9月19日は「海賊語で話そうデー」だった

 先月あたり、書店では海賊関連書籍の特集棚が設置され、海賊絵本もいっしょに並べられていた。そういえばNYタイムズ紙では、海賊の特集を組んでいたなあ。というわけで注目してみたところ9月19日は海賊語で話そうデーだったことが判明。このサイトの存在は知っていたけれど、以前より社会的な知名度が高まった印象を受ける。「これは意外……」と思いながらと読み進めていくと、発見があった。2人の海賊好きの男性が気軽に始めた海賊語キャンペーンはマイアミ・ヘラルド紙の人気コラムニストデイヴ・バリーの目にとまり、バリーが昨秋ピーターパンのその後を語る『Peter and the Starcatchers』を共著で刊行して以来、さらに全米に広まったらしい。(……あくまでも推測……。)しかも2人は今秋、『Pirattitude!: So you Wanna Be a Pirate?: Here's How!』を出版し、以前にも増して海賊熱をあおいでいるというわけだ。こういう話題に便乗して海賊絵本が脚光を浴びるとは、なかなか愉快。
 「海賊」は、冒険心を掻き立てる格好の遊びのテーマである。というわけで、今回うちで読んだ海賊絵本は、『ROGER the JOLLY PIRATE』。海賊船の象徴、ガイコツマークの旗「ジョリー・ロジャー」の由来を伝える作品だ。巻末には哀しい調べのバラードが紹介されていて、口ずさめば思わずじんわりきてしまう。でも主人に言わせると「海賊はロマン化、ファンタジー化され過ぎ。実際は手の付けられない悪党集団で、強盗、強姦、殺害、何でもやり放題。これぞ市民社会の敵」とのこと。まあ事実といえば事実だが、わたしはバラードを歌いながら、仲間からさげすまされていた落ちこぼれの海賊、ジョリー・ロジャーの存在に思いを馳せた。
 絵本を手にしてから気づいたのだが、作者は息子の好きな『A Series of Unfortunate Events #1: The Bad Beginning』(邦訳『最悪のはじまり (世にも不幸なできごと 1)』)シリーズの挿絵画家ブレット・ヘルクイスト。これは新鮮! 影のある悪人を描かせたら一級品じゃないかと感じていたから。幸せそうなロジャーの笑顔を含め、人間味を帯びた喜怒哀楽の表情すべてが生き生きしている。セピア色がかったくすんだ色調に、パステルの仕上げラインが温もりを添えているからか。息子は、髪の毛やひげ、人物の目つきから、レモニー・スニケット本の絵を連想したというから、さすが好きな作品に関しては目が肥えている。(そういえば今月18日、シリーズ12が発売される。表紙のイラストが描かれていなくて、これにも注目というところか。)
 デイヴ・バリーの本は図書館に予約を入れてあるけれど、相当な人気らしい。(asukab)

ROGER the JOLLY PIRATE

ROGER the JOLLY PIRATE

  • ピーターパンその後

Peter and the Starcatchers

Peter and the Starcatchers