クイル賞ノミネート絵本を読む＃４ ポップ・アップ絵本の王さま

　ロバート・サブダといえば、白い画用紙使いの魔術師という印象。イラストも描くけれど彼が絵本で一世を風靡した理由は、細工の凝ったポップ・アップ絵本の造形にある。作者のサイトに小学生の頃のエピソードが紹介されていた。母親がいつも大量の紙を用意してくれたので、紙の山に囲まれながら、はさみを駆使していろいろなものを創り出したそうだ。子どもの柔らかい頭と指先と試行錯誤の年月が重なって、こういうメカニックで緻密な紙の芸術品が生まれたんだ……。彼だったから、ということもあるかな。
　サブダのポップ・アップ絵本は書店ではいたるところで目にするし、ページを開けば誰もが感嘆の声を上げることはわかりきっている。だから、正直『America the Beautiful (Classic Collectible Pop-Up)』がノミネートされても、「ああ、いつもの作品の○○版だな」という印象であまり驚きもしなかった。でも、これは愛国心のある米国人なら、かならず手にしたいタイプの一冊。７つの見開きに、サンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジ、大統領の顔が彫られたラシュモア山、ミシシッピ川を下る蒸気船、もちろん自由の女神も、上品に美しく浮かび上がる。
　個人的に彼の作品の中では、『Alice's Adventures in Wonderland (New York Times Best Illustrated Books (Awards))』が１番だと思う。最新作の恐竜ものは迫力いっぱい。いずれにしても、開いて飛び出す紙の魔術は子どもも大人も楽しませてくれる。(asukab)

• 白が基調の作品

America the Beautiful (Classic Collectible Pop-Up)

Winter's Tale

The Night Before Christmas (Classic Collectible Pop-Up)

The Twelve Days of Christmas: A Pop-Up Celebration

The Christmas Alphabet: Deluxe Anniversary Pop-up

• フルカラーでゴージャス

Alice's Adventures in Wonderland (New York Times Best Illustrated Books (Awards))

Encyclopedia Prehistorica Dinosaurs Pop-Up

The Wonderful Wizard Of Oz (The Childhood of Famous Americans Series)

The Movable Mother Goose (Mother Goose Pop-Up)

Cookie Count: A Tasty Pop-up