魔女といえばハロウィン……の季節がもうやってきた

 8月中旬から始まるBack To Schoolセール(新学期準備セール)。この広告を目にすると「ああ、もう夏も終りだな〜」の気分である。息子、娘はさっそく準備に取り掛かる。特に息子は中学入学なので指定の文具を揃えるのに四苦八苦。これは主人が担当してくれ、とりあえずホッとした。
 わたしは娘の服を買いに行った。夏物セールに加えて秋のショー・ウィンドウがすまして並ぶ中、時の流れを実感する。娘の服の趣味が変わってきて、去年まではずっとワンピースやジャンパースカートで喜んでいたのに、今年はジーンズ+Tシャツを欲しがった。カジュアル志向って、グランジ発祥地らくしくていいかもね。お店には木の葉やハロウィンの小物が秋色の雰囲気いっぱいに飾られていた。
 彼女はこの気配を感じていたのかな。図書館で選んだ本に『The Witch's Children (Picture Books)』(邦訳『魔女の子どもたち』)があった。「これ、先生が読んでくれた〜」と表紙を見てすぐに決めた様子。ふ〜ん、わたしってこういうマンガっぽくデフォルメされたイラストの絵本が苦手なんだな〜、というのは『Knuffle Bunny*1*2のところでも書いたのだが、ところがどっこい、実はこの作品もみごとにその偏見を覆してくれた。
 風の強いある日、公園に魔女の3人の子どもたちがやってきた。何か大変なことが起こりそうだ……と騒ぎ出した鳩やリスたちの虫の知らせは的中する。船が池に流されたと困っていたジェンマをカエルに変身させ、泳いで船を取りに行けるよう助けて(?)あげたのは1番上のお兄ちゃん。ところが、このお兄ちゃん、ジェンマをもとに戻す魔法を知らなかった。そこで2番目のお姉ちゃんが木をお城に、鳩を召使いに、リスを兵隊に、アイスクリームのトラックを馬車に、アイスクリーム売りのおばちゃんをお姫さまに変えて、おとぎ話「かえる王子」のように、お姫さまがカエルにキスをするように仕向けてみたけれど……。
 まず尋常でない風の吹き方が、事件を予感させる最高のお膳立てになっている。吹き抜ける角度は横180度。そんな状況下での3人の笑顔は、胸騒ぎと同時に嵐の前の静けさをも感じさせてくれる。こういう劇的な展開には、遠近を究めた構図が大活躍。ドラマが2乗、3乗に膨らみ、感情の起伏がストレートに伝わってくる。でも、もっとも魅力的なのは子どもたち以上にお母さんの魔女だった。1番下の女の子から絶叫で呼ばれ、さっそうと飛び出してきたこの姿〜。他の登場人物とは異なる彼女の目つきと口元が、やってくれるじゃありませんか。いでたちはロンドン風の魔女――赤いブーツに緑の口紅!――で、毒々しい華々しさがこの作品の「取り」になっている。これにやられた!という感じの作品だった。最後の甘〜いページが、子どもをたちまちトロンと落ち着かせてしまう。これは非常に英国的である。(asukab)

魔女の子どもたち

魔女の子どもたち