しゃっくりの止まらないガイコツ ハロウィンの絵本#9

 くしゃみとかしゃっくりって、ガイコツにぴったりのアクションだと思っていた。「ハックション!」「ヒック!」の生理現象により響きあう骨や歯の音が、ガイコツの物悲しくて骨っぽいイメージをさらに高めるのだ。『Skeleton Hiccups』(邦訳『しゃっくりがいこつ』)では、しゃっくりの止まらないガイコツが何とか止めようとあれこれ悪戦苦闘する姿が描かれる。
 「ヒック、ヒック、ヒック」と朝からしゃっくりに悩まされるガイコツは、誰もが同情してしまいそうなやつれ顔。読者はやっかいな生理現象に共感すれど、何よりその後のガイコツの行動がユーモラスだから思わず笑ってしまう。当人は、困っているのにね。悲しそうな表情でかぼちゃをくり抜いたり、落ち葉かきをしたりするので、ハロウィンをまじかに控えた寒くなる季節に読むのがぴったり。息子も娘も、「ヒック、ヒック、ヒック」と体を揺するたび、「カチカチカチ」と音を出しているであろうガイコツさんに思いを寄せていた。邦訳のタイトル文字がしゃっくりで揺れて「うまい」と思っていたら、原書でも「hiccups」の最初の「c」が赤い文字で飛び上がり、「SkeLeToN」は骨のモチーフだった。
 散歩で近所を歩くと、小学生のいる家庭はすぐわかる。前庭や玄関入り口にガイコツ、お墓、クモの巣、おばけ、魔女など……が飾られていて、ハロウィン・スピリットの高揚を証明する。等身大の宙吊りガイコツ人形を見かけたときは、思わずしゃっくりガイコツを思い出した。(asukab)

しゃっくりがいこつ

しゃっくりがいこつ