ゆっくりと時間の流れる季節

 日曜日はサッカーの試合後、公園での誕生日バーベキューパーティに招待される。バースデーボーイは主人が昨年、一昨年と受け持った男の子で、参加した面々はクラスの子どもたち(つまり、近所の子どもたち)ばかり。かぼちゃ頭をしたピニャータの盛り上がりがすばらしかった。これって、みんなに順番が回らないうちにすぐに割れてしまったり、なかなか割れなくてお菓子が少しずつこぼれ出したり……で、うまいタイミングでいくことが少ない。でも、今日は最高のでき。20人全員に2回も順番が回ったし、一撃でドサッとお菓子がこぼれ落ち、わっと子どもたちが群がった光景は極上のエンターテインメントだった。(しかも一発ヒットを決めたのは息子で、本人は上機嫌。)バーベキューの後は、焼きマシュマロ&チョコレートのスモアータイム! わたしはこれに目がない。ただただ甘いのだけれど、甘さ3乗ぐらいもたまにはいいかな、と。
 木々の紅葉がみごとで、サッカー場でも公園でも、葉っぱ拾いに夢中になる。拾わずにはいられないこの美しさ。この色に囲まれるだけで、心は秋の彩りに染まっている。特にメイプルの葉は色だけでなく、しっとりとした甘い香りを放つのでいい。「何で家中に葉っぱがあるの〜」と息子に笑われてしまうぐらい、あちこちから拾ってきた赤い葉っぱ、黄色い葉っぱ、橙の葉っぱがテーブルの上、棚の上を占める。ママにとって秋はゆっくり時間の流れる季節だから、大切に味わいたいんだな。
 夜は、秋のおすすめ新刊になっていた『The Great Blue House』を息子といっしょに読む。これは、青い家の一年を巡る詩の絵本である。一家は夏の間だけ、この別荘で過ごす。賑やかだった夏が終り、ひっそりと静まり返る青い家の秋、冬、春。人の気配はなくても家の中では、いろいろな音が聞こえている……。五感の中でも、とくに聴覚を刺激する情景描写が際立つ作品だ。印象派絵画のような言葉の連なりが、感じる心を呼び覚ましてくれそうである。ともすれば韻を踏むことが詩と思いがちだが、言葉によりイメージを膨らませる力こそ詩なのだとあらためて感じることができた。つまり、定型よりも自由重視ということか。息子の心にも美味に感じられることを願って朗読。
 リサとガスパールの画家、ゲオルグ・ハレンスレーベンのマットなイラストが、四季の詩に静かで豊かな表情を添えている。(asukab)

The Great Blue House

The Great Blue House