るさと華やかさのトレードマークといえるでしょう。騒ぎを起こしてお世話になった人々が上映に駆けつける見開きは、ジョージの冒険を振り返る楽しいきっかけにもなります。
 鮮やかな黄色の表紙が、子どもの好奇心を象徴する作品です。子どもらしさという輝きが、作品全体にあふれかえっています。(asukab)