今年もやってきた! ハロウィンの絵本#2

 『ヘスターとまじょ (世界の絵本コレクション)』は、隠れた傑作ハロウィン絵本だと思う。原書は品切れ・絶版。去年、娘のクラスで読もうと思ったら原書が手に入らず、とても残念な思いをした。以来、日本語で読めるわたしたち親子は何て幸せ者……とページを開くたびにしみじみ。登場するのは、勇敢なワニの女の子へスターと13番地の不思議な住人たちだ。
 ハロウィンの夜、へスターは13番地の怪しげな屋敷を訪ね、住人たちと友だちになる。住人とはもちろんお化けたち。屋敷の主人は魔女のおばあさんで、このキャラクターがまた魅力的なのだ。彼女の話し方をおばあさんらしく演出すると、怖くて楽しい雰囲気ができあがる。娘がこれを真似すると傑作! ごっこ遊びで、「これが、わたしのだいすきなふくで……、これが、わたしのだいすきなぼうしで……、これが、わたしのだいすきなほうきだよ……」という具合に、ぬいぐるみに向かって話しているのを聞くと思わず笑いがこぼれてしまう。息子はお化けたちの姿が気に入っていて、今でもこの絵本はいっしょに読みたがる。滑稽なお化けたちと甘いお菓子――怖さと楽しさがみごとに調和しているではないか。軽いタッチのペン画とオレンジ・黒といったハロウィンらしい色合いも、子ども心をとりこにする。
 ハロウィンが終わってもリクエストは続き、季節に関係なく年中読んでいるような気がするなあ。ハロウィンらしさを味わいたくなったら、絶対この作品。うちで一番人気のハロウィン絵本になっている。(asukab)

ヘスターとまじょ (世界の絵本コレクション)

ヘスターとまじょ (世界の絵本コレクション)