好きなものが、いっしょになった!

 小学校の図書館で週2回、書架整理のボランティアをしている。去年から続けていて気づくことは、人気図書の傾向のようなもの。授業の影響で貸し出し冊数の増える図書は別として、「常に、必ず、山と化した本と対峙して返却作業を強いられる図書」の分野は、「おとぎ話、恐竜、ペット」の3つだ。これは今年も変わっていない。「おとぎ話」といえば、主に女の子好みと断定できるかな。出てくるのは、お姫さま、王子さま、小人、巨人、魔女、森、おおかみ、といったところ。ファンタジーだから、騎士とかドラゴン、海賊とかそんなものも含まれるだろう。「恐竜」「ペット」は、ほとんどが図鑑や写真集。休み時間に眺めたい人気本の1、2位という感じである。
 そして先月、この人気分野2つを絡めてお話にしたおいしい絵本に出会うことができた。タイトルは、『Captain Flinn and the Pirate Dinosaurs』。海賊と恐竜のキャラクターを巧みに融合させ、意気のいいイラストと相まって子どもをファンタジーの世界にぐいぐいと引き込む絵本である。これは、これは……、子ども(特に男の子?)の好きなものをうまく取り入れたものだと、ただただ感心するばかり。そういえばこの画家には『魔女の子どもたち*1で完璧に魅せられたんだ。新作の絵も、負けず劣らずなかなかの迫力ぶり。なんてったって見開きにわたり大きな口を開いて嘆く海賊船長の表情は、魔女の子どもたちの魔女母さん以上にインパクトがある。T・レックスをはじめとする恐竜たちの顔もすごいよ〜。彼らの表情に引かれ、即購入した絵本だった。
 主人公は、男の子フリン。海賊のTシャツを着ながら恐竜の絵を描いている。そう、フリンは恐竜が大好きなのだ。ある日、フリンは学校で不思議な体験をする。お絵かき用マーカーペンが足りないので材料室に取りに行くと、そこで海賊の船長に出会ったのだ。ひげ面でべそをかいている船長によれば、彼の船「どんぐり号」が海賊恐竜に襲われたという。冒険大好きのフリンは友だちといっしょに、どんぐり号を取り戻そうと意気込んだ。すると戸棚のとびらが突然開き、いつの間にか目の前には大きな船が。船長に任命されたフリンはみんなといっしょに乗り込んで、さあ出航だー!
 これは小さな子どもの夢がそのまま詰まったロマンと冒険の物語である。鮮やかでユーモアたっぷりのイラストを目にするだけでも、ワクワク、ドキドキ、素直に心が弾んでしまう。娘は、「ソーセージみたいにやつざきにして、火にあぶって、ケチャップつけて食べちゃうぞ!」とT・レックスがよだれを滴らせながらフリンに迫るページに大受けしていた。(asukab)

Captain Flinn and the Pirate Dinosaurs

Captain Flinn and the Pirate Dinosaurs