ジャン・ブレットの最新作『HONEY...HONEY...LION!』

 ジャン・ブレットのファンは多い。丁寧に描き込まれる緻密な絵は写実的でわかりやすく、同時に芸術作品である。ブック・フェアの片付けボランティアに駆けつけると、娘の担任の先生がジャン・ブレット最新作『Honey... Honey... Lion! (Rise and Shine)』をウィッシュ・リストに挙げていた。おお! では、さっそく先生にプレゼントしようではないかと、箱詰め作業の途中に購入。先生宛のメッセージを娘に書かせ、渡しに行くととても喜んでくれた。「今週末は、家で(絵本を)楽しんでらっしゃい。月曜日に持ってきてくれたらいいから」というお言葉をいただいたので、この3日間、最新作はうちに外泊することに。
 ブレットは、有名な『The Mitten』(邦訳『てぶくろ(手袋付)』)をはじめ『The Hat』『Gingerbread Baby*1など、わたしの中ではヨーロッパの冬のお話を描く作家というイメージが強かった。でも、それを覆した作品が、熱帯雨林の動物たちを描いた『The Umbrella』で、彼女自身、この制作をきっかけに熱帯地方の生態に魅せられ始めたと告白している。
 最新作は、アフリカ・ボツワナに伝わる民話である。主人公はミツオシエというハチミツのありかを知らせる鳥と、教えてもらった蜂の巣をたたいて壊す役のアナグマ。いつもなら協力して得たハチミツをいっしょに分け合うのだが、なぜだかこの日はアナグマが独り占めしてしまう……ところからお話が始まる。怒ったミツオシエは、あることを企てる。擬音語、仕掛けは、子どもに嬉しいところ。民族工芸のモチーフを用いたページの縁取り装飾は、いつもながら土地の文化色を濃厚に伝え大人に受けることだろう。言葉がちょっと難解かもしれないけれど、分け合うことの大切さは十分に伝わるお話だった。
 ブレット作品が、学校の先生たちの間で人気という理由はとてもよくわかる。最新作は、まず多様文化をたたえている。描写が正確なので、子どもたちにわかりやすい。動物がたくさん登場する。擬音語+仕掛け、そして、お話から学べることがある。ニューヨーク・タイムズ紙のトップ10に、早々とランクインしていた。(asukab)

  • ジャングルの動物たちがたくさん登場

Honey... Honey... Lion! (Rise and Shine)

Honey... Honey... Lion! (Rise and Shine)

The Umbrella

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  • お気に入り、ジャン・ブレット冬の作品

The Mitten

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The Hat

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Gingerbread Baby

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The Wild Christmas Reindeer

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