雪が奏でる静かな音楽

 初雪が降るかもしれないと聞いたので、『Snow Music (Bccb Blue Ribbon Picture Book Awards (Awards))』を開く。これは、冬の詩ともいえる美しさを絵と静かな音で表現する絵本。秋の終りに訪れる、初雪の日にぴったりの作品なのだ。ほわんとした冬の息、しんとした雪の肌、明るい子どもの声といった季節の横顔が、透明感あふれる水彩と独特の表音で描かれる。文字の並び方も、音としてパフォーマンスしている。冬や雪を知り尽くしていないと、こういう表現はできない。作者はミシガン在住だから、雪のことならおまかせというところか。
 それにしても「peth」とか「fep」とか、「K-tk」といった不思議な「音」には、感性の柔らかさが表れる。何だか日本的。侘び寂びのような静寂を、あえて「音」で表したような感じだ。1ページ、1ページ、静かな冬の模様に見入っていると、心の踊り始める自分がいた。
 「ママはこの絵本に5つ星をあげるの?」と息子。「ぼくなら2つだなー」って、う〜ん、やっぱり子どもなんだなあ。このひそかな冬の姿は、大人にしかわからないのだ。女の子だったら、また感じ方が違うのかな。でも、決め付けるのはよそう。絵本って、そのときの状況や気持ちでまったく感じ方が変わってくるから。この次、雪の降りそうなときに、もう一度開いてみよう。(asukab)

Snow Music (Bccb Blue Ribbon Picture Book Awards (Awards))

Snow Music (Bccb Blue Ribbon Picture Book Awards (Awards))